TOP  NSJアップデート  銘柄・相場情報  関西地盤4社がIR戦略について語る
銘柄・相場情報2022年3月31日

関西地盤4社がIR戦略について語る

池田泉州銀行×日本証券新聞「IR座談会」開催

東証の市場区分の変更が目前に迫る中、ますます重要性を増すIR(投資家向け広報)戦略における上場企業の悩みは尽きない。そんな悩みを共有して今後の方向性を模索するべく、関西地盤の上場企業4社のIR担当者が座談会に参加した。

「IR座談会」テーマ
①個人投資家向け戦略
②機関投資家向け戦略
③資本政策&インセンティブプラン

座談会の主催は池田泉州銀行本店営業本部第2部と、日本証券新聞社。“今までの銀行”といった枠組みにとらわれないサービス提供としての試み。司会はテトラワークス代表取締役の大庭崇彦氏。企業価値向上を目的としたコンサルティングを手掛け、これまで50社以上のIPO(新規上場)に携わった大庭氏が3つのテーマを設けて悩みの「核」を引き出す。

テーマ①個人投資家向け戦略/方向性について

▶千趣会(8165)のケース
(サービスや商品を実際に)使っていただいた「気付き」を個人投資家から「ご意見」としていただくことがある。このようにして当社のことをご理解いただき、結果、株を長く保有していただけるといったところで、当社は優待制度をしっかり作り込み、残してきた。一方で機関投資家からは配当に関するお声を当然いただく。当社としては「一気にどちらかに寄せる」ではなく「しっかりバランスをとる」が正しいカタチだと考えている。

▶ファーマフーズ(2929)のケース
当社は個人株主の議決権比率が70数%と高水準。最近は「距離感」を意識している。

YouTubeにトライした(※1)のも「本音に近い」を求めた結果で、例えば、個人投資家からの質問に「そんなこと聞かないでよ~」などと返せるような雰囲気になれたらと思っている。

▶タカミヤ(2445)のケース
当社は「建設用足場」業界ではトップクラスだが、業界自体が一般の方にはまったく知られていない。私自身も入社当時は足場というものがレンタルあるいは販売されていることなど知らず、建設会社さんが用意しているのだろう程度の認識だった。

そんな足場のイメージを変えるためホームページのリニューアルから着手。投資家に限定せず、お客さまから学生までと幅広く、まずは広報活動を強化することで認知拡大に取り組んできた。

▶ODKソリューションズ(3839)のケース
直近ではウェブサイトを利用。若年層の投資家を意識してネット証券や投資系ウェブサイトなどに広告を出している。近年は市場変更が続き(※2)こうしたタイミングも戦略的に使った。加えて2020年からクオカードという形で株主優待を導入したところ3000名程度から5000名超と株主数が1.8倍ほどに増加した。

テーマ②機関投資家向け戦略

これも重要施策の機関投資家&セルサイドアナリスト開拓。4社中3社が「自力でミーティング先やカバレッジ先を探している」と回答している。

▶大庭氏コメント
「自発的に開拓」は私が知るケースでも多くない。だいたいは受身、面談依頼が来たら対応する、が一般的だ。そのような中で積極的に“まさに営業”といったスタンスで取り組まれていることを知り、非常に感動した。各社IR担当者にも共有していただければと思う。

(※1)21年9月に「IRラボ~IRの“中の人”が本音を語る!~」と題して行われたオンラインイベント。撮影・配信からトークまで河中氏ひとりでこなした。サブタイトルは「一般的な決算説明会では決して聞けない本音を語る実験的企画」。
(※2)20年3月にJASDAQから東証2部、同年12月には東証1部へ変更。

本稿は2月24日に行われた座談会の一部を抜粋したものです。テーマ②③に関するトークを含めた「完全版」の内容は動画でご確認いただけます。詳しくは「>>>日本証券新聞Digital版 <<<」で。

関連記事