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コラム2022年12月22日

セミナー書き起こし/トレックス・セミコンダクター(6616・東証プライム)


【会社名】トレックス・セミコンダクター(6616・東証プライム)
【実施日】2022/12/08(金)13:30~
【会 場】電気文化会館5階『イベントホール』(愛知県名古屋市中区栄)
【スピーカー】トレックス・セミコンダクター株式会社
執行役員 経営企画室 室長 前川 貴 氏

▶本テキストはトレックス・セミコンダクターが参加した「日本証券新聞主催・個人投資家向け会社説明会」での講演内容をまとめたものです。

▶当日の様子は YouTube でご視聴いただけます。


皆さんこんにちは。証券コード6616、トレックス・セミコンダクター株式会社の経営企画室、前川と申します。本日はご来場ありがとうございます。

限られた時間ですけれどもトレックスという会社のことを説明させていただきますので、ぜひご興味をお持ちいただければと思います。

本日は
■会社紹介
■事業内容
■直近の業績
■中期経営計画
■株主還元

ということでお話をさせていただきたいと思います。

■会社紹介


1995年に設立して、2014年にJASDAQスタンダード、その後、東証2部、東証1部を経由して、今年の4月に東証プライムに上場しております。

会社の本社は東京都中央区にあります。社長は芝宮孝司と申します。資本金は約30億円です。

事業内容は「半導体デバイスの開発、設計製造と半導体デバイスの販売」です。工場を持たないファブレスという形で、日本では非常にめずしい半導体会社だと思いますけれども、そのようなかたちで運営しております。

グループとして1066名おりまして、トレックス・セミコンダクター単体では180名の会社になります。


沿革になります。

半導体の製品、非常に幅広いんですけれども、我々トレックス・セミコンダクターは「電源IC」と言われるアナログ分野の半導体を手掛けております。

特に我々が力を入れているところは、電源ICの中でも「省電力で小型である」というところで、エレクトロニクス産業を支えていきたいというふうに考えています。

設立は1995年、岡山で設立しておりますが、本社は当時から東京に置いております。

その後は海外の販売会社を色々立ち上げてきました。一番最初に作ったのがシンガポールにある販売会社ですけれども、こちらの方は当時、省電力・小型の電源ICというもので、ソニーのウォークマン、特にスタミナウォークマンと言われる長時間駆動するものに使われたということで、マレーシアの工場をサポートするために、シンガポールに最初の販売拠点という形で置きました。

実は海外売上が非常に大きい会社でして、その後はトレックスUSAということでアメリカ、ヨーロッパ、上海、香港、台湾という形で海外への拠点を、ある程度人がいる地域をカバーするようなイメージで会社を作っていきました。

ちなみに「工場を持たない会社」という形になっているんですが、1点だけ、ベトナムに小さなアセンブリの会社を持っております。

■事業内容


事業内容を少し説明させてもらいますと、我々、大きくはトレックス・セミコンダクター(以下トレックス)というのと、もう一つグループの中にフェニテックセミコンダクター(以下フェニテック)、横文字の会社になりますが、こちらも日本の会社でございます。

大きく2つ会社がございまして、トレックスが親会社で、フェニテックが100%の完全子会社という形になっております。

トレックスはファブレスで、アナログ電源ICをやっているというところなんですけれども、実は、フェニテックはこれとは真逆に近く、半導体受託専業のいわゆる半導体ファウンダリと言われるもの、工場でして、世界的に一番大きく有名なところはTSMCなんかが台湾でやられてますけども、日本では恐らくフェニテックしかないと思うのですが、専業で受託をやっている会社を子会社として持っているという形になっております。

トレックスの方を少し最初に説明させてもらいますと、先ほどからお話している通り、省電力・小型化の技術があるということと、「蓄積されたアナログ回路のノウハウ」と資料に書いておりますが、実は、アナログ回路設計というのは、1人前になるまでに5年10年、正直10年ぐらいかかるものでして、なかなか世界的に見てもエンジニアが少ないところに対して、トレックスではそこをすごく育成しながらノウハウを蓄積しているということと、製造はやっていないんですけれども、マーケティングから製品企画、販売会社もあって、もちろん品質保証があり、生産管理ができるという、製造以外のファンクション(機能)は全てトレックスで持っております。

逆に製造のところは外に頼んでいるわけですけども、プロセス、いわゆる半導体プロセスというのをいろいろな工場で頼むことによってフレキシブルに対応することができる。大きな投資をかけなくても生産していくことができるという、そういう利点もございます。

