業界トップランナーとして「高成長」維持
1994年に日本初のブライダルジュエリー専門店「銀座ダイヤモンドシライシ」を開業、以来、事業多角化を図りつつ着実に成長を続けるNEW ART HOLDINGS(7638・JQ)。足元では新たな事業が育っているという。代表取締役会長兼社長の白石幸生氏に話を聞いた。
世界標準に向けて日本のアート本格始動
アート部門が収穫の時期を迎えている。私がNEW ART HOLDINGSよりも前、1967年に創業した画廊・美術館経営を手掛けるWhitestone Gallery(ホワイトストーンギャラリー)は、例えば世界的に人気の高い草間彌生については二次マーケットで世界トップの取り扱い実績を誇り、2021年3月期は計画以上の結果を残せた。Whitestone Galleryは売り上げの8割が海外、欧米の主要都市で開催されるアートフェアに出展して絵画を販売しているのだが、感染症拡大で往来が難しくなって以降も、世界の投資家のアートへの関心は衰えを知らない。オンライン取引も盛況でサザビーズやクリスティーズなどのオークションでは高値での取引が続いている。
そんな追い風の中、当社はアートの販売のみならず、金融を掛け合わせた事業にも既に着手している。2016年に立ち上げた子会社ニューアート・フィンテックでは「アート・ファンド」を組成。一定期間が終了すれば対象のアートが自身の資産になるという金融商品で、ここに私のノウハウを注ぎ込む。半世紀以上も培ってきたアートへの眼力、信用力を駆使することで、安定性はもちろん、投資家の皆さまにご満足いただけるキャピタルゲインを提供できるしくみが実現できるものと自負している。
アート・オークション 今秋スタート
アート・ファンドしかり、アートをひとりでも多くの方に身近に感じてもらうためにも、販売方法を多様化させる。まずはオークション。近年では中国・香港が取扱高20%と米国を抜いてしまったが、私の長年の願い「日本を世界の中心に」を実現するためにも、東京でのオークションを実現させる。一般からも広く出品者を募り、これらを適正に評価する。アートへの理解が深まれば作家も育つ。こうして国内におけるアート市場を充実・発展させていく。
結果、世界第3位という経済規模に見合ったアートの市場がこれから日本で育つことになるだろう。アートは、日本では相続税が課されるのに、銀行向けの担保としては認められていない。例えば、お隣の韓国では相続税を課さないどころか、建築物には一定量の芸術作品を置くことが法律で定められるなど、日本以外の国では「アートは資産」が共通認識だ。
ちなみにアート・ファンドで扱う作品もここに絡めていく。NEW ART HOLDINGSの事業は、1+1が、5にも10にもなる。
「冒険」は続く…
投資家の関心が最も高いと思われるブライダルジュエリー部門ついても成長は止めない。少子化で売れなくなるのでは?という質問を多数いただくが、そうではない。1994年の創業当時に購入した方は50、60歳代、その親が70、80歳代と、対象は3世代に広がっている。国内で最も現預金を持っているは60~70歳、彼らだってジュエリーを身にまとう。
当社は毎年コンスタントに店舗数を増やしているが、一方で、感染症を乗り切れずに離脱するところも。彼らを応援するべく当社が一部出資するという話も遠くないうちにまとまりそうだ。加えて近年は製造を内製化することで利益率が大きく改善、生じた余力を店舗での接客に費やすことで、トップライン、ボトムラインの双方がさらに伸びるという好サイクルが生じている。
私はこれまでの人生、様々な冒険をしてきた。私の船に乗れば、投資家の皆さまも一緒に冒険ができる。まだまだ私の冒険は続く。ぜひともご期待いただきたい。