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インタビュー2022年12月1日

経済アナリスト 馬渕磨理子がアイリックコーポレーションを徹底分析 【前編】

システム好調で第1四半期好スタート

的確な企業分析が人気の馬渕磨理子氏と、アイリックコーポレーション(7325・G)の勝本竜二代表取締役社長CEO(最高経営責任者)の対談を2回にわたりお送りする。【前編】ではこのほど開示した2023年6月期第1四半期業績の分析をはじめ、足元の事業環境を中心に聞いていく。

――22年7~9月期は前年同期比3.4%増収、9.9%営業減益での着地だった。
業績は想定以上に好調だった。売上高の伸びが3.4%にとどまったのは、昨年の同時期に法人の大型契約があった影響が大きい。法人部門のみでは売上高が前年同期比64.6%も減っており、そのマイナス分を他の部門でカバーした結果が示された。全体としてかなり順調に伸びたという印象だ。

利益に関しては第1、第2四半期は赤字を想定している。テレビCMなどの先行投資や、人材育成でかなり費用が発生すること、それから先ほど申し上げた大型契約がなくなった点を踏まえているため。それでもプラスになったということで喜ばしい結果だった。

――牽引役はシステムだと聞いている。
部門別の売上高はシステムが前年同期比27.7%増と伸びている。紙の資料をなくしていくという時代のニーズを反映して、企業のデジタル化の入り口のシステムであるOCR(光学式文字読取認識)事業が非常に好調だ。

ここでは業種を問わずお客さまの引き合いが入っている。ソリューション事業部が担当している金融機関はもちろん、子会社のインフォディオがアプローチする官公庁でも大きな結果につながってきた。

システムは開発費用が先行して出ていくため、なかなか収益、利益につながらないが、最近はリカーリングであるとか、サブスクリプションでのストック売り上げがすごく伸びている。これによってシステム事業は利益率がぐっと変わってくるとの期待が持てる。

――保険販売事業におけるコロナ禍の影響は一巡したのか。
明らかに変わってきたのは店頭にふらっと来られる方が増えたこと。コロナの感染拡大によってずっと低迷していたが、こういった方々が戻りつつあるのは非常に大きい。この傾向は毎月公表している集客リリースの数字を見ていただくと一目瞭然だ。それから、もともと保険の相談をしたい方に関してはコロナに関係なく予約していただけるので、オンライン予約は引き続き好調を維持している。

――23年6月通期では17.8%増収の見込みだ。
ポイントはシステム事業と直営店の戻りの2つで、システムで33.4%、直営部門では27.7%増収を計画している。ウィズコロナの環境のなかでトップラインを上げるため、資金を使っていく計画で進めているところ。上期に投資しているので、今後は第2四半期の状況を見ながら投資を継続するか、回収していくのかとかいう判断をしたい。

――新たに3カ年計画も策定しました。
ちょうど2年前に「3年後のあるべき姿」を計画したものの、残念ながらコロナと付き合うことになってしまった。そこで、いったん仕切り直しをしての3カ年計画では、今期と来期は投資を一定程度先行させて、3年目にしっかり回収していくことを考えた。特に、今期については利益にこだわるというより、トップラインにこだわっていきたいという思いで進めている。

広告宣伝費に関してはGRPという総視聴率の指標をもとに、『保険クリニック(R)』の認知度を算出して、そこで出てきたのが3年で約25億円という数字だ。予算には既に織り込み済みであり、今後は保険クリニックを知る人が増えてくるので、お店にふらっと立ち寄ってくれる方、あるいはウェブ予約もかなり増えると思っている。しっかりとブランディング活動をしていきたい。

【後編】(12月9日付)に続く