JIA 白岩直人社長が聞く
代理店販売で成長角度引き上げ
本稿では、新進気鋭のIPO(新規上場)社長とジャパンインベストメントアドバイザー・白岩直人社長によるトップ対談をお届けする。第一回目の対談相手は、3月25日に東証グロースに新規上場したビジュアル・プロセッシング・ジャパン(VPJ、334A)の三村博明代表取締役社長。同社はDAM(デジタル資産管理)とPIM(商品情報管理)を統合した国内唯一のDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューション「CIERTO(シェルト)」を展開している。
白岩 まずは御社のプロダクトについて教えていただきたい。
三村 営業活動や販促プロモーションなど、どんな企業でも必ず媒体・コンテンツを使った事業活動を行う。DAMはこの媒体・コンテンツの制作に必要な様々なデータ(写真、動画、ロゴ、イラストなど)を管理し、WebページやEC(電子商取引)、カタログなどの各媒体向けにフォーマットを変換し、アウトプットできる仕組みだ。従来はデータの管理場所がバラバラだったものが一括で管理・閲覧できるようになり、制作の効率化に加え、ブランディングの統一やナレッジマネジメントにも役立つ。
白岩 上場に至るまでの経緯は。
三村 創業は1994年、そのころは媒体と言えばカタログなどの紙媒体しかなく、われわれのマーケットは印刷・出版業界だった。それがiPhone、iPadが登場した2010年ごろからSNS(交流サイト)やWebサイト、ECに広がり始め、印刷だけで販促するところが少なくなった。一般企業の販促部門からの引き合いが増え、大きな会社から相談を受けるようになった流れの中で、16年にシェルトが誕生。マーケットを獲りに行くためにも、知名度を上げて営業力を強化しなければということでIPOを考えた。
白岩 最近導入が増えている業種・業態はあるか。
三村 1つは流通小売業。例えばスーパーマーケットやドラッグストアでは、カタログやチラシなどに加え、昨今はECに力を入れるところも多い。商品情報がとても多い業界なのでPIMまで使われる。あとは製造業。特にグローバルの製造業が関心を示してくれる。展開する国・地域によって販促活動や価格、仕様も少し違うので、商品情報を一元化して、北米バージョンとか南米とか欧州とか、各地の情報を入れておく。そこから販促活動を全社でリアルタイムに共有するという使い方が多い。
白岩 企業価値を高めるための戦略、例えばM&Aなどは考えているか。
三村 DAMに近い商品やDAMと連動するソフトウエアを取り扱いSIを行う会社とか、DAMにくっつけるとうまく売れるようなものもけっこうある。あとは、クラウドストレージにメタデータを付けたり、プレビューできるようなソフトもいくつか出てきているので、そういうものは一緒にまとめた方がお互いやりやすいかもしれない。
白岩 3年後、5年後の目標は。
三村 現在、限界利益率に対する継続ビジネス(サブスクリプション)の割合は約72%。これを3年後に100%にしたい。そのためには、来年に売上高15億円(今年は13.5億円)、3年後に19億~20億円ぐらいを目指す。われわれはリソースが少ないので、販売代理店の協力が大事になってくる。大手の会社がいくつか一緒にやりたいという動きが出てきているので、かなり期待している。今年はそれほどもくろみはないが、来年ぐらいには動いてもらいたいと思っている。
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三村博明氏プロフィール
日本シリコングラフィックス(現、ヒューレットパッカード)営業本部長などを経て、1994年にVPJを設立。
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白岩直人氏プロフィール
三和銀行(現、三菱UFJ銀行)を経て、45歳でジャパンインベストメントアドバイザーを創業し8年でマザーズ市場(当時)への上場を実現。金融商品の組成・販売などを中心に、主に金融ソリューション事業を展開し、日本全国に数千社の顧客基盤を有する。新規事業にも積極的に取り組み、2015年に日本証券新聞社を子会社化。
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≪取材後記≫
デジタルアセット(あらゆるフォーマットのイメージ、動画、ファイルなどのデジタルコンテンツ)の整理、保管、活用を効率的に行い、紙媒体および、OSを選ばずPC、タブレット、スマホへ効率的な出力が出来るCIERTOは現代社会を生き抜く必須ツールであると感じました。同社の大いなる成長期待が高まるインタビューでした。
※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。