ただ、高品質をキープしていくというのは、作る会社が別会社になりますので、そこは我々の品質保証部門がしっかりサポートしていかないといけないということになっております。

それに対して、フェニテックというのがもう一つの柱でありますが、実はこちらの方が売上が大きいような会社になります。後ほど売上比率が出てきますけども、フェニテックの方が実は大きい。子会社なんですけれども、こちらの方は歴史的には約50年以上、半導体の工場としてやっている会社になります。

日本の企業として50年以上やっているということで、非常に品質であるとか、そういうノウハウを持っている会社でして、ただ、やっている製品としては、ディスクリートと呼ばれる単機能の素子に近いものが主になっております。

最近はディスクリートの中でも、パワーデバイスと呼ばれるパワーMOSFETがあったり、IGBTと言われるものであったり、さらにはシリコンカーバイド、SiCとかGaNと言われるような化合物半導体であったり、そういうものも生産することができる工場でして、我々としては省電力のトレックスとハイパワーをやるパワーデバイスをやっているフェニテックというのがうまく組み合わさっているような会社だと思っております。

両社の関係ですけれども、トレックスは工場を持っていない会社ですので、どこで生産しているのかというと、大体70%ぐらいがフェニテックに依存しております。残りの30%ぐらいは台湾であったり、韓国であったり、また日本の別の企業を使って生産しています。

逆にフェニテックから見るとトレックスは親会社ではありますが、どれくらいの比率をトレックスのものを作っているかというと、実は15%程度しかフェニテックから見るとトレックスのものは作っていません。逆にいうと85%はトレックス以外のものを生産してフェニテックは成り立っているということです。

子会社と言いながらも、影響力をできるだけ下げて独立採算を強め、それぞれの分野でちゃんとやっていこうというところで繋がっているわけなんですけれども、そうすると、“良いとこ取り”という言い方をすると、すごく言葉的には良いんですけれども、トレックスにとってはファブレスであるけども、使いやすい工場があるということになり、フェニテックから見ると、ファウンドリですので市場の情報が入ってこないという状況にあるものの、トレックスと繋がっていることで情報が非常に得やすいということ、それぞれwin-winの関係を作って、トレックス、フェニテックという会社でトレックスグループとして今、運営されております。


ワールドワイドに展開しており、ドルベースの売上が70%程度ありますので、世界的な拠点をお示ししますと、ヨーロッパはイギリスに拠点がありまして、中国は上海、香港、深セン、あとは台湾にございます。

アメリカはカリフォルニアに販売拠点がアーバインという場所なんですけれども、ちょうどロサンゼルス・エンゼルスの近くにありますけれども、もう一つはR&Dセンター、いわゆる半導体の開発ですので、いわゆるシリコンバレーに開発センターがございます。この2拠点がアメリカにはございまして、それ以外だとシンガポールがあります。

日本国内には、トレックスは本社が東京です。あと大阪に関西技術センターということで、そちらで設計をやっております。札幌にも技術センターがあり、こちらはテストが中心です。あとは名古屋に営業所があり、フェニテックの方は設立が岡山の会社ですので、岡山に2工場、第1工場と第2工場があります。もう一つ鹿児島にも工場があるという会社になっております。


我々の製品のことを理解していただきたいなと思いまして、深掘りした話をさせていただきます。

トレックスの電源ICというのは、どういうところに使われてどういう特徴があるのかというところを、ノートパソコンの絵で説明させていただきます。

ノートパソコンの中にはCPUであったり、メモリーであったり、USBポートとかHDMIポートとか色々なものが機器として入っております。そして、それぞれの機器というのは、それぞれ必要な電圧とか電流が異なっていまして、それがぴったりマッチしないと誤動作してしまいます。

トレックスの電源ICというのは、こういったところにACアダプターからささった大体18ボルトとか16Vの電源を、それぞれのパーツに必要な状態で提供していくというのが、電源ICの役目になります。

ですので、簡単に言えば、そういう電子機器があれば、その中に組み込まれている電子基板の上には必ずこういう電源ICが、あるいはマイコンやセンサーがあれば必ず電源ICが必要になります。なにしろ「何とかポート」というものがあれば、必ず電源ICがなかったら動かないというくらい、電源ICとは、非常に機器の中では重要な役割を示しております。

