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トップ記事2024年9月2日

年末高に向けた仕込み時 低PBRやポジティブサプライズが狙い目

日経平均 一時3万9,000円回復

東海東京インテリジェンス・ラボ
岡本祐太氏

2日の日経平均株価は続伸し、一時、約1カ月ぶりに3万9,000円台を回復。ニューヨークダウが最高値を更新するなど米経済は堅調で、再びじわじわと円安傾向になっていることもあり、8月の大荒れ相場の影響は払拭されたようだ。東海東京インテリジェンス・ラボの岡本祐太マーケットアナリストはこのほど開かれたメディア向け勉強会で、2000年以降の日経平均株価の四半期別騰落率で、7~9月が最低だったと指摘。夏枯れの年は年末にかけて上昇傾向が期待され、今は仕込み時だと予測した。

月別で最も成績が悪いのは1月だが、7、8、9月の平均騰落率はいずれもマイナスとなっている。一方で11月はプラス2.6%と最も高く、12月も1.5%とそれに続いている。金利動向や地政学リスクが不透明なため、今年は保守的な業績予想の企業が多く、プライム企業の通期予想は全体として減益見通しになっているが、今3月期第1四半期(1Q、4~6月)は好スタート。経常利益が市場予想を上回った企業が全体の72%と例年より多い水準になっている。岡本氏は「今年も年末に向けた強気スタンスは変わらない」と分析する。

昨年来、日本の株価上昇の要因となったのが、東証のガバナンス改革による低PBR対策。大型バリュー株への資金が入った。商社、自動車など代表的なバリュー株でPBR1倍を達成できた銘柄も出てきたが、8月21日時点でも、依然として52.4%が1倍未満のまま。大型株でも市況関連を中心に1倍割れ銘柄は多い。東京電力HD(9501・P)など時価総額5,000億円以上の企業でも、PBRが0.8倍未満かつROE(自己資本利益率)8%以上の銘柄が残っている(表①)。

①PBR0.8倍未満かつROE8%以上の主な銘柄
コード 銘柄 実績PBR ROE
9501 東京電力HD 0.43 8.1
7261 マツダ 0.45 13.1
5411 JFEHD 0.50 8.6
9502 中部電力 0.53 17.4
7267 ホンダ 0.60 9.3
※東海東京インテリジェンス・ラボまとめ、8月23日時点

企業の内部留保は22年度まで11年連続で増加しており、増配や自社株買いなど株主還元の余地がある。東証がTOPIX構成銘柄の見直しを進めていることもあり、岡本氏は「PBRをテーマとした物色は今後も続き、継続的な上昇期待につながると思っている」と、出遅れ銘柄の選別を提案する。

また、岡本氏が注目するのが、保守的な会社計画の一方、1Q時点の進捗率が過去3年より高く、ポジティブサプライズが見込める銘柄。例えば日本ハム(2282・P)は1Qの経常利益の進捗率は49.5%と、過去3年平均の41.4%を上回っている。2Q以降に上方修正があり得そうだ(表②)。

②1Qの進捗率が過去3年平均を上回る銘柄
コード 銘柄 進捗率 過去3年平均
2282 日本ハム 49.5 41.4
9005 東急 46.0 26.4
8630 SOMPOHD 44.9 30.8
9007 小田急 44.9 35.7
8830 住友不動産 38.9 32.7
※東海東京インテリジェンス・ラボまとめ、8月23日時点

1Q時点で通期予想を上方修正した企業も、相当な自信の表れで、期待できるという。海運大手3社、ファナック(6954・P)フジクラ(5803・P)などが挙げられる。今後の為替動向にも注目だ。アドバンテスト(6857・P)は上方修正したうえ、想定為替レートが1ドル=143円で、海外売上高比率が95%。今後の為替動向によってはさらに上振れが期待できそうだ。(HS)