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銘柄・相場情報2023年7月18日

花盛り!株主提案 否決ながら最多得票は? ITbook37%賛同の背景

3月期決算企業の株主総会集中日から早3週間。今年は過去最高となる90社に株主提案が寄せられ、実際に東洋建、NCHD、FVCなどで株主提案議案が成立した。また、否決はされたが、北越コーポ、宮地エンジ、タチエス、日精機、文化シヤは内外アクティビストの株主提案が3割台の賛成票を集めて大いに話題を呼んだ。そうしたなか、地味ながら“否決組”で最高の得票率となったのがITbookHD(1447・G)への株主提案だ。6人の取締役選任議案が37.47~37.69%に達している。

提案を行った恩田饒氏(写真)と言えば、かつての大和証券常務で、2009~21年にITbook代表取締役を務めた88歳。古巣の後継社長を諫めるに至った経緯は6月22日付本紙で紹介した通りだが、その主張は総会でも一定以上の賛同を得たことになる。

そもそも会計上の疑義から決算書類が作成できない状態で開催された今回の株主総会。議題は取締役選任などに限られ、事業報告や会計報告は後日の「継続会」で行うという極めて異例の事態となった。出席した株主によると、わずか数十人程度の参加者で質問を1人1問に限定したり(後に撤回)、質問のたびにマイクのある最前列まで出向かせたりと、株主の発言を抑えようとする姿勢が垣間見られたという。5月に発覚した連結子会社経理担当マネージャーによる6,700万円横領事件についても、社外取締役から「金額的に大したことはない」との“問題発言”が飛び出し、謝罪に追い込まれるドタバタ劇があったとか。

ITbookは発行済み株式の8割が個人株主保有とされる。「多くの賛成票を頂いたのは株主への手紙を読んでもらえたためだと思う。ただ、手紙を出すタイミングが招集通知より若干遅れ、既に会社側提案に賛成するハガキを出してしまった方もいると聞く」(恩田氏)。手紙が早ければ結果も違っていたか?(K)