アイビス(9343)が3月23日、グロースに新規上場する。

主力のモバイル事業では、スマートフォンでイラストを描くことができるモバイルペイントアプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」を開発・運営。ほぼフル機能を無料で提供していることが特徴で、今年1月7日にはダウンロード数が世界で累計3億を突破した。日本はもとより海外で人気があり、海外ユーザー数が全体の92.5%を占める。

無料でありながらも機能が充実してるため、顧客満足度が高く、ユーザーの囲い込み・流出防止、アクティブ化につながっている。同社は広告枠をSSP(媒体の広告枠販売や広告収益最大化を支援するシステム)事業者に提供するアプリ広告売り上げと、BtoCのアプリ課金が主な収入源。前者はユーザーに配信される広告から収益を得るビジネスモデルのため、無料版であっても顧客がアクティブであり続ける限り広告料収入をもたらす。

一方、後者は2つの有料サービスがあり、1つは広告非表示機能を含む追加機能や、追加素材などの利用が可能となる定額課金型のプレミアム会員サービス。これは月額課金制と年額課金制の2種類の方法がある。もう1つは、アプリ上の広告が非表示となる売切型アプリで、初回インストール時に広告非表示機能付の有料版を購入する方法と無料版のインストール後に広告除去アドオンを購入する方法がある。

コロナ禍における巣ごもり需要、また、SNS(交流サイト)をはじめとした承認欲求を満たすアプリが人気を博す中で、この1年はダウンロード数が加速度的に増加した。今後はさらなるUI(ユーザインタフェース)強化、高機能戦略の踏襲により全世界でのシェア拡大を進めるとともに、定額課金(サブスクリプション)の強化も図る。

売り上げ構成比率の約4割を占めるソリューション事業では、1つはIT技術者派遣サービス、もう1つはモバイルアプリやWebアプリなどの受託開発・保守運用およびAWS(アマゾンウェブサービス)を用いたサーバ構築・移行・運用保守などの受託開発を行っている。

いずれも受託開発に係る売り上げはフロー型の収益モデル、運用保守に係る売り上げはアプリ運用が継続する限り安定的に収益が見込めるストック型の収益モデル。今後は企画・設計から開発・運用・保守までワンストップかつトータルにSI(システムインテグレーション)サービスを提供する体制を構築するほか、人材の確保・育成、モバイルDX(デジタルトランスフォーメーション)を追い風とした新規顧客の開拓などに取り組む。(SS)

●事業内容=モバイル事業(モバイルペイントアプリ『ibisPaint』の開発、サービス運営)、ソリューション事業(IT技術者派遣サービス、アプリ開発およびサーバ構築・移行・運用保守などの受託開発サービス)
●本社=名古屋市中村区名駅3-17-34
●代表者=神谷栄治代表取締役社長
●設立=2000年5月
●上場前資本金=9,592万5,000円
●発行済み株式数=348万8,783株(上場時)
●筆頭株主=神谷栄治(上場前66.74%)
●公募株式数=70万株
●売出株式数=15万株(ほかにオーバーアロットメントで12万7,500株)
●仮条件=3月6日に決定
●ブックビル期間=3月7日から13日まで
●引受証券=東海東京(主幹事)、みずほ、大和、三菱UFJモルガン・スタンレー、SBI、楽天、松井