Arent(5254)が3月28日、グロース市場に上場した。建設業界に特化してDX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルティング、システム開発を行う。初値は公開価格を25.1%上回る1,802円。上場当日の記者会見で鴨林広軌社長=写真=が語った内容は以下の通り。
建設業界の課題をDXによって解決……当社は建設業界のニッチ領域の課題をDXによって解決する企業だ。建設業界は60兆円という巨大な市場だが、BIM(ビム)化、SaaS化されていない非効率な部分が多く残る、ニッチな市場が集まって構成されている。BIMとはコンピューター上に建物の3D図面が自動生成され、設計から施工、維持管理まであらゆる情報を一元化して活用する手法。図面のデジタル化にとどまるCADと違い、図面だけでなく数量、品番、寸法、素材などオブジェクトベースの情報も一括管理できる。国土交通省は建設業界の生産性向上に向けて、2023年から公共事業におけるBIM利用を原則化しており、建設業界のDXの基盤となる。
プロダクト共創開発を基軸に「非連続成長」を目指す……この市場の中で短期的には「プロダクト共創開発」を基軸にした、建設DX企業として「非連続成長」を目指す。現在、当社の主要顧客はサブコンだが、スーパーゼネコンとの取引が獲得できれば、売上高は大きく伸びる。「非連続」とはそういう状況を想定しているということだ。中期的には共創プロダクト群による継続的な成長、長期的にはM&A(企業の合併・買収)を活用したDXプラットフォームの構築による成長を目指す。プロダクト共創開発とはクライアント企業との継続的な協同関係を通じて、コンサルティングからシステム開発を行うもので、現在は売上高の96%を占めるメイン事業だ。共創プロダクトはクライアント企業と生み出したプロダクトを共同で、サブスクリプション型の事業として展開する。
売上高で毎期倍増ペースの成長……23年6月期第2四半期は売上高が8億5,100万円、営業利益が3億100万円で、売上高営業利益率は35.5%だった。売上高は19年6月期から22年6月期までに4倍に拡大しており、他社と比較して高い成長性、収益性、継続性がある。今後も営業利益率は現在と同水準を維持しながら、売上高で毎期倍増ペースの成長ができると考えている。
成長の源泉に3つの強み……成長の源泉には3つの強みがある。一つ目は高い技術力だ。東大、京大といった国立大学の理系学部出身の高い数学力を持つ優秀な人材が多数在籍しており、開発実績を積んでいる。海外の優秀な人材も活用している。二つ目はナレッジだ。建設業界に特化し、業界大手との共同開発を続けてきたことで、建設現場や技術についての深い知見が蓄積されている。三つ目は事業創出力だ。課題発見からプロダクト開発までの全工程をクライアント企業との継続的な共創を通じて実施できることだ。この3つの強みを生かし、BIM化、SaaS化されていな建設業界で高い成長を目指す。(M)