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トップ記事2023年7月3日

映画人気復活、記録更新も 上期興収100億円超の作品3本 宮崎アニメ10年ぶり新作も期待

東宝(9602・週足)

コロナ禍で打撃を受けた映画人気が完全復活――。今年上期に興行収入100億円を超えた大ヒット映画は3本に上り、過去最多のペース。14日に宮崎駿監督の10年ぶりの新作アニメ映画「君たちはどう生きるか」が公開されるなど、今後も話題作がめじろ押し。6月に入り、大手シネコンが相次いで値上げしたが、足元の観客数は衰えていない。過去最高の年間興行収入だった2019年の2,611億円を上回ることが期待されている。

興行収入100億円を突破したのは東宝(9602・P)配給の「名探偵コナン 黒鉄の魚影」(4月公開)131億円、任天堂(7974・P)が出資した「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」(同)123億円、東映アニメ(4816・S)制作の「THE FIRST SLAM DUNK」(昨年12月公開)101億円。過去最多タイだった昨年の年間4本に早くも追いつきそう。

アニメ作品が上位を占めているが、東宝配給の「劇場版TOKYO MER」「わたしの幸せな結婚」、東映配給の「シン・仮面ライダー」など邦画の実写版も20億~40億円台と堅調だ。海外作品は公開中のディズニーの実写版「リトル・マーメイド」が20億円を突破したが、「アラジン」「美女と野獣」など往年の名作アニメの実写版シリーズとしてはやや物足りない。こうした状況を受けて、東宝の5月までの累計興行収入は前年比23・4%増と絶好調。

夏休みの期待作となる「君たちはどう生きるか」(東宝配給)は、吉野源三郎の戦前の小説から題名を取っているものの直接の原作ではなく、冒険活劇ファンタジーになるという。しかし、事前の宣伝をしないという異例の手法で、公開まで2週間を切ったのに出演者は非公開。果たしてこのプロモーション戦略が吉となるか。

その後も、ゴジラの新作(11月公開)、大ヒットアニメ「SPY×FAMILY」の劇場版(12月公開)など話題作が待機している。

一方、帝国データバンクによると主要映画館50社の半数が今年、料金を値上げ。標準的な映画料金は2,000円となった。光熱費や人件費増に対応するためだが、最新設備への投資も進んでおり、付加価値のある鑑賞体験を提供することで値上げへの理解を求めている。

このほか、中国や韓国など海外で日本のアニメ映画が大ヒット。4月には中国での「すずめの戸締まり」の興収が日本国内分を上回るなど、映画会社の業績を上乗せしている。(HS)

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