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IPO2023年1月6日

IPO社長会見 サンクゼール 食のSPAモデルを全世界へ

サンクゼール(2937)が2022年12月21日、東証グロースに新規上場した。同社は「久世福商店」など3つの食品ブランドを軸に、加工食品のSPA(製造小売業)事業を展開。初値は公開価格を22.2%上回る2,201円。上場当日の記者会見で久世良太代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

全国のこだわりの逸品をお届け……当社の原点は、創業者である私の両親が始めたペンション。当時、私たち家族とお客さまで囲んだ笑顔あふれる食卓の風景を全世界のご家庭で実現するために、「愛と喜びのある食卓をいつまでも」をコーポレートスローガンに盛り込んでいる。事業の最大の特徴は、商品開発から製造・販売に至るまでを手掛ける食のSPAモデルを展開していること。多様な販売チャネルで得たお客さまのニーズを商品開発につなげて日米の自社製造工場で製造するほか、全国各地の作り手と一緒になって商品を作っている。このサイクルを高速に回していくことで、顧客ニーズに寄り添う厳選された商品をお客さまに提供することができている。

ホールセール、グローバルが成長の柱に……直営とFC(フランチャイズ)の店舗事業、EC(電子商取引)事業、流通企業などの法人顧客向けのホールセール事業、そして海外事業のグローバルの4つの事業を展開。このうち店舗事業は、前期の売り上げ構成比が74%と当社で最も売り上げの高い主力事業になっている。ECは2つのビジネスモデルがあり、1つ目は自社ブランドのECチャネルであり、公式ECサイトと楽天サイトの2つで販売している。もう1つはマーケットプレイス型のECサイトである「旅する久世福e商店」がある。ホールセールは全国の小売店を中心に、当社の商品を卸販売しているほかに他社ブランドのOEM(相手先ブランドで製造)を行っている。近年、最も成長率の高い事業になっており、直前期はその前の期と比べて183%と大きく成長している。グローバルは2017年に米国に子会社を設立し、日本向けの製品を製造するほか、米国現地顧客向けの販売を行っている。特に現在、米国でミドルからハイエンドの食品スーパーを中心に新規顧客の開拓が進んでおり、今後大きな成長が期待できる事業だ。

構造改革で収益性改善……営業利益率は21年3月期から22年3月期にかけて大きく成長。この背景には、米国事業の収益性改善とコロナを契機に取り組んだ店舗のスクラップアンドビルドがある。今23年3月期は売り上げの伸びほど利益が伸びない見込みとなっているが、これは高まる需要に対応するために、従来自社工場で製造していた製品群の外注比率が増えたこと、また、米国自社工場で製造する商品が円安に伴い、原価が上昇したことが要因。外注体制の構築は既に完了しており、米国自社工場からの輸入は日本国内への移管を進めるなど対応を進めている。来期以降は売り上げの成長に比例する形で利益も同程度成長していくことを想定している。

強みと特徴……1つ目の強みは差別化されたユニークな商品群の存在。全国各地500社を超えるこだわりの生産者の皆様とのネットワークを構築している。当社のバイヤーは全ての生産者の拠点を訪問し、それぞれの生産者の皆様が持っているこだわりや強みを理解した上で、そこへ当社が得たお客さまのニーズを掛け合わせることで、他のブランドがまねのできないユニークな商品を作り上げることができている。2つ目はマルチチャネルSPAモデルによる高いPFM(プロダクトマーケットフィット)の実現。自社の店舗とECから得たお客さまのトレンドをBtoBのチャネルの商品提案につなげることで、BtoBの先のCに対して価値のある商品提案ができる。最後は自社開発システムによって最適化されたオペレーション。在庫管理システムにはじまり、ポスレジ、ERP、ECサイトなど、当社のエンジニアチームが全て内製化することで、SPAのメリットである一気通貫型のオペレーションを実現している。

FC主体で地方生活圏へ……当社は成長加速期に突入しており、自社店舗を中心とする既存事業で安定した成長を継続し、そこで得られた資金を高い成長が期待されるグローバルなどの領域に投じていくことで、さらなる成長軌道を描いている。また、サンクゼールと久世福商店に次ぐ新たな業態の店舗を開発し、さらなる出店の可能性を探索していく。そして、その先の長期ビジョンとして、今後M&Aによる多数の食のブランドを傘下に迎えていくとともに、グローバル規模でのオンラインプラットフォームを構築し、当社の食のSPAモデルを全世界的に拡大していきたいと考えている。店舗事業は不採算店舗の整理が一通り完了。今後は多様な立地で出店のできる久世福商店の業態で、地方生活圏への展開を中心にFCを主体とする形で進めていく。

グローバル戦略……米国事業が最も成長が期待されるチャネル。各地域の著名なミドルエンド、ハイエンドのスーパーは、多くのスーパーのバイヤーからも注目を集める存在であり、それらのスーパーに商品が採用されることで、当社ブランドの認知が高まり、新規顧客の獲得につながっている。ミドルからハイエンドのスーパーでの採用を勝ち取るために、当社はブランドオリジナルの棚什器を作成し、複数の商品と一緒に陳列することを提案している。現在、棚什器を導入、もしくは取引先の一定スペースの棚を提供頂いている店舗は28店舗あり、5年以内に200店舗への棚什器の設置を目指している。(SS)

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