中計達成は成長の一里塚
エコノミスト櫻井英明氏が注目する企業のトップにインタビューする本企画。今回はランドコンピュータ(3924・P)の福島嘉章代表取締役社長。銀行系システムを中心に学校法人を起源として発祥。創業3期目以降50年以上黒字経営を継続している。社是の「こころで決まる」を実践し、常に革新的企業文化風土を維持し継続。情報技術のリーディングカンパニ―として象徴的な言葉だ。世の中のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を背景に成長を続けている現状と未来像を聞いた。
――田町のランドコンピュータ本社に伺うと、まずは各種の資格取得者の一覧が目に留まります。
創業母体が学校法人だったからこそ人材に対する積極的投資を行ってきました。社員一人当たり平均4つ程度の資格を持っています。
単にITだけでなく、金融や流通などの知識習得のための資格を持つ技術者集団であることで顧客目線のサービスの向上、顧客満足につながります。その延長線上が顧客、協業先、協力会社との強固なパートナーシップにつながってきました。
――歴史と信頼に裏付けされた基盤と考えてよいですね。
SIerでは主要取引先は富士通グループ、日立グループ、NTTグループ、TISインテックグループ、日鉄ソリューションズなど。
直販としては三菱総研DCS、三井住友トラスト・システム&サービス、出光興産など。
そしてパッケージベンダーではセールスフォース・ジャパン、スーパーストリーム、AWSなど。セールスフォース・ジャパンからは過去に「開発案件数で国内No.1」の「ベストインプリメンテーションパートナー」、富士通ソフトウェアマスターの「トップテクノロジーカンパニー賞第1位」、スーパーストリームの「クラウド・ビジネス・アワード」などを受賞しています。
――DXビジネスの拡大が目覚ましいです。
市場自体が急成長分野です。今後は従来型開発とDX型開発の使い分けが重要になります。つまり短時間でサービスの提供と改善を繰り返すシステムですね。アジャイル開発(開発工程を機能単位の小さいサイクルで繰り返す。仕様変更に強くプロダクトの価値を最大化することに重点を置いた開発手法)とローコード開発(画面部品やロジック部品を組み合わせることよって、工程を短縮または自動化。短い開発期間で、高品質かつ安定したシステム開発を行う)を適材適所で推進していきます。
――業績の拡大が継続。前期は売上高が100億超、営業利益も10億円を超えました。
おかげさまで2023年3月期は売上高で20.7%増収の115.7億円。営業利益は40.2%増の12.2億円。いずれも過去最高を更新しました。今期は売上高124億円(7.1%増)、営業利益14.29億円(17.0%増)の見通しです。営業利益率が10%を超えますから今期着地予定の中期計画「VISION2023」の数値目標はクリアします。前期末配当は期初予想の14円→21円に増配し年間35円の予定です。
――投資家さんにメッセージを。
東証プライム上場企業としての数値目標は重要な課題ですし、今後も資本コストや株価を意識し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指していきます。ITソフトウェアという社会のインフラ基盤は直接触れることはなくても重要な役割を担っています。これらを積極推進している当社の必要性や未来展望を感じていただき応援していただければありがたいです。