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銘柄・相場情報2023年10月5日

企業研究 三栄コーポレーション(8119・S) 「真」に実用的なサステナブルを提供

3つの成長戦略で利益10倍増へ

【事業概要】「くらしに、良いものを。」生活用品の専門商社
創業は1946年10月。戦後間もなく日本の雑貨を欧米へ輸出したことから始まった。現在は海外に17の拠点を置き、現地で情報収集や商品調達、生産などを行い日本への輸入の他、欧州やアジアにも供給するグローバルカンパニーとして展開している。

特徴は「健康と環境」をテーマとした「生活用品」を扱っていること。取扱商品と、売上高に占める比率は、①ベッドやソファあるいは食器などキッチン用品といった「家具家庭用品」が約6割、②バッグや靴、時計など「服飾雑貨」が約3割、③ブレンダーやヘアードライヤーなど「家電」が約1割、④ペットショップや動物病院の運営など「その他」、となっている。

【強 み】サプライチェーンに則った合理的ビジネスモデル
かつては雑貨の「輸出」をメインとしていたが、1985年のプラザ合意を契機に急激な円高が進み、すぐに逆向きの「輸入」に切り替えた。こうしてフレキシブルに戦略転換できるのは、当社が大きなインフラを抱えていないため。生産設備や物流拠点、店舗など多くは持たず、代わりに協力会社を募ることで商品の企画・開発から生産、販売までと、一貫してサプライチェーンに則った事業を展開できている。

加えて家具事業部、家庭用品事業部、服飾雑貨事業部、家電事業部などと商品カテゴリーごとに事業部制度を引いていることも大きな強みだ。専門性を磨き、その時々に適した開発・生産拠点など事業環境を選ぶことができる。

【直近業績】足元は「停滞」も25年に経常利益10倍へ
前2023年3月期は売上高が386億5,400万円(前期比13.8%増)、経常利益は2億5,800万円(前期は6億5,700万円の赤字)と3期ぶりに黒字転換したものの、今24年3月期は売上高を6.9%減の360億円、経常利益を2億円と計画している。

コロナ禍中は外出規制等で厳しい状況に見舞われ、前期も、巣ごもりによる家具家庭用品のニーズ拡大からの反動減などで足元は厳しい状況にある。しかし、ここは「基礎固め」とし、中期経営計画「SANYEI 2025」で掲げた25年に売上高500億円、経常利益20億円の達成を目指す。利益10倍は小さくないハードルではあるが、ただ、2016年度には売上高で498億円、経常利益で24億3,600万円を達成しており、実力値としては過不足ない。

【成長戦略】中計達成へ3つの「具体策」
①黒子から「主役」へ。売り上げの7割をOEM(相手先ブランドによる生産)事業、例えば良品計画(7453・P)が展開する「無印良品」の黒子的な事業が占めるが、今後は残り3割の自社企画を含む「ブランド事業」を伸ばしてシェア拡大や利益率向上を目指す。

②海外取引は、もっと拡大できる。特にアジアは、16年3月期には10%程度だった販売比率が23年3月期には21.7%まで拡大。これまでは生産・調達拠点だったアジアでは生活様式・水準レベルが向上しており、彼らに向けた販売を強化していく。

③もうひとつはeコマース(電子商取引)だ。現在は15ブランド・31店舗を展開しており、売上高は右肩上がり。前23年3月期は52億9,100万円と、全体売上高の10数%を占めるまでに成長している。

ちなみに近年、注目度が増している「環境」などサステナブル・ビジネス。SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)への対応については、当社は「健康と環境」を長年掲げていたこともあり真に根付いており、既に事業の中に組み込まれている上に、収益化もしている。最近では自動車のシートベルトやエアバッグを再利用したドイツ製のバッグを販売したり、水を極力使用しない染色技術を持つ香港のe.dye(イーダイ)社の商品は某チェーン店のユニフォームに採用されている。

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本稿は9月4日に名古屋市内で開催された個人投資家向け会社説明会における三栄コーポレーション水越雅己代表取締役社長の講演内容からポイントを抜粋したものです。数値など全てのデータも講演時点のものになります。