日経平均 一時3万9,000円回復
2日の日経平均株価は続伸し、一時、約1カ月ぶりに3万9,000円台を回復。ニューヨークダウが最高値を更新するなど米経済は堅調で、再びじわじわと円安傾向になっていることもあり、8月の大荒れ相場の影響は払拭されたようだ。東海東京インテリジェンス・ラボの岡本祐太マーケットアナリストはこのほど開かれたメディア向け勉強会で、2000年以降の日経平均株価の四半期別騰落率で、7~9月が最低だったと指摘。夏枯れの年は年末にかけて上昇傾向が期待され、今は仕込み時だと予測した。
月別で最も成績が悪いのは1月だが、7、8、9月の平均騰落率はいずれもマイナスとなっている。一方で11月はプラス2.6%と最も高く、12月も1.5%とそれに続いている。金利動向や地政学リスクが不透明なため、今年は保守的な業績予想の企業が多く、プライム企業の通期予想は全体として減益見通しになっているが、今3月期第1四半期(1Q、4~6月)は好スタート。経常利益が市場予想を上回った企業が全体の72%と例年より多い水準になっている。岡本氏は「今年も年末に向けた強気スタンスは変わらない」と分析する。
昨年来、日本の株価上昇の要因となったのが、東証のガバナンス改革による低PBR対策。大型バリュー株への資金が入った。商社、自動車など代表的なバリュー株でPBR1倍を達成できた銘柄も出てきたが、8月21日時点でも、依然として52.4%が1倍未満のまま。大型株でも市況関連を中心に1倍割れ銘柄は多い。東京電力HD(9501・P)など時価総額5,000億円以上の企業でも、PBRが0.8倍未満かつROE(自己資本利益率)8%以上の銘柄が残っている(表①)。
①PBR0.8倍未満かつROE8%以上の主な銘柄 | |||
コード | 銘柄 | 実績PBR | ROE |
9501 | 東京電力HD | 0.43 | 8.1 |
7261 | マツダ | 0.45 | 13.1 |
5411 | JFEHD | 0.50 | 8.6 |
9502 | 中部電力 | 0.53 | 17.4 |
7267 | ホンダ | 0.60 | 9.3 |
※東海東京インテリジェンス・ラボまとめ、8月23日時点 |
企業の内部留保は22年度まで11年連続で増加しており、増配や自社株買いなど株主還元の余地がある。東証がTOPIX構成銘柄の見直しを進めていることもあり、岡本氏は「PBRをテーマとした物色は今後も続き、継続的な上昇期待につながると思っている」と、出遅れ銘柄の選別を提案する。
また、岡本氏が注目するのが、保守的な会社計画の一方、1Q時点の進捗率が過去3年より高く、ポジティブサプライズが見込める銘柄。例えば日本ハム(2282・P)は1Qの経常利益の進捗率は49.5%と、過去3年平均の41.4%を上回っている。2Q以降に上方修正があり得そうだ(表②)。
②1Qの進捗率が過去3年平均を上回る銘柄 | |||
コード | 銘柄 | 進捗率 | 過去3年平均 |
2282 | 日本ハム | 49.5 | 41.4 |
9005 | 東急 | 46.0 | 26.4 |
8630 | SOMPOHD | 44.9 | 30.8 |
9007 | 小田急 | 44.9 | 35.7 |
8830 | 住友不動産 | 38.9 | 32.7 |
※東海東京インテリジェンス・ラボまとめ、8月23日時点 |
1Q時点で通期予想を上方修正した企業も、相当な自信の表れで、期待できるという。海運大手3社、ファナック(6954・P)、フジクラ(5803・P)などが挙げられる。今後の為替動向にも注目だ。アドバンテスト(6857・P)は上方修正したうえ、想定為替レートが1ドル=143円で、海外売上高比率が95%。今後の為替動向によってはさらに上振れが期待できそうだ。(HS)