GENOVA(9341)が2022年12月23日、グロースに新規上場した。医療メディア「Medical DOC」(メディカルドック)の運営や、医療機関向けに自動精算・再来受付機「NOMOCa―Stand」(ノモカスタンド)などを提供している。初値は公開価格を2.2%下回る1,760円。上場当日の記者会見で、平瀬智樹代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
8,000以上の記事で730万PV……人と医療をつないで健康な社会を創るというのがミッション。メディカルプラットフォーム事業とスマートクリニック事業をメインにしている。メディカルプラットフォーム事業は、患者ら一般の方向けに医療情報を提供するメディア「メディカルドック」を運営している。PVは730万PV、医療記事は8,000以上。スマートクリニック事業は、クリニックの受け付けの人をゼロ化するのが目標で、自動受付精算機、セルフ生産レジなどを提供し、累計導入台数は1,200台に上る。対象は町のクリニックや診療所。大きな病院は8,000軒あるのに対して、町の診療所というのは、医科系10万軒、歯科系7万軒の計17万軒ほどあり、そちらへ2つの事業を展開している。当社の設立は2005年で、医療機関向けのホームページの制作から事業をスタートした。5年前からこのメディカルプラットフォーム事業とスマートクリニック事業を始めた。
一般向けは無料で……医療機関は医療情報をたくさん持っているが、患者はたくさん持っておらず、情報格差を無くすべく、メディカルドックで一般の方に医療情報を提供する。何か病気になった時に、どこの診療所に行ったら良いかわからないという問題を解決する。医療記事を日々作っており、一つは病気や治療、闘病されている患者の記事。もう一つが医療機関から料金をいただき、院紹介をするページ。一般向けページは無料で見られる。昨年の売り上げ構成比は60%ぐらい。
専門家のダブルチェック体制……医療情報サイトは信頼性の高い情報を提供する体制ができているかどうかが大事だが、当社は会社を作ってから、医師の先生方とずっとお付き合いをしており、一つ一つの記事について先生の監修を入れ、誰が監修したか名前を入れている。プラスして契約している医療アドバイザーがもう一度記事をチェックしていくダブルチェック体制で記事を出している。信頼性の高い医療情報として、メディアとしてアクセス数を確保してきた。もう一つヤフーニュース、スマートニュースなど大手のニュースサイトと提携して毎日記事を配信している。メディアの露出を高めることで、アクセスを上げてきた。
待ち時間やスタッフ不足を解消……また、患者は診療時間5分でも待ち時間が1時間ということがある。それを解消するためにもスマートクリニック事業を進めている。医療スタッフも、医療事務業務に追われている。われわれのスマートクリニック事業で提供している自動受付精算機やセルフ精算レジ、LINEを使ったCRMツール「CLINIC BOT」の提供で時間を削減できる。クリニックの経営者は、自分のクリニックにあった患者に来てもらいたいというニーズがあるため、メディカルドッグにクリニックの案内紹介の記事を掲載している。さらに、スタッフ不足に悩まされているクリニックが多いので、機械でできるところは機械でやっていこうと、自動受付生産機などを提供している。累計導入台数は自動受付精算機が700台、セルフ精算レジが340台。「CLINIC BOT」も220件提供している。売上構成比は26%。その他事業としてホームページ制作などがある。
システム変えずに導入可能……スマートクリニック事業の強みだが、医療機関の院内のシステム、電子カルテ、レセプト、その他のシステムに連動する必要がある。われわれは院内のシステムをつなげるということを会社設立してからずっとやってきており、院内のシステムを変えずに、当社の自動受付精算機を導入できるのが、クリニック側のメリット。
医療現場のDX化が追い風……足元の市況は悪いが、われわれの事業は非常に伸びている。上場することで社会的信用を得られる。もう一つ事業の成長期なので、新しく採用するために上場した。両事業とも今後も成長するが、中期的にはメディカルプラットフォーム事業50%、スマートクリニック事業が40%近くなっていくことを計画している。医療現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む中、われわれのスマートクリニック事業も伸びていくだろう。売上高は毎年30%の成長、営業利益率も毎年改善して中期的には30%にいけるような計画を進めている。(HS)