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その他2022年6月16日

経済評論家・杉村富生氏「株式講演会」書き起こし

猛暑に打ち勝つ夏相場の対処法!

ここに来て米国FRB(米連邦準備制度理事会)高官の発言に世界経済も株式市場も振り回されております。しかし、日本の個人投資家がこれに振り回される必要は、まったくありません。
米国は利上げを続けます。かつて米国は第2次オイル・ショックによるインフレを抑制するため、当時のFRB議長は1979年から81年にかけて政策金利を6%から18%まで上げました。猛烈に引き上げた結果、訪れたのが「株式の死」。NYダウは82年8月12日に776ドルまで暴落しました。

ただし、その後は、レーガン大統領による米国の再構築運動が展開されて、偉大なアメリカが復活。40年後となる今年1月5日には3万6,952ドルと約48倍になりました。株価暴落、その後は大チャンスが訪れた、ということです。

恐らく今回も数年のうちに米国には再び大チャンスが訪れるとは思います。しかし、足元については、米国連銀をはじめ各国の中央銀行がドルを引き上げると言っている以上、これまで続いた世界的な株高は、いったん終了です。

日本株「選別」 3つのキーワード
私が皆さまに申し上げておきたいのは「だからどうなんだ」ということです。

米国株と日本株の状況は違う。そもそも日本株は「出遅れ」ています。例えばPERですと米国18倍に対して日本は13倍、PBRは4.7倍に対して1.2倍にとどまりますから、日本の株式市場には「割安なのに過去最高益」といった優良銘柄が続出しています。

なにより足元ではNYダウが下がっても反発するなど「打たれ強い」。とことん売られたものが逆転、売り方が大きく買い戻す相場になる可能性もあるのです。

キーワード① オイルマネーの動向
オイルマネーが日本株を買っています。サウジアラビアの政府系ファンドが任天堂(7974・P)の大株主に登場して注目されましたが、恐らくKDDI(9433・P)も買っていると私は感じています。彼らは社会インフラ、といってもその国にとって、ではなく、世界で競争力を持つ企業を買っています。ハイテクは好みじゃない。そういう意味では電力とか鉄道などが買われる可能性もあるかと思います。

キーワード② 吹き返すインバウンド
今夏の大きな柱になると思います。7月にはGo Toキャンペーンが再開される予定ですし、既に予算が1.3兆円あります。参議院選挙の切り札は地方活性化で行こうとなるでしょうし、足元の円安も追い風です。

コロナ前ですと米国には年間8,000万人、フランスとスペインにも同程度の観光客が訪れていましたが、日本はわずか3,000万人。オイルマネーにも選好されている鉄道あたりはおもしろいかと思います。

来年のG7サミットは広島で開かれますが、外相会談は長崎で行われます。今年9月には新幹線が開通してアクセスが一気に便利になるテーマパークを持つ旅行会社あたりは大穴だと言えそうです。

キーワード③ 異常気象と「水」ビジネス
世界規模でラニーニャ現象が起こっています。日本では先ごろ関東の一部で雹(ひょう)が降りました。直径3センチメートルといいますから、直撃したら命が危険なレベルです。日本はこれくらいで済んでいますが、米国もブラジルも干ばつですし、インドは熱波に襲われています。

水が足りません。地球の75%は水ですが、真水は3%、飲料向けはわずか1%しかありませんから、水ビジネスを手掛ける企業は大いに注目できます。

■本稿は6月7日に日本証券新聞が開催した個人投資家向けセミナーでの杉村富生氏の講演内容を抜粋したものです。セミナーでは、本文で紹介した3つ「以外」の選別キーワードと具体的な銘柄も語られています。その様子をおさめた動画は「日本証券新聞Digital版」で無料視聴できます。

■日本証券新聞のセミナーは全国で不定期開催しております。事前申込不要。参加無料。今後の開催予定につきましても「日本証券新聞Digital版」をご覧ください。

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