内需、インバウンド、低PBR是正などをマーク
15日の株式市場では日経平均株価が4日ぶりに反発したものの、後場はマイナス圏で推移する時間帯が多く、戻りは鈍かった。ただ、生損保、銀行を中心に金融セクターが買い戻されたほか、アドバンテスト(6857・P)、東京エレクトロン(8035・P)などの値がさハイテク株の上昇が指数を支えた。14日の米国市場でNYダウが6日ぶりに反発、ナスダック総合指数が大幅続伸したことも支えとなった。
米国では今後の金融政策を占う重要指標である2月のCPI(消費者物価指数)が発表され、エネルギーと食品を除くコア指数が前年同月比5.5%(市場予想と一致)と、1月の同5.6%上昇から鈍化した。次回(3月21~22日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では0.25%の利上げ予想がされているが、シリコンバレーバンク(SVB)破綻問題を巡る不透明感が払拭されていない足元の情勢を踏まえ、利上げが見送られるとの観測も出ている。
日本株はどうか。そもそも3メガバンク、地銀をはじめとする金融セクターの急落のきっかけは、10日の日銀政策決定会合が「現状維持」となったことだった。植田和男次期日銀総裁が国会で金融政策の変更には時間をかける旨の発言をしていたにも関わらず、一部で黒田総裁下でのイールド・カーブ・コントロール(YCC=長短金利操作)撤廃が観測されていたことの反動が出た。日銀の政策変更への期待が後退したところに、週明け13日にはSVB破綻問題が加わっての急落劇だった。この日の戻りを見ると、14日までに目先的な売りは一巡したようだ。
また、SVB問題の国内銀行に対する直接的な影響は限定的であり、植田新総裁のもと金融政策の見直しが行われるという方向性自体には変わりはないとみられる。こうした状況を踏まえ、揺り戻しに警戒しつつ、金利の上昇が追い風となる3メガバンク、地銀、生損保などは中期スタンスでマークしながら、仕込み場を探りたい。
当面は日米の金融政策や国内の企業業績を見極めたいとの姿勢から、全体相場の上値が重くなる可能性は残る。そうしたなかでは、内需やインバウンドの回復で恩恵を受ける銘柄やセクター、低PBRの是正などが引き続き有望なテーマとなろう。米国の金融引き締めペースが鈍化する見通しが強まれば、国内でも半導体製造装置などのハイテクやIT関連のグロース株に物色の矛先が向かう展開が想定される。(M)