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銘柄・相場情報2024年7月11日

企業研究 三栄コーポレーション(8119・東証スタンダード) 生活用品に特化した老舗専門商社

「実用的サステナビリティ」提供

【企業理念】創業78年続く「随縁の思想」

「随縁(ずいえん)」とは仏教用語で、縁に従い人々が出会い、互いに助け合うなどの意味を持つ。当社は1946年、戦後間もない大阪で寺の軒先を借り、陶磁器など生活用品を扱ったことから始まった。この時から随縁の思想を、三栄の「こころ」として大切にしている。

【事業概要】「生活用品」に特化した商社

現在も祖業である生活用品を取り扱う。商品を「家具・家庭用品」「服飾雑貨」「家電」、ペットショップとクリニックなどを展開する「その他」と4つのセグメントに分け、これらの中で「OEM(相手先ブランドによる生産)事業」と「ブランド事業」をそれぞれに展開している。

「OEM事業」では、小売販売事業者などから委託を受けて商品企画から開発、調達、品質・納品管理、物流までを請け負っている。

例えばインテリア専門店からソファの開発・販売をオーダーされた場合。当社では、お客さまがイメージされる素材やデザイン、価格などのアイディアをもとにサンプルを提示。確定後は、生産の現場で製造工程と品質基準を管理しつつ、完成した商品をクライアントであるインテリア専門店に納入する。

いわば「モノづくり」全般を最適にコントロールしており、このような取引が、無印良品を展開する良品計画、フライパンや鍋のティファールで有名なフランスのグループセブといったグローバル企業との間で続いている。

【優位性】専門商社の視点と「機動性」

裏方に徹するOEM事業に対して、「ブランド事業」では自社の名前で商品を提供している。ブランドの企画・開発・製造、あるいは国内外の秀逸なブランドを発掘して実店舗やEコマース(電子商取引)で販売。こちらも商品の提供先は国内外に広がる。

両事業に共通する当社の強みは「専門性」と「機動性」だ。「専門性」については創業来、手掛けている生活用品を4つのカテゴリに細分化することで、さらに深めていく。

「機動性」については、自社工場を2つ持つものの基本的には生産設備などインフラを大きくは持たず、海外17拠点をベースに世界各国の協力工場と連携してモノづくりを行っている。加えて海外拠点は生産調達の場にとどまらず市場開拓や販売拠点としても機能するため、当社は輸入・輸出のいずれにおいても自由に動ける状態にある。

【中期計画】

中期経営戦略「SANYEI 2025」では経常利益について2024年3月期実績12.5億円から、26年3月期には20億円達成を掲げている。

前回の中計はコロナウィルス感染症拡大と重なったこともあり、主に小売事業で苦戦。21年3月期、22年3月期と経常利益において2期連続で赤字だった。

以降は小売事業における不採算店舗を見直して固定費を合理化する一方で、売り上げが伸びているECを育成。例えば観葉植物を新たにラインナップに準備中であるなど取扱商品数を拡大させたりしている。

サステナビリティ・ビジネスも推進していく。昨今はSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)などが会社経営の主要概念としてクローズアップされているが、当社はそれよりずっと前から種まきをして、既に収益化できているものもある。
プラスティックのおもちゃを回収し再利用した腕時計といった具合に、商品そのものを販売するだけでなく、製造・加工技術を提供したりOEM製造を受託するなど、顧客企業の要望に応じて「実用的なサステナブル」を提供していく。

【株主還元】27期連続配当を継続中

25年3月期は年間80円を予定している。23年3月期まで当期純利益ベースでは赤字だっため低水準ではあったが、配当は継続した。そして前24年3月期は4期ぶりの最終黒字回復したこともあり、今年5月に配当方針を変更。配当性向の目安を30~50%に決めた。

配当についても、経営理念でもある「随縁の思想」。中長期的な株主様との関係性を重視した利益還元を続けていく。

本稿は7月3日に東京都内で開催された個人投資家向け会社説明会における三栄コーポレーション水越雅己代表取締役社長の講演内容からポイントを抜粋したものです。

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