そうした事情から、世界中にこのような電源ICを作っている会社さんが結構あるんですけれども、その中でトレックスが何を特徴として、そこで闘っていくのかという部分に関しては、右の図にまとめてございます。

電源ICの中で、我々はずっと追い続けているのが小型化と省電力化、この2点をずっと強みとして培ってきております。

特に小型化になれば、最近では薄いものであれば、シャーペンの芯より薄いパッケージ、0.3ミリメートルの薄さというか厚さというか、そういうパッケージにした状態で、小型機器に実装されていきます。
それでいて単機能ではなくて、ちゃんとICとして動くというものになっています。

あとは省電力化です。これはずっとバッテリーに使われるようなところでやってきましたので、いかに長持ちさせるかということを機器メーカーさんであったり電池メーカーさんと常にお話しする中で、我々としては通常の簡単な電源ICもあるのですが、DCDCコンバータと呼ばれるコイルを使った、電源ICの種類がございます。

ここは設計的には難しくて特徴も出しやすいというところで、我々としては力を入れて差別化を図っていくというところで、ずっと追い求めているのがDCDCコンバータの世界になります。特に最近の優位性と言えば、トレックスの製品はコイルを使うものなんですけれども、コイルと、コントロールするICとを一体化して、上から見るとコイルが1個あるだけなんですけれども、中身はDCDCコンバータとして動くというようなものを提供していることが当社のストロングポイントとして挙げられます。


どういう市場で売れますか? というところですが、先ほど少しお話をしましたけれども、基盤があるところには、ほぼほぼ入る可能性があります。分野で絞るといろいろ出てきますけれども、「使われる場所」という言い方をすると、もう、「基盤上であればどこでも」使われるというイメージになります。

その中で、強いて、どこを狙っているかというと、最近は産業機器と車、車載になります。こちらの方がいわゆるDCDCコンバータと呼ばれる高機能、ハイスペックなものというのが使われやすい分野だと考えていますので、そういったところで特に使ってもらうように今、戦略的に動いているわけですけれども、分野でいうと「どこでも使われます」というのが正直なところなので、資料に書いてある通り、家電、医療機器、ウェアラブルデバイス、産業機器、車載、そしてPC、コミュニケーションシステム、いわゆるどこの分野でも基盤があれば使われるというイメージを持っていただいたら結構です。


ちょっと手前味噌な話になりますが、トレックスの製品って良いんですか?っていうところですけども、実はもう2018年、19年、20年といろいろな賞をいただいております。

18年にはものづくり大賞を日刊工業新聞さんからいただきました。経産省の方からモノづくり日本大賞もいただきました。19年も日刊工業新聞さんからモノづくり大賞をいただいて、2020年は省エネルギーセンターから省エネ大賞というのをいただきました。今年もですね、今週ちょうど月曜日に表彰式があったんですけども、2022年度のモノづくり大賞、電気電子部品賞というものをいただきました。

これは理想ダイオードというダイオードの種類の分類になりますけども、要はオンオフができるスイッチでして、電流リミットが付いてるとか発熱したら止まるようになっているとか、安全装置の入ったダイオードというようなものを今回、賞をいただいたということになります。


続いてフェニテックを紹介します。

冒頭ちょっと話させていただきましたが、フェニテックというのは国内唯一の半導体受託専業メーカー、恐らく唯一だと思います。それ以外にもファウンドリをやられている会社あるんですけれど、皆さんある程度大きな看板を背負って一部工場をファウンドリで使うというのが多く、一方のフェニテックは一切、自社ブランドを持っていません。完全な専業でやっております。

得意なのは、ディスクリートとパワー半導体というものでして、ここで少し半導体の生産というところをお話ししますと、皆さんもご存知のところも多いと思いますが、まずはプレーンなウエハーを買ってきて、その上にデバイスというものを構造として作っていきます。

作り方としては、その上に写真製版というんですけれども、印刷物を作るように写真を露光して削って形を変えて、また露光して削って形を変えていく中で、このようにシリコンの上にデバイスが出来上がります。この出来上がったものを前工程と半導体の中では呼んでいます。そこから先、基板に黒い塊で載っているものを一個一個切り出してプラスチックの中に入れるという作業までを後工程と呼びますが、フェニテックがやっているのはこの前工程までです。

フェニテックのお客さまも半導体企業が多いんですけども、依頼して前工程まで終わったらお客さまに渡す、その後、お客さまの方は自由に後工程をどこかの工場であるとか自分のところでやられるというのが多いです。

