TOP  NSJアップデート  インタビュー  <特別対談> 50億円稼いだ伝説のディーラーたけぞう氏×あらた鈴木洋一副会長 ~後編~
インタビュー2022年8月25日

<特別対談> 50億円稼いだ伝説のディーラーたけぞう氏×あらた鈴木洋一副会長 ~後編~

営業利益向上が一番大切

最高業績が続く卸商社大手のあらた(2733・P)。伝説のディーラー・たけぞう氏と鈴木洋一副会長の対談後編では今後の成長ドライバーについて話を聞いた。

――ペット関連商品が非常に伸びているが、今後も期待出来るのか。
期待出来ると思っている。コロナ禍で在宅時間が増えたことで、ペットの新規飼育頭数が増加し、ペット市場全体が拡大している。ペットの長寿化も進んでおり、商品を必要とする期間が長くなるだけでなく、栄養価や安全性に特化した高付加価値・高単価のプレミアムフードなどが好調で、単価全体を押し上げている。

ペットフード・用品は、当社のグループ会社である「ジャペル」で取り扱っている。ジャペルは、ペット卸において圧倒的No.1の規模を誇り、他社を寄せ付けない競争力がある。ペット用品売場をトータル提案できる幅広い品ぞろえがあり、自社運営の小売店舗も持っているため、小売業様の課題やニーズを把握した上での提案が可能である。

近年は人間もペットも高齢化し、いわゆる「老々介護」になることもある。その社会的課題解決に向けて、老犬(老猫)ホーム「あにまるケアハウス」を埼玉県に開設した。そのほか、ペットの体調が悪い時に飼い主がオンラインで獣医に相談できる仕組みや、必要な商品をジャペルのEC(電子商取引)サイトで購入できる構想も進めている。

――化粧品はコロナ前より需要が減っていると思うが、コロナ前に戻るのか。
アイテムの幅がさらに広がると考えている。マスクをしていると口元は隠れ目元に視線が行くようになる。リップの需要は減るが、アイメイクは新しい商品が出てきており、好調である。また、マスクの摩擦や蒸れで肌荒れに悩む方も増え、スキンケアの需要も高い。関連して肌に優しいマスクも出てくる。化粧品から関連商材へ広がり、ビジネスチャンスが十分にある。人々の「健康と美」への需要に、当社のヘルス&ビューティーの品ぞろえ強化で応えていきたい。

――2020年9月に中国の「衆上集団」と提携したが、中国ビジネスの展開はどう考えているか。
日本国内だけでなく、アジア圏全体の製造から販売までのサプライチェーンを構築したいと考えている。現状、コロナ禍により中国との行き来ができず、活動が一部制限されており難しいところもあるが、目標を明確にして中長期的に成長させていきたい。

また、衆上グループとの提携で、彼らの中国におけるECのノウハウを活用することを検討している。人気のある日本製品を輸出して中国国内で販売したり、中国で開発・製造した商品を日本に輸出したりするなどいろいろな方法がある。

――売り上げ、利益などで一番重視しているのは。
営業利益を上げることが一番大切だと思う。そのために売上総利益を高めることが重要。利益率が高い商品の構成比を上げれば売上総利益の額が上がり、使えるお金ができるので物流、人材などへの投資もできる。

――昨年、配当性向30%目指すことを掲げて、今期も増配するが今後も続けるのか。
当社は過去からも増配を続けてきたが、それ以上に利益の伸び率が高く、配当性向が20%程度にとどまっていた。株主の皆さまの満足度を高めるためには、利益を上げることと、配当性向を標準より高くすることが必要だろうと30%を目指し向上させている。今23年3月期は、通期136円を予想し配当性向は24・4%となっている。

――株主優待への考え方は。
続ける予定である。機関投資家も重要だが、当社の取扱商品は日用雑貨・化粧品であり消費者にとって身近なものである。長期で企業の成長を考えてくださる個人投資家層を厚くすることが経営を強くする。優待はそのきっかけとなる。