カバー(5253)が3月27日、グロースに新規上場する。

ユーチューブなどの動画配信プラットフォームを中心に活動する「VTuber」のキャラクターIP(知的財産)開発とVTuberプロダクション「ホロライブプロダクション」の運営を行っている。VTuberはモーション・キャプチャー技術とアニメのようなアバター(分身)を合わせたバーチャル上のエンターテイナー。VTuberのキャラクターIP権利保有で、マーチャンダイジングやライセンスビジネスなど多様に商業展開している。

VTuberの登録ランキングではグローバルトップ10中9人が所属。在籍VTuberは71人、累積動画投稿は6万3,000回、在籍VTuber当たりの年間収益は2億円に上る。日々のライブ配信を通じてファンとのコミュケーションを深めており、ファンアートや多言語翻訳コンテンツで、エンゲージメントの高いファンコミュニティーができている。チャンネル登録総数は7240万、海外比率41%と世界的に人気を集めている。

事業は4分野。配信/コンテンツ分野はユーチューブやSNS(交流サイト)でVTuberのライブ配信を主とした動画コンテンツを提供しているほか、音楽ストリーミングサービスで楽曲の提携も実施。視聴者からのメンバーシップ加入や広告収入、楽曲の配信収益が入る。メンバーシップはユーザーが月額料金を支払って、限定動画視聴や限定特典を得られる制度。ライブ/イベント分野はライブコンサートやファンミーティング、IPの国内外出展などのイベントをオンライン、オフラインで提供。チケットやイベントでの物販、イベントを収録した映像ソフトの販売から収入が入る。

マーチャンダイジング分野はVTuberのIPをベースにしたキャラクターグッズ、デジタルコンテンツをEC(電子商取引)で販売。ファン数の拡大や新企画のプロダクション主導グッズの販売促進で、今2023年3月期は60%増程度の急成長を見込み、収入の柱となっている。ライセンス/タイアップ分野は外部企業などにIP使用権の提供(ライセンスアウト)やタイアップ広告によるプロモーション支援などを展開している。

中長期戦略としてはグループやユニットIPのプロデュースなど付加価値の高いIPを多数保有し、メディアミックスやグローバルブランドとのコラボなど多面的な事業を展開していく。海外事業の強化のほか、24年中にメタバースサービス「ホロアース」の一般への提供開始を目指している。

今期業績は売上高180億5,600万円(前期比32.1%増)、営業利益21億6,900万円(同16.9%増)を見込んでいる。(HS)

●事業内容=VTuberのキャラクターIP開発およびVTuberプロダクション「hololiveproduction」の運営事業
●最寄りの連絡場所=東京都千代田区外神田2-2-3
●代表者=谷郷元昭代表取締役社長
●設立=2016年6月
●上場前資本金=4億5,280万8,000円
●発行済み株式数=6,112万4,200株(上場時)
●筆頭株主=谷郷元昭(上場前34.76%)
●公募株式数=150万株
●売出株式数=1,092万7,400株(ほかにオーバーアロットメントで186万4,100株)
●仮条件=3月7日に決定
●ブックビル期間=3月8日から14日まで
●引受証券=みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー(共同主幹事)、SBI、大和、野村、マネックス、楽天