トレックスの方も同じようにフェニテックで作っているものは、前工程までフェニテックで作ってもらって後工程はトレックスが別の、フェニテック以外の第三者の工場に頼んで完成品を作っているというのが作り方になります。

ディスクリートは最近パワー系、特に車であったり、産業機器であったり、パワー系が注目されているので、ここに力を入れているというのが現状になります。


フェニテックの方はそういった受託専業なんですが、実はちょうど半分ぐらいなんですけれども、受託以外にオリジナルというのを作っております。

オリジナルというのは、もちろん受託していくとやり方、作り方は非常に分かります。それをコピーするわけではなくて、自分達のオリジナルに技術に持ち込んでいき、同じようなパワーMOSFETであったりパワーデバイスであったり、そういったものを作りこむことができるようになる。そうすると、お客様の方からレシピを持ち込んでくるケースもありますし、フェニテックに行けばこういう製品が買えるよと聞いて、フェニテックのオリジナルを買って帰ってもらうようになります。

売る製品は、買ってもらったお客さまのブランドとして世に出ていくことになりますので、世界中のディスクリートをやっているメーカーさんの一部では、実はフェニテック製というのが世の中に混ざっているというようなイメージで半導体の方をやっております。フルで全部作るものから部分工程までいろいろ臨機応変に、どちらかと言えば少量多品種というのをうまく利用して作っているのがフェニテックになります。


トレックスとフェニテックは同じセミコンダクター、半導体をやっているけれど、少し色が違うなという風にお気づきかもしれません。

トレックスの方はファブレス、フェニテックはファウンドリ、ただ、どちらも省電力をキーデバイスとしてやっております。そしてトレックスは電源IC、フェニテックはディスクリートとパワー半導体で、今後の重点市場についてはどちらも同じ、産業機器と車載に置いております。

トレックスが考える産業機器というのは5GとかIoTとか、そういった新しい分野のものであったり、全固体電池、半固体電池まわりであったり、また車載機器というのは自動運転の制御する側、マイコン側であったり、センサーとか電子ミラーとかそういったものが付く電子機器の分野が我々トレックスのターゲットになります。

反対にフェニテックのターゲットというのは、産業機器で言ったら、本当にロボット、グインと動くモータードライバーの領域だったり、あとインバーター、発電機、風力発電や太陽光発電などのコンディショナーなど、そういった非常にハイパワーなものを作るお客さまがたくさん付いていまして、同じ産業機器でもカテゴリー的には本当に電力の大きいところになります。

あとは車載関係、車はモーターが付くようになっていますけれども、本当に動かすところ、EVとして動かすといったところを取り組んでいるお客さまがフェニテックにはいますので、そういったところのデバイスを作っていくというのが今ターゲットになっております。

■直近の業績


ちょうど11月の決算発表がありましたので、簡単にお話をさせてもらいますと、売上が昨年比で16%のプラス、149億8300万円から173億8400万円に上がりました。

営業利益の方は91.2%と倍近くなりまして、17億8300万円から34億1000万円になりました。半導体の活況な状況を受けまして、売上、営業利益とも非常に上がっております。

ただ、海外比率が71%ということで、66.9%から71%にちょっと上がっておりますが、まだ正直、少し為替の影響というのが今期に関しては受けております。我々海外比率が大きいものですから、為替は円安が有利に働く企業になっております。


直近業績をグラフ化したものになります。一番右端が今期のQ2、2つ目がQ1になります。ブルーが売上でオレンジが営業利益になるのですが、濃い部分がトレックス、薄い部分がフェニテックになります。見ていただいたらわかるように実は子会社であるフェニテックの方が売上が大きい会社になっておりまして、ここ2-3年ずっと右肩上がりで上がってきている状況になっています。

特に昨年から今年の上期に関しては半導体不足と言われるぐらい半導体が不足していましたので、逆に我々メーカー側からすると、一生懸命作っても不足と言われるというぐらい非常に好調であったという状況で、こういう風に右肩上がりの数字になっております。


今期の着地の見込みは売上高330億円、営業利益50億円ということで発表させてもらっております。進捗率から「控え目だ」と感じる方もおられるかもしれませんが、正直この先は、半導体が失速していますという話は新聞やニュースから出ている通りでして、昨年ほどの活況な状況から少し落ち着いてきているという状況になっております。

