長期ビジョン2025年の売り上げ500億円へ「着実」に
【事業内容】供給戸数は業界トップクラス
主力事業は投資用マンションの企画・開発・販売。2021年の販売戸数は884戸と、首都圏での総供給戸数6028戸に対して約15%のシェアを持つ。
主力ブランド「アルテシモ」は「3チカ」が特徴だ。東京23区内・山手線の駅から30分圏内と「都心から近い」、最寄駅から徒歩10分圏内と「駅から近い」、結果、「高いチカ(地価)」を長期的に担保できる。
扱うマンションは25平方メートル程度、単身者向けのコンパクトタイプ。東京都内に限って言えばコロナ禍でも転入超が続き、全人口の約半数が単身者というデータがある。
【中期計画】CAGR経常利益で50%ペース維持
今年2月に「GLM VISION 2030長期構想」を策定。「不動産×環境×DX(デジタルトランスフォーメーション)によりサステナブル(持続可能)な不動産開発・運用No.1」という戦略の下、まずは24年までの3年間で売上高500億円、経常利益50億円を目指す。
経常利益は前期実績14億円から今期20億円、来期は30億円を計画。CAGR(年平均成長率)49・8%と非常にアグレッシブだが、これを「4つの戦略」で実現する。
戦略1: 開発する物件の資産価値の向上を図る
いまや投資のみならず事業活動に欠かせないESG(環境・社会・ガバナンス)の概念を不動産にも取り入れる。具体的には、環境に配慮したZEH(ゼッチ、Net Zero Energy House、エネルギーを消費しない住宅)、ZEB(ゼブ、Net Zero Energy Building、エネルギーを消費しないビル)に、これから自社で開発する投資用マンションについては全て対応させる。既に対応を始めており、現時点では、東京都内のマンションデベロッパーの中ではもっとも多くのZEH対応物件を扱っている。
今年3月には米国の証券取引委員会が上場企業に対して、保有する不動産に関する気候変動リスクについての情報を開示するよう定めた。欧州でも同様の動きがあり、マッキンゼー・アンド・カンパニーは世界の不動産について「グレート・リプライシング(価値の再選別)が起こる」と提唱。当社はそのような動きを先取りすることで資産価値を向上させる。
戦略2: 開発物件の販売効率を上げて利益率を高める
開発については、資金の制約を受けないオフバランス開発(資金を自社ではなくパートナーが負担)を加速させることで、リスクを低減しつつ物件数を拡大。販売についても、これまでの「個人投資家向けに1部屋ずつ」から「機関投資家向けに1棟まとめて、竣工(しゅんこう)前から契約可能」へと、直近2~3年かけてシフトチェンジを図ってきた。
結果、パイプラインの積み上がりは順調。今期は新築販売計画を914戸と計画しており、これらの仕入れは当然、完了しているが、来期計画の944戸についても98%、再来期1240戸についても46%が完了している。
戦略3: 時代に即した新しいセグメントを確立する
レジデンスについては目標のNo.1が見えてきた状況だが、それ「以外」、具体的には物流倉庫の開発、コロナ禍の以前に着手していたホテルについてもアクセルを踏む。
戦略4: 事業エリアを拡大する
レジデンスについてはこれまで東京集中だったが、全国展開へとチェンジ。まずは1都3県+関西から着手する。
【直近決算】過去最高更新、下期さらに伸長?
22年12月期の上期は売上高171億円、経常利益11億円、販売戸数481戸と、いずれも過去最高を更新。通期目標に対する進捗率も50%程度と、非常に順調だ。資産価値向上、機関投資家向けバルク販売といった戦略が進んでおり、下期についてはさらなる伸長も期待される。
ちなみに販売先は海外機関投資家がメイン。足元の円安は当然「追い風」。一方で建築資材などコスト高が懸念されるものの、ZEH対応など付加価値によってこれを吸収できている。
【株主還元】増配も?成長投資を優先するが…
配当性向30%を掲げているものの、当面は事業成長を優先するべく今期5億円、来期10億、再来期は20億円の投資資金を想定している。ただし投資を実施しない場合には、これらを配当に振り分ける。
現在はプライム市場の上場維持基準に対して流通時価総額が達していない。株価のコントロールはむずかしいが、業績をしっかり実現することでクリアしていく。
※本稿は2022年9月29日に東京都内で開催された個人投資家向け会社説明会におけるグローバル・リンク・マネジメント金大仲代表取締役社長の講演内容からポイントを抜粋したものです。