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銘柄・相場情報2024年2月1日

企業研究 昭栄薬品(3537・スタンダード) 安心・安全「オレオケミカル」強みの化学品商社

昭栄薬品の株価は1月29日には一時1,491円と、2016年3月のIPO(新規上場)直後に付けた上場来高値1,461円を更新してきた。

昨年12月15日に株主優待制度の導入を発表したことが直接的な要因ではあるが、1カ月余りで1.5倍高にまで買い進まれた現時点の株価であっても事業内容などを鑑みれば、まだまだ注目できそう。

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【事業内容】一気通貫×3事業でシナジー発揮
1937年に化学品卸として創業し、現在はオレオケミカルと、オレオケミカルを原材料とする界面活性剤に強みを持つ専門商社として①化学品事業、②日用品事業、③土木建設資材事業の3セグメントを展開している。

オレオ(油脂)ケミカルとは、アブラヤシの実から搾り採られたパーム油など植物由来の油脂を原材料にした化学品の総称だ。石油(ペトロ)由来のペトロケミカルよりも人体や環境に優しいなどの理由から世界的に需要が拡大している。

①化学品事業
売上高の9割超を占める主力事業。オレオケミカルを仕入れて界面活性剤メーカーへ、あるいは最終商品を手掛けるメーカーへ販売している。

界面活性剤とは、物質の界面(境の面)に作用して界面の性質を変化させるような物質のこと。水と油など本来は混ざり合わないものを合わせる独自機能を持ち、使用される最終商品は石鹸や洗剤などのトイレタリー、化粧品、食品、医薬品などと多岐にわたる。

なお、オレオケミカルで国内最大サプライヤーである花王(4452・P)については同社が主要販売代理店を務めている。

②日用品事業
ファブレスメーカーとして活動。洗剤や脱臭剤などを顧客企業と共同開発してOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。

近年はオリジナル商品の大手EC(電子商取引)モールなどでの販売にも着手している。

③土木建設資材事業
地盤改良やコンクリート補修補強、汚染土壌の改良などに用いる薬液類を、土木資材メーカーや土木工事施工会社などに提供している。とりわけ土壌汚染についてはサステナブル(持続可能性)が重視される中で、食品生産・製造の際の副産物を活用した同社の薬剤の活躍余地は、まだまだ大きい。

――このように「幅広い領域」で、原材料の選定から商品開発までと「川上から川下まで」対応する同社には、オレオケミカルに関するあらゆる情報が集約。中国上海とタイに設けた海外拠点を通じたグローバルな知見と調達力も活用しながら、顧客企業から「一番にお声がかかる選ばれる会社」を目指している。

【業績推移】2Q進捗は“良好”
第2四半期(23年4~9月、2Q)は売上高が前年同期比11.9%減の111億1,300万円、営業利益は同24%減の2億3,600万円だった。過去最高益をたたき出した前期からは縮小したものの、過去2番目の実績となっている。

減収減益の要因は、原料となる油脂価格の低迷に伴って製品価格が低下したこと。加えて、中国経済の減速懸念を受けて自動車関連など主要得意先からの受注が減少したことなどが挙げられる。

しかし足元の油脂価格は低位で安定している。マレーシア・パーム油の月平均価格は22年5月に6,907RM(マレーシア・リンギット)と、過去10年余りの水準2,000~3,000RMから急騰したが、23年5月以降は3,000RM台後半で落ち着いている。

24年3月期については売上高で前期比1.2%減の242億3,200万円、営業利益は同32.5%減の3億2,900万円を計画している。2Qの進捗率は売上高が45.9%、営業利益が71.7%と、利益については好調に推移している。

【株主還元】優待導入で大注目
配当については、将来の事業展開のために必要な内部留保を確保しつつ、安定的に継続する方針だ。過年度の1株当たり配当額を基礎に25%以上という配当性向を目標としている。

昨年12月15日には株主優待制度を導入することを発表した。3月末時点での株主に対して、3単元(300株)以上の保有につき3,000ポイントなどと保有株数に応じて様々な商品と交換できるポイントが付与される。

※本稿は1月19日~21日に東京ビッグサイトで開催された「資産運用EXPO」における個人投資家向け会社説明会において、昭栄薬品の藤原佐一郎代表取締役社長が行った講演内容、資料からポイントを抜粋したものです。数値など全てのデータも講演時点のものになります。