今までは注文の残があって、それを作っていたというところもあるんですけれども、この先少し不透明なところが始まったかなという感じを受けております。そのため売上高330億、利益50億円という当初、我々が立てた目標通りということで変えておりません。

■中期経営計画


中期経営計画という形で将来のビジョンをご説明させていただきます。

我々は元々「Powerfully Small!」という言葉をずっと使っています。これは「小さくても力強くやっていく」ということで、目標感としてはCMOS電源IC、CMOSというプロセスを使った電源ICですが、これは、省電力にしようと思ったらCMOSを使わなきゃ駄目だよねというイメージがあります。

あとパワーデバイス。これはフェニテックの方で、化合物半導体を含めて非常に低抵抗のデバイスを作って脱炭素社会の実現を目指します。「今までもこれからも」と書いているのは今日お話したとおり、ずっと我々は省電力・小型化を追い求めてきておりますので、今まで通りやっていきますということで、脱炭素社会に向けて取り込んでいきます。


では具体的にどういうことをしていくのかというところですが、我々GX、グリーントランスフォーメーションという言い方はちょっと横文字になりますけども、絵を描いております。トレックスが考えるGXとは何ですか?というと、一つはトレックスが行っている電子回路の省電力化、いわゆるDCDCコンバータをどんどん推奨して変換効率を上げるということ。そうすると発熱が非常に抑えられますし、発熱が抑えられると、基板面積を小さくすることができるので、さらに我々のICそのものを小型にして、いわゆる電子機器の基板を小さくしていくというのが、非常に小さな取り組みではありますけれども、それが一つの省電力の答えだと思っています。

もう一つは、発熱を抑えるという意味ではパワーデバイスですね。こちらの方は大電流を流すのにおいて抵抗があると発熱してしまいます。これを新しいパワーデバイスを作ることによって、どんどん発熱量を抑えるということ、これをフェニテックの方が担っていくということで、その2つ合わせて脱炭素社会に取り組んでいこうと考えています。


数値的な目標。これは2021年2月に立ててまだ1年半しか経っていないのですが、2023年に売上300億円、営業利益30億円、2025年には350億円、30億円、DOEで3%というものを発表させていただいております。


半導体が好景気であったということをふまえて、現状、2022年の今期の着地予想では330億円と書いてありますので、実は、当時の中期経営計画から見ると2024年を超えていく、最終25年が近付いているということで、1.5年ぐらい前倒しで今、数字的には進んでおります。

さらに、営業利益の方は25年に立てていた40億というのを既に今期の着地予想の中で超えてくるということですので、これは何とか見直すといいますか、この先どうしていくのかというところも考えなければいけないというふうに考えておりますが、ただ数字の面では為替の影響もあって、想定内といいますか、我々としてどうしようもないところで利益が上がっているところもありますので、これはこれで数字として捉えていますけれども、ではやりたいことを、やるべきことをやれているのかというところで、次に、成長戦略というところを紹介させていただきたいと思います。


トレックスの成長戦略は、まずは「タイムリーにマーケットを考えて製品を出していく」。これは非常に当たり前のことですけども、なかなかタイミングを逃すと半導体企業は売れないです。ただ、トレックスの製品というのは今年は逃したから、もう全然ダメだというわけではなくて、非常にライフタイムは長いです。大体5年で売り上げが高くなってきて10年売り上げが続く、長いものでは20年ずっと売り上げが続くというのが電源ICの一つの特徴ですので、そうは言っても一番最初に物を出せるかどうかというのが一応ポイントになりますから、マーケット志向でタイミングにこだわって製品を出すという極めて当たり前のことを書いています。

もう一つ、トレックスという会社はあまりしがらみのない会社です。ですので、M&Aやコラボレーションなどに力を入れて、新しい技術を取り入れたいというのが戦略の中には入っています。

さらに、具体的な内容としては、強みを際立たせた小型・省電力を推進して、特に、車載、産業機器の両市場で存在感を出す、という目標感を持っております。具体的には車でしたらADASや自動運転技術、民生機器ですと5G、IoTを使った新しい、まだ世の中に出ていない機器なども含めて、全固体電池、半固体電池という新しい電池などを利用して5G、IoTこのあたりの新しい機器に向けた電源ICを提供していきたいと考えております。


具体的な例として車を出してみます。ADASの市場は2020年に比べて2030年は約2.4倍に増えますよと言われている市場になりますが、特にセンサーやカメラ周りというのが実装されていきます。これらはとてもセンシティブな電子機器で、非常に安定した電源電流が必要になります。そういったところで高効率、高品質、省エネ、熱の抑制、低ノイズと言われる電源ICとして必要なものをわかっておりますし、われわれは取り組んできていますので、こういった新しいセンサー分野のところで使用してもらいたいと考えております。

