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銘柄・相場情報2023年6月15日

企業研究 2030年までに売上高3倍増を目指す ドラフト(5070・G)

世界で戦うデザイン会社

【企業理念】「デザイン」で日本をリードする

当社は「ALL HAPPY BY DESIGN」の理念のもと日本をリードするデザイン会社だ。東証の業種分類では「建設業」に位置付けられているが、手掛けているのは「デザイン」。デザインの力を多様な方向に発揮していくことを目指している。

創業は2008年。当時は代表の山下泰樹が26歳で立ち上げたスタッフわずか2名の小さな事務所だった。日本ではまだ未成熟だった「オフィス」、コストを抑えるために簡素な机を並べただけの空間を、快適で心地良いワークプレイスとして設計し、当時、急成長していた新興企業向けに提案したところ、口コミでクライアントが急拡大していった。

「人が長い時間を過ごす場所だからこそ、居心地を良く。居心地が良いと、良い仕事が生み出される」、そんな山下の想いは、例えば昨秋に移転した大手商社、兼松の本社オフィス内で体感できる。

ちなみに山下は15年に世界的に有名なインテリアメーカーが主催するアワードでアジア太平洋最優秀賞を受賞するなど国際的な評価が高まり、ドラフトも16年には社員数が100人を超えるなど高成長を続けてきた。上場は2020年。デザイン会社としては初めての出来事だった。

【事業内容】オフィスから街まで「案件」大型化

事業はおおまかに3つある。「レギュラープロジェクト」は文字通りの通常案件で、祖業のオフィス設計などを指す。「プロポーザルプロジェクト」は“今まで世の中にないもの”の発信・提案。そして「リーディングプロジェクト」ではビルまたは街全体など、わりと規模が大きい案件を扱う――といったイメージだ。

「プロポーザルプロジェクト」「リーディングプロジェクト」の事例には、直近だと、京王電鉄などが所有する東京・下北沢駅周辺の高架下の空間を商業施設としてよみがえらせた「ミカン下北沢」、神奈川・横浜市内に開業した新駅「羽沢横浜国大」に隣接する高層タワー、寺田倉庫が所有する物件について、“駅前広場と街とがつながる”といったコンセプトで空間全体をデザインした案件がある。

なお、当社では内部に山下泰樹建築デザイン研究所という別組織を組成して、ここが③リーディングプロジェクトなどで先端的な「価値」創造を担い、この「価値」を具現化・収益化するところを、社員の8割がデザイナーで占めるドラフト全体で進めるという具合に、効率的に様々な案件に取り組んでいる。

当社が手掛ける「デザイン」は建築物にとどまらない。インテリアやウェブサイト、3Dパース製造までと多岐にわたる。例えばインテリアについては「DAFT about DRAFT」というブランドを昨年8月に立ち上げて、ソファやテーブルなどを置く実店舗を用意した。さっそく今年4月にはイタリアの国際家具見本市への展示を許されるなど、新領域でもドラフトの価値が世界で認められつつある。

【業績進捗】案件の積み上がりは「順調」

23年12月期は売上高100億円(前期比20%増)、営業利益4億8,000万円(同4.4倍)を計画している。会計期間の変更で一部分かりづらくなってはいるが売上高については創業来ずっと右肩上がりを維持している(図)。

利益の伸びが小さいのは成長投資が理由だ。インテリアブランドを強化したり、今期は新卒採用10数名を加えて200名ほどへと陣容拡大、これに伴うオフィス移転など、当社はまだまだ発展途上にある。2030年までに売上高300億円を達成するべく年率2ケタ成長を続けるためにも、引き続き投資は緩めない。

足元は順調だ。案件は第1四半期時点で68億円と、既に年間計画の7割程度に達している。昨年から目標管理スキームを修正して基準を強化した上での判断であり、通期計画の達成角度は高いとみている。

※本稿は2023年6月7日に福岡市内で開催された個人投資家向け会社説明会におけるドラフトの熊川久貴上級執行役員CFOの講演内容からポイントを抜粋したものです。