政府の観光立国推進閣僚会議が5月30日に開かれ、「インバウンド拡大アクションプラン」がまとまった。大阪・関西万博が開かれる2025年までに訪日外国人旅行者数を過去最高の3,200万人超にすることを掲げ、観光客だけではなくビジネスなど、他分野でのインバウンド需要も拡大していく。
プランでは従来、観光の観点から重視されていなかった分野を強化することを指摘した。訪日外国人旅行消費額を早期に5兆円達成するとした。そのために、「ビジネス」「教育研究」「文化芸術、スポーツ、自然」の3分野で計78の施策を展開していく。
ビジネス目的での訪日外国人旅行消費額はコロナ前の19年の7,200億円から25年には8,600億円と2割増。展示会・見本市への外国人参加者数も13万9,000人から16万7,000人へと2割増を目標とした。そのためにビジネス交流拡大に資する国内投資の拡大や開発拠点の整備、海外企業経営者層の招へい、ビジネスマッチング拡大、国際金融センターの拠点化などを打ち出した。
「教育研究」でも海外からの研究者の受け入れ数、科学技術などの国際会議への外国人参加者数をそれぞれ2割増加させる。「文化芸術、スポーツ、自然」でもスポーツ目的の外国人旅行者を2割増加。同時に海外向けコンテンツビジネスの育成支援や世界のアート市場でのシェアをランク外から7位にアップさせるなどの取り組みを行う。
岸田文雄首相は「観光の視野を広げ、広い分野でインバウンド拡大の取り組みを深化させていく。目標達成に向け、政府一体、官民一体となって取り組んでほしい」と期待を寄せた。
政府の対策が進んで訪日客が増えれば、インバウンド銘柄として定番のANAHD(9202・P)、JAL(9201・P)、JRグループなどの交通関係や旅行代理店、ドラッグストアなどの業績に恩恵がある。 それ以外でもビジネス面での交流で翻訳センター(2483・S)、ソースネクスト(4344・P)などの通訳関連、帝国ホテル(9708・S)などの高級ホテル、さらにステラファーマ(4888・G)のような最先端医療の外国人利用拡大も想定される。また、アート市場拡大ならShinwa WiseHD(2437・S)など従来以上に幅広い銘柄が追い風を受けそうだ。(HS)