株式評論家・テクニカルアナリストの木村佳子氏が6月30日、日本証券新聞が開催する「個人投資家向け会社説明会&株式講演会」に登壇。相場の注目点、そして、同日に会社説明会を行った2社、イワキ(6237・東P)、マリオン(3494・東S)などについて解説しました。
ドラマなどから見える米国の日常も日本とさほど変わりません。不景気です。一般生活者のレベル感が収れんしている。そんな状況は株価チャートにも表れています。そして金利動向や資源価格などの先行きが見通せない限り投資家は様子見を決め込むでしょうから、日米の株式市場については「下値余地はまだ残っている」というのが私の見立てです。
一方で「クリスマスは楽しく過ごしたい」が、多くの機関投資家の本音でもあります。外資は7月から新しい期が始まりますから「ここで安く仕込んでおきたい」という思惑がうずまいている。ましてや今年に入って急落したGAFAなどで大損したプロ投資家たちは必死になって、これを補填する術を探しています。当面は売買を大きくやる、相場は乱高下する――といった状況が想定されます。
そこにきて世界の中央銀行と日銀との方向性の違い。外国人は、安い円資産を、強い自国通貨で買い漁っています。「日本で大暴れしてやろう!!」と息巻いています。SNS(交流サイト)などで情報が巻き散らかされている昨今、個人投資家の皆さんは「より強い意志」を持って銘柄選びに取り組まなければなりません。
イワキ 業績も株主還元も「堅実」
長期目線で応援を
日常生活で見掛けることがないポンプ、はっきり言って“地味”。しかし、あらゆる製造現場で“なくてはならない存在”ですから、同社はコロナ禍でも業績をしっかり伸ばせています。ポンプを販売市場ごとに「水処理市場」「半導体・液体市場」「医療機器市場」「化学市場」「表面処理装置市場」「新エネルギー市場」、そして「その他の市場」と7つに分類しており、これらすべての市場で2022年3月期は売上高が前年実績を超過しています。
業績堅調。にも関わらず、株価はここ3年ほど900~1,100円台での横ばいが続きます。2期連続での増配を予定しており、本日(※)始値ベースの予想配当利回りは3.7%と投資家にとってうれしい水準ですから、現在の株価は“買いやすい”とも言えます。
先述したように、機関投資家の目にとどまりやすい銘柄は、この先、ボラティリティに不安が生じる可能性があります。地味だけれども堅実成長を続けるイワキのような銘柄を長期目線で応援するのも一考の価値ありかもしれません。
マリオン インフレ高耐性の不動産
「IR積極化」で飛躍?
不動産賃貸から証券化までを手掛けるマリオン。株価は18年9月13日のIPO(新規上場)当日に付けた3,860円をピークに、長らく1,000円前後での推移が続いていますが、本日(※)始値は881円と、今年に入ってからは1,000円割れが常態化しています。
不動産は競合が多いものの、インフレ耐性が高いという特徴から投資家に選好されやすい業態でもあります。しかしマリオンのネックは「出来高」です。あまりにも少なく投資家が自由に売買できる状態にはありません。ただし、本日の講演で福田社長が「これまでIR(投資家向け広報)やPRに力を入れてこなかった。個人投資家向けの施策は今日が初めて。これからは積極的に行う」と力強く宣言されていましたから、今後は認知度拡大に伴って改善されてくることが期待されます。
※本稿は6月30日に行われた株式講演会の内容をテキスト化したものです