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銘柄・相場情報2024年5月23日

企業研究 産業用エレクトロニクス 電力インフラの成長続く

再生エネ、DC、半導体工場などが牽引

三菱電 明電舎 富士電マーク

太陽光発電、風力発電など再生エネルギー導入の拡大、AI普及に伴うデータセンター(DC)の増加、国内で相次ぐ半導体工場の建設などを背景に電力インフラ関連株が堅調に推移している。

人口減少が続く中でも、電力需要は底堅く伸びる見通しとあって、一連の関連株の中から産業用エレクトロニクスの大手に注目してみたい。表に挙げた3社の2025年3月期はいずれも増収増益で、中期的にも順調な業績拡大が期待される。

三菱電機(6503・P)の25年3月期は前期に続き最高益を更新する見込みだ。インフラ事業の売上高は前期比733億円増の1兆1,100億円、営業利益は同145億円増の460億円を見込む。このうち電力システムは発電事業新会社成立に伴う移管の影響があるため、前期比162億円減の売上高3,300億円、営業利益は同14億円減の170億円の予想だが、全般は底堅い。防衛システムの拡大も続く。

このほか、FA制御システムの価格改善でインダストリー・モビリティ部門も増益を確保すること、空調機、パワー半導体などの好調が続くことなどが注目ポイント。また、前提為替レートは1ドル=140円、1ユーロ=150円と保守的で、現状の円安水準が長引けば増加修正となりそうだ。

明電舎(6508・P)も25年3月期は連続して過去最高益の見込み。売上高が同7.7%増の3,100億円、営業利益が同17.8%増の150億円を計画。同社は送電・変電設備のほか、水インフラなどの社会システム、EV(電気自動車)・半導体関連の事業を手掛ける。前期の電力インフラは北米、シンガポール、インドなど海外変電事業が好調だったほか、国内の電力エネルギーが伸びた。中期的には国内の電力需要拡大、施設の老朽化を受け国内電力会社の設備投資拡大の恩恵が大きい。海外も拡大が続くも変圧器、真空遮断器、制御盤などの需要が伸びそうだ。今期の電力インフラの売上高は前期比7.8%増の838億円を見込む。営業利益は同13.0%減の56億円の予想だが、保守的とみてよさそうだ。今期は社会システムの営業利益が18億円の黒字に転じることも大きな評価ポイント。前期は国内の社会インフラ、水インフラで工程の遅れが生じたうえ、資材高の影響を受けセグメントの営業利益が4億5,300万円の赤字となっていた。

SMBC日興証券は明電舎について20日付で投資判断「1」を継続し、目標株価を3,300円から4,700円に引き上げている。同証券では今期の営業利益について30%増、来期は18%増と急成長を予想、割安感があると指摘している。

富士電機(6504・P)はここまでパワー半導体の成長性が評価されてきたが、ここにきてデータセンターや半導体工場向けの変圧器、無停電電源装置、配電盤など電力インフラ関連の成長性にも関心が高まっている。

このほか、発電所建設まで含めた総合電機では日立製作所(6501・P)三菱重工(7011・P)などがある。変圧器、受変電設備などの老舗ではダイヘン(6622・P)東光高岳(6617・P)、配電盤の日東工業(6651・P)などをマークしておきたい。

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