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インタビュー2022年11月28日

トップインタビュー コンドーテック 近藤勝彦 代表取締役社長 インフラや建設現場を支え続ける資材メーカー商社

用途と販売先は「無限大」、売上4割増へ「堅実」成長続く

1947年創業の老舗モノづくり企業ながら、時代の流れや景気の波に翻弄されることなく“進化”を続ける企業がある。70年余り経常利益ベースでの赤字なし、直近11期連続増配を続けるコンドーテック(7438・P)の近藤勝彦代表取締役社長に「強さの秘訣」を聞いた。

――建設資材などの製造・仕入・販売を手掛ける御社。「建設」は、どちらかというと衰退産業のように感じるが、その中で着実に成長を続けている。なぜか?

「建設」と一口に言ってもインフラなど土木から建物を造る建築までと幅広い上に、市場規模は約60兆円と非常に大きい。市場が少々縮んだところで、やりようは、いくらでもあるものだ。

例えば「ネット」。建築現場では事故防止や日光・風雨対策などで既に広く使われている商材だが、これを鳥獣害対策として農業や造園業向けへと販売先を広げたり、これも広く使われている「ブルーシート」を「緊急物資カタログ」に加えることで、役所や空港など防災意識が高い領域に改めてアプローチすることができる。

――発想が非常にユニークだ。

既存商材であっても目線を少しだけ変えたり隣の領域を加えるなどして、当社はこれまで成長を続けてきた。

始まりは「海」。現在も本社を置く大阪市西区は70年前には運河が広がり、木造船が行き交っていた。当初は造船所で部品を吊り上げるワイヤーロープに取り付ける金属製の「クリップ」作りを家内工業で対応していたが、間もなく販売先を建設など「陸」に広げたり、ワイヤーロープそのものも手掛けることに。

――結果、現在の取扱いアイテムは約5万点、販売先は約2万6,000にもおよぶ“守備範囲の広さ”がコンドーテック最大の特徴と言えそうだ。

クリップから始まった当社は金額が小さい取引に対しても抵抗感がない。代わりに数多く対応する。こうして生まれたメリットがリスク軽減だ。
建設現場ではビルの柱や梁に使われるH鋼など「主資材」を扱えば売り上げは一気に上がる。当社はそれも可能なのだが、あえて「副資材」、柱と基礎とをつなぐアンカーボルトといった金属部材などを多品種・小ロットから、ただし数をこなすことで、失注といったリスク発生時のダメージを最小限に抑えている。

――数は、アイディアあってこそ。どこから浮かぶのか?

これも日々の積み重ねだ。そもそも数が多いため社員がニーズに触れる機会は多く、そのニーズは多品種を扱うため細部にわたる。ヒット商材「角フックボルト」は鉄道橋と枕木とを固定する部材で、強度を保ちつつ列車走行による揺れに耐え続けるしなやかさを備える。ある社員が未開拓だった鉄道会社で掘り当てたニーズ。現在は専門部署が立ち上がり当社の業績を支えている。

ちなみに当社は資材を販売する商社機能と、ニーズをカタチにするメーカー機能とを持ち合わせており、新商材がさらなるニーズを生むという環境にあることも強み。加えて海から始まった当社は環境問題への意識が高まっている昨今、洋上風力発電施設にかかわる資材についてお声掛けいただくなど、確かに守備範囲の広さも特徴と言える。

――中期経営計画について。「2020年代中に売上高1,000億円を目指す」とのこと。実現性はあるか?

コツコツ積み上げていく当社の業績はそう大きくブレることはない。2023年3月期予想700億円からの延長線上に1,000億円は、ある。

例えば「鉄構資材」を切り出すと、全国の鉄骨需要が年間500万トン弱あり請負価格は30万円/t程度、つまり、建設市場における鉄の市場規模が1兆5,000億円だと仮定する。しかし当社が手掛ける副資材の規模は全体の1割程度にとどまり、ならば逆に9割を占める主資材について、リスク軽減を意識した従来戦略での可能性を探るといった広げ方もあるだろう。

――最後に株主還元について。上場来減配ナシ、今期は12期連続の増配を計画。株主フレンドリーな会社だと感じる。

すぐに株価が2倍、3倍に、という会社ではないものの、株主の方々には長く安心してお付き合いいただける存在であり続けたい。