トヨコー(341A)が3月28日、グロースに新規上場する。
工場のスレート屋根を独自工法の「SOSEI(ソセイ)」で補強するSOSEI事業と、高出力サビ取りレーザー施工装置「CoolLaser(クーレーザー)」で橋梁(きょうりょう)、鉄塔などのインフラをメンテナンスするCoolLaser事業を展開している。売上高の8割弱がSOSEI事業だが、CoolLaser事業は今3月期に売上高10倍以上の急成長を計画している。
SOSEI工法は2006年に独自に開発。瞬間硬化する特殊な3層の樹脂を老朽化した屋根上に吹き付けて補強、防水効果もあり建物を延命できる。2層目まで吹き付けることで、屋根で作業しても踏み抜けない強度が生まれ、転落事故を防げる。また、1層目に断熱効果のあるウレタンフォームを吹くことで、空調の効率化、電気代の削減につながる。建屋内部に影響しない工法のため、工場を稼働させたまま作業できる。
施工実績は昨年12月までに累計152万平方メートルに上る。高度成長期に造られた多くの工場が老朽化していることに加え、近年の大型台風やゲリラ豪雨などの気象災害で、今後、補修ニーズが拡大することが見込まれる。
CoolLaser事業は従来、切断、溶接などに使われていた高出力レーザーをクリーニング用に応用し、分厚いサビ、塗膜除去に利用できる技術。08年に基礎研究を開始し、18年に初めて外部資本調達をして開発を加速した。(1)橋梁(2)鉄塔(3)海事(4)その他(プラント・保管)の4つの重点分野を掲げている。
インフラメンテナンスの需要が高まる中、光を用いることで産業廃棄物を大幅に削減。作業負担も軽いうえ、ロボット化も容易。サビや塩分の高品質な除去で、塗り替え工事の頻度を低減させるメリットがある。今後、国内だけでなく、米国進出に向けた準備をしていく。
25年3月期の業績は売上高18億9,100万円(前期比72.7%増)、営業損益1億8,400万円の黒字(前期は1億8,900万円の赤字)を見込んでいる。
概要
●事業内容=3層の樹脂をスプレーコーティングして強靭な屋根によみがえらせる「SOSEI」の施工および老朽化したインフラのサビや塗膜などをレーザーで除去する「CoolLaser」の製造・販売
●本社=静岡県富士市青島町39
●代表者=豊澤一晃代表取締役CEO
●設立=1996年3月
●上場前資本金=2,000万円
●発行済み株式数=1,302万6,600株(上場時)
●筆頭株主=豊澤一晃(上場前38.53%)
●公募株式数=100万株
●売出株式数=270万株(ほかにオーバーアロットメントで55万5,000株)
●仮条件=3月11日に決定
●ブックビル期間=3月12日から18日まで
●引受証券=SMBC日興(主幹事)、大和、みずほ、SBI、松井、マネックス
業績推移(個別)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2023.3 | 1,119 | ▼117 | ― | ― |
2024.3 | 1,095 | ▼157 | ― | ― |
2025.3(予) | 1,891 | 165 | 13.60 | ― |
※単位100万円、1株利益は円、▼は損失 | ||||
2023年3月期は連結決算 |