ハルメクホールディングス(7119)が3月23日、グロースに新規上場する。
50歳代以降の女性をターゲットとした出版、通信販売事業などを展開。高齢化社会の急速な進展を背景に、機動的かつ柔軟な意思決定を行える体制を構築することが重要との判断から、2020年8月に当時の親会社・ノーリツ鋼機(7744・P)からMBO(経営陣の参加する企業買収)で独立した。
ハルメク事業は「情報コンテンツ」「物販」「コミュニティ」の3つの事業が連動することで、商品・サービスの利用率や顧客ロイヤリティが高まる好循環が生まれるビジネスモデルであり、通信販売のみを行う事業者とは一線を画す。
雑誌「ハルメク」は、昨年12月号において定期購読者数が初めて50万人を突破。シニア・ミドル女性誌市場における「ハルメク」の17~22年のCAGR(年平均成長率)は26%と、他女性誌が衰退の一途をたどる中で驚異の一人勝ち状態が続く。こうした「情報コンテンツ」を集客の起点に、自社ECサイト、カタログ通販、店舗などを通じたオリジナル商品の「物販」、オフラインとオンラインのイベント・講座・旅行など「コミュニティ」により、ユーザーの育成や顧客単価の上昇、そしてファン化までのサイクルが形成されている。
シニアビジネスの中でも同社のポジションはユニーク。市場では要介護の75歳超の後期高齢者をターゲットとしたケアシニアサービス(介護、葬式、墓関連)は増えつつあるが、同社は50歳代から前期高齢者(65~74歳)かつ健康的で自立している「プレシニア~アクティブシニア市場」というブルーオーシャンを事業領域としている。ハルメク事業の顧客は金融資産が多い傾向にあり、中高価格帯の販売力がある点も強み。そのため、顧客数の増加が収益性の向上にもつながる。
シニア女性向けのWebサイト「ハルメク365」は、昨年8月にサブスクリプション型の動画および音声サービスをローンチ。新サービスとして立ち上がり、足元ではシニア女性を対象としたコンテンツ&ソリューションプラットフォームとして有料・無料会員を獲得し始めている。今後、ここで蓄積した様々な顧客データを活用し、自社サービスの拡大とB2Bビジネスの強化を図る。
なお、同社は四半期ごとの業績に季節的変動がある。6月と11月・12月に大きなセールを行うことから、第1四半期(4~6月)と第3四半期(10~12月)の売上収益および利益は大きく、一方、8月と2月にアウトレットセールを行うことも加わり、第2四半期、第4四半期は小さくなる傾向がある。(SS)
概要
●事業内容=雑誌「ハルメク」、動画や講座の配信サービス「ハルメク365」を提供する「情報コンテンツ」事業、カタログ、EC、店舗でオリジナル商品を開発・販売する「物販事業」
●本社=東京都新宿区神楽坂4-1-1
(最寄りの連絡場所)=東京都千代田区神田神保町2-2
●代表者=宮澤孝夫代表取締役社長
●設立=2020年7月
●上場前資本金=1,000万円
●発行済み株式数=1,022万2,000株(上場時)
●筆頭株主=宮澤孝夫(上場前34.64%)
●公募株式数=222万2,000株
●売出株式数=22万6,000株(ほかにオーバーアロットメントで36万7,200株)
●仮条件=3月3日に決定
●ブックビル期間=3月6日から10日まで
●引受証券=みずほ、大和(共同主幹事)、SBI、楽天、マネックス、松井、岩井コスモ、岡三
業績推移(連結)
売上収益 | 税引前利益 | 1株利益 | 配当 | |
2021.3 | 15,135 | 474 | 38.82 | ― |
2022.3 | 25,233 | 1172 | 99.51 | ― |
2023.3(予) | 28,472 | 1,851 | 152.09 | ― |
※単位100万円、1株利益は円、国際会計基準(IFRS)により連結財務諸表を作成 |