既にカーインフォテインメントであるとか、ボディ系のパワーウインドウといったところはトレックスの製品が使われておりますし、最近はクルマの直接の部品ではないもののドライブレコーダーなどにも実はトレックスの電源ICをたくさん使われております。


5Gの話ですが、いま世の中にあるものプラス、今まで見たことのない電子機器というものを企業の方でいろいろ開発しようとしています。5G、IoTが発達してくると、スマホが10年前はなかったのにいまでは当たり前のようになっていますが、そんな新しいものが今から出てくるのではないかということで各社が取り組む中で、早く我々としても入っていきたいと考えております。


ひとつパワーデバイスの紹介になりますが、ノベルクリスタルテクノロジーという会社が埼玉県にございます。こちらはパワーデバイスでは今注目を浴びているシリコンカーバイドであったりGaNという素材がようやく車のほうに採用されると言われていますけれども、それ以上に素材として優れているよと言われているのが酸化ガリウムになります。

酸化ガリウムを素材から作っているのがノベルクリスタルテクノロジーで、彼らはさらに、その素材の上にデバイスですね、ダイオードであったりトランジスターだったり、そういったものを作ろうとしている会社になります。そちらにトレックスは資本を出して協力会社になっております。我々製品の開発を一緒にやりましょうということと、フェニテックのパワーデバイスを作る工場として、彼らの方にできるだけ提供していきたいというふうに考えてコラボレーションしております。


フェニテックの方の成長戦略になりますが、こちらも同じように脱炭素化に向けて、特にこちらはパワーデバイスを今から力入れていきますということなので、一つはシリコン、通常のいつも通りのシリコンを使ってIGBTとか、さらなる特徴のあるパワーMOSFETを出していく。さらに化合物半導体であるシリコンカーバイド、酸化ガリウムというようなものを出していきますよということを挙げております。

シリコン系で今活況を浴びているのはシリコンカーバイドだと言われますけれども、やはり、ベースになるのはシリコンを使ったデバイスになります。そちらの方は通常通り力を入れてくということと、酸化ガリウム、このあたりの開発をしていきますということを方針として挙げています。

数字面では達成していますが、ただ、このような技術というのは案外実直にずっと続けていかないとなかなか成功しませんので、引き続き順調に進めていくという形になります。


シリコンカーバイドの方で現在ひとつだけご紹介できるデバイスがあります。

今活況を浴びているSiCです。これを作れるメーカーさんは限られていますが、実はフェニテックはオリジナルな方法で作ることができております。10年以上かかっているんですけれども、元々は広島大学と一緒にやっていたところから始まり、ようやく第3世代と言われるところのサンプルを出すことができました。現在は特定のお客さまにサンプル評価をしていただいている状況です。

世の中と同じようなスペックのもの、新しく走っているものと同じものが出てきた、ということになりますが、こちらは今期以降、力を入れていき、お客さまのブランドとして展開していきたいと考えております。

こちらは少し特徴的でして、通常のSiCの基板ではなくて、基板的には同じなんですけど、サイコックス社のちょっと張り合わせた基板というのがございまして、通常の単結晶基板よりも安くできるというメリットがあり、後発であっても、何とかデザインイン、カットインしていけるというふうに考えております。

■株主還元


株主還元の話をさせていただきます。配当に関しましては、ここに方針が挙がっております。配当性向は20%以上、株式配当率DOE3%を当面の目標としておりますが、今非常に半導体が活況になっておりまして、今後の更なる成長に向けた生産能力拡大ということをしないといけないということで、多額の投資を実施するために、2020年3月期及び2023年3月期の連結配当性向は残念ながら20%から下がるという形で、ここに書いているような数字とさせていただきました。

今期予想は、配当額としては44円から56円に上げておりますけども、配当性向的には20%を切った状態で動いております。

最後になりますが、私、本日、足元の話はあまりできなくて、将来のこととか、全体論をお話しさせていただきましたけれども、ちょうど11月に我々決算発表会を開催しておりまして、弊社社長の芝宮がお話している動画がございます。ホームページをみていただければ、特に足元の状況は詳しく述べておりますので、チェックいただければと思います。

それでは私からの説明は以上とさせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。

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