サイフューズ(4892)が12月1日、グロースに新規上場する。
独自の技術「バイオ3Dプリンティング」(三次元細胞積層技術)を使い、患者自身の生きた細胞から血管、神経、骨軟骨や移植可能な臓器などを作り、機能の回復や新薬開発を目指す再生医療ベンチャー。
再生医療に用いる組織や臓器を開発するには、コラーゲンやゲルなどの人工材料を使うことが一般的だった。一方で、サイフューズ社が開発を進める再生医療等製品は患者自身の生きた細胞のみを材料とするため、移植後の拒絶反応や感染症のリスクが小さく、安全性が高い。生体との親和性が高いことから、患者自身の組織や臓器が持つ本来の機能を再生させることが可能になるとしている。
事業領域は、①再生医療等製品の承認取得に向けたパイプラインの開発と、研究用細胞製品の受託②製薬企業などを相手方にした、創薬支援用のツールとしての細胞製品の開発③基盤技術を搭載した三次元細胞積層システム機器(バイオ3Dプリンターと消耗品)などの開発、販売の3つがある。
将来の収益の柱と見込む再生医療等製品については、現在、末梢神経、骨軟骨、血管の再生にかかる主要パイプラインの臨床開発に取り組んでいる。自社開発したバイオ3Dプリンターを使えば細胞から成る製品を任意の形状にすることが可能で、血管、神経など様々な口径や長さの組織を作ることができる。
末梢神経再生のための再生医療等製品は医師主導治験を実施中で、2023年からの企業治験開始、25年の承認申請、26年の承認取得を予定する。同様に骨軟骨再生は23年から医師主導治験を始めて26年の承認申請、取得を予定。血管再生は27年の承認申請、取得を目標にしている。また、1社単独による開発のリスクを低減させ、事業計画実現の確度を高めて製品化につなげることを見据えた事業戦略として、岩谷産業(8088・P)、太陽HD(4626・P)などと業務提携を結び、共同開発に当たっている。
22年12月期の業績予想は、売上高3億6,700万円(前期比48.2%減)、営業損益5億円の赤字(前期は7,000万円の黒字)を見込む。主要パイプラインの臨床開発や次世代パイプラインの研究開発などへの先行投資を進めることで当面は営業赤字が膨らむものの、26年ごろから再生医療等製品の上市による黒字化を目指す。
上場により調達した資金は現在開発中の末梢神経再生、血管再生などの再生医療パイプラインの臨床試験費用、次世代パイプラインの研究開発費用、人件費、システム維持費用などに充てる。(YY)
概要
●事業内容=バイオ3Dプリンターを用いた再生医療等製品の開発・製造・販売
●本社=東京都港区三田3-5-27
●代表者=秋枝静香代表取締役
●設立=2010年8月
●上場前資本金=1億6,903万4,000円
●発行済み株式数=716万8,000株(上場時)
●筆頭株主=SBI Ventures Two株式会社(上場前7.23%)
●公募株式数=125万株
●売出株式数=27万9,300株(このほかオーバーアロットメントで22万9,300株)
●仮条件=11月11日に決定
●ブックビル期間=11月15日から21日まで
●引受証券=SBI(主幹事)、岡三、SMBC日興、三菱UFJモルガン・スタンレー、楽天、アイザワ、東洋、松井、水戸
業績推移(単体)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2020.12 | 137 | ▼327 | – | – |
2021.12 | 708 | 144 | 285.53 | – |
2022.12(予) | 367 | ▼476 | – | – |
単位100万円、1株利益は円、▼は赤字 |