いま拾うべき銘柄の「傾向」とは?
個人投資家の皆さん覚悟を決めてください。日経平均まだ“底”ではありません。
ロシアのウクライナ侵攻を契機に、高い石油を安い円で買っているわが国の企業はさらに大きなダメージを受けることになるでしょう。しかし一方で、まったく困っていない国があるのも事実。私たち投資家は日々のニュースに過剰反応することなく、そのニュースで「誰が儲かるのか?」に想像をめぐらせてチャンスをつかむことが大切です。
ちなみに過去の戦争、例えば1990年8月2日のイラクによるクウェート侵攻に端を発した湾岸戦争も、日経平均は当初こそ下落したものの、翌年1月に連合軍がイラクへの派遣を決めて空爆、まさに「砲撃の音」を聞くとすぐに急騰、上昇トレンドに転じています。
真の勝者は誰なのか?
石油の値段が上がることによって儲かる人たち、ロシアもウクライナも産油国ですが、世界一といえば中東です。ですが彼らは「真の勝者」ではありません。サウジアラビアはひと昔前までは皆がひれ伏して石油を売ってくださいとあがめられていたものの、再生エネルギーの隆盛で忘れ去られた存在に。しかし今後は中国に代わり、盛り返したオイルマネーをどんどん突っ込む先が――米国債券だと推測されます。
米国債券の現在の上得意先は中国です。しかし中国は米国と敵対しています。とはいえ中国をたたくと米国は債券を購入してもらえず、そこで、これまで2年かけて静かに石油の価格を釣り上げることで新たなオーナーを作り上げる――という準備が進められていたように思えてなりません。
石油の「奥」に見えるもの
そして冒頭の「誰が儲かるのか」。米国は今回の件でも、たきつけておきながら一切、損をしていません。石油価格の上昇、これは、米ドル建ての商品ですから、ドルの上昇を意味しますし、結果、輸入大国である米国は物価上昇を抑えることもできます。加えて代替となるクリーンエネルギー大国でもありますし、さらに、テスラといった関連企業がさらに誕生する期待とも相まって株式市場への資金流入も期待できます。イノベーションが起こりやすくなって設備投資も進むでしょう。景気浮揚してGDPも押し上げられる。そして足元では鳴かず飛ばずだった軍事産業でさえビジネスチャンスが生まれています。
難民がどんどんやってくるEU(欧州連合)の債券が選択肢に上るわけもなく、米国の一人勝ちは確定です。しかし米国にはつい最近まで債務の問題があったはずです。昨年12月、このままいくとデフォルトになるとイエレン氏が発言していたのですが――。こうしてニュースは目まぐるしく書き換えられていくのです。
ゲームチェンジに「乗る」
果たしてこの先に何が起こるのか? プーチン氏が去ったロシアは中東に次ぐ産出量を誇る石油を自由にコントロールできる世界になっています。これを米国が握ることができたら? オイルマネーで中東を潤わせて、今後は中国ではなくサウジアラビアに米国債を買わせることで次は米中問題に突っ込み、日本は第二のウクライナに? といった可能性も決してゼロではありません。
いずれにしても投資家はこのチャンスに乗ることが重要です。チャンスとは「株価が安くなること」。安くなった中から、配当をしっかり出し続けて5年先も残っているような会社を見つけて、株主になる必要があります。
銘柄選択においても「米国目線」が重要です。一体どんな企業が買われるのか? 米国を動かしてお金儲けをしている方々が好みそうな企業を先取りする、あるいは、昭和の大投資家・竹田和平氏が好んだ「ニッチトップ」といった、地味だけど真に良い企業を探す、この二択を間違えてはいけません。前者は例えばソニー。かつては創業者・盛田氏のDNAに満ち溢れていたものの中身をすっかり変えてしまった企業ですが、このように外国人の自由度が高い会社を先取りするといった戦略もあるかと思います。
地味だけどコツコツ業績を伸ばして配当も途切れない、そんな銘柄を安値で拾っておきましょう。