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銘柄・相場情報2022年5月26日

企業研究 ドラフト(5070・東証グロース)

「デザイン」案件大型化で成長加速

空間「デザイン」を手掛けるドラフトがオフィスから都市開発へと活動領域を拡大させている。最近は自治体から地域活性化を依頼されるなど“新しい領域”での手応えもつかんでいるという。(本稿は2022年4月28日に名古屋市内で開催された個人投資家向け会社説明会におけるドラフト荒浪昌彦取締役の講演内容からポイントを抜粋したものです。)

【事業内容・オフィス多様化の先駆者】
創業時よりいろいろな会社のオフィスを手掛けているが、最近ではビル一棟、あるいは区画を丸ごとをデザインする都市開発といった大型案件が増加している(※)(図1)。

図1「領域別売上高」 (単位:千円)
2020年1月~12月 2021年1月~12月 増減
オフィス 4,507,997 5,150,612 14.3%
商業施設 300,281 429,953 43.2%
都市開発・環境設計・その他 2,309,440 2,452,178 6.2%
合 計 7,117,719 8,032,744 12.9%
※2021年12月期決算短信より日本証券新聞が作成

オフィス不要論がコロナ禍で聞かれたりもしたが、実際はリモートワークなど働き方の「多様化」が進み、結果、新しい価値を生み出し続けている当社には追い風が吹いている状況だ。例えば当社はコロナ禍よりも前から「セットアップオフィス」という、家具などすべてそろえて「パソコンだけご持参ください」というオフィスを不動産会社に提案、一緒に展開していた。
※プロジェクトの大型化に伴い平均受注金額(上位30件)は2021年12月期には1億9,600万円と、前年同期間の1億4,100万円から1.4倍増となった。

【成長戦略・最先端から既存領域に還流】
プロジェクトを3つのカテゴリに分けて同時進行的に循環させることで成長していく。まずは「レギュラープロジェクト」。従来業務で収益基盤でもある「レギュラープロジェクト」は、オフィスや店舗、あるいはビル一棟すべてのデザインをクライアントから依頼される受注型のビジネスだ。コストはクライアント持ち、完成したら終了するためリスクがないものの “待ち”のため成長がコントロールできない。

そこで積極的に取り組んでいるのが「プロポーザルプロジェクト」。自らが提案し、かつ、建築費などリスクも取っていく。新しい仕事を生み出して成長していくための案件だ。

「リーディングプロジェクト」はドラフトの知名度を上げていくための取り組み。創業者で代表の山下泰樹は世界的に有名なデザイナー。彼が先頭に立って大型案件や先端的なデザインなどを創り出すことで、世界にドラフトの名を広めていき、結果、レギュラープロジェクトの受注が増加するといった具合に3つのプロジェクトをそれぞれ伸ばしていく。

ちなみに「プロポーザルプロジェクト」の一例に横浜市から依頼された案件がある。臨港パークという公園の活性化で、当社では、木造商業施設の企画・施工・管理運営を自費で行うこととした。

本件での当社のチャレンジは3つ。防火基準が厳しい地域にも関わらず木造が許可されためずらしいケースであり、23年5月の完成時には話題に上るだろう。なにより木造建築物はCO2排出量削減など環境面から世界的に注目されている。

内部にはレストランなどテナントを入れる予定で、当社は賃料収入という新たな収益源を持つことになる。まだ調整中だが、この空間を使ったイベントを企画運営することもイメージしている。

【競争優位性・なぜドラフトなのか?】
先述したように代表の山下は世界的に有名なデザイナー。しかし彼のノウハウを体系化して社内で引き継ぎ「組織で戦う」仕組みが整っていることも当社の大きな武器。社員の約半分がデザインに携わり、かつ、AI技術に定評のあるHEROZ(4382・P)と先ごろ提携を発表するなど、業務効率化にもこれまで投資を続けてきた。

【業績確認・売上3倍増、7~8年以内に】
今22年12月期の予想(図2)を見ると前期から利益が落ち込むように見えるが、前期はコロナ禍で広告宣伝費などがほとんど手付かずだった。今期はしっかり成長への投資にまわし、M&Aなども織り交ぜつつ、まずは中期計画で掲げた売上高300億円を目指す。

図2「2021年12月期実績と22年12月期通期予想」 (単位:千円)
(実 績) (予 想)
2020年1月~12月※ 2021年12月期 増減 2022年12月期 増減
売上高 7,117 8,032 12.9% 10,000 24.5%
営業利益 800 955 19.4% 960 0.5%
経常利益 742 947 27.5% 950 0.3%
当期純利益 484 574 18.5% 600 4.4%
※2020年12月期は決算変更に伴う経過期間のための変則決算、ここでは参考値を記載