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IPO2023年4月13日

IPO社長会見 住信SBIネット銀行 銀行を超えたビジネスに進化へ

住信SBIネット銀行(7163)が3月29日、スタンダードに新規上場した。貸出金残高などでネット銀行最大手。初値は公開価格を1.8%上回る1,222円。上場当日の会見で、円山法昭代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

苦心の末の上場……2023年は日本で銀行業が誕生してから150年にあたる。ネット銀行として初めて上場して感慨深い。ロシアのウクライナ侵攻があり、昨年上場予定だったのが1年延期した結果、ウクライナ侵攻後では国内最大規模の上場となり、23年では世界で初めての銀行の上場、令和では日本で初めての銀行の上場と様々な形で記念すべき上場となった。この数週間から1カ月近く、SVB(米シリコンバレー銀行)の破綻や、クレディ・スイスの経営問題など様々な金融不安があった。一瞬1年前のことがよぎった。2回目のチャレンジでもあったので、さすがに3回目はないだろうと思った。何としても今回はやり遂げるという覚悟で、私もそうだがスタッフ一同ここは全力で、主幹事証券も含めて多くの方に協力してもらいながら、何とか非常に細いナローパスを通した。上場できたことは大変良かった。われわれを応援してくれた投資家には感謝したい。

BaaSは早くも黒字化……当社はデジタルバンク、モーゲージ(住宅ローン)、BaaS(Banking as a Service)の3つの事業で構成され、すべての事業で順調に成長を続けている。特にBaaSという戦略事業は、今年度黒字化を実現した。収益性もROE(自己資本利益率)は16.2%と銀行業界で非常に高い水準。経費率も50.8%と非常に低水準。収益性が非常に高い銀行と理解している。16年からの日銀のマイナス金利政策と、当社がテクノロジーに徹底的に投資したこともあり、これまでの5年は10%程度の利益成長だった。だが、投資が一巡し日銀の金融政策もこれから変わり金利が上昇することもあり、足元ではさらに利益成長率が高まっていく。中期経営計画は発表済みだが、年平均で20%以上の高い利益成長を続けながら25年3月期は経常利益400億円以上ROE17%以上を計画している。

われわれはテックカンパニー……当社は様々な日本初、世界初の取り組みを続けている。テクノロジードリブンの銀行であり、日本で初めてオープンAPIを導入、日本の銀行で初めて住宅ローンをはじめとしたほとんど全ての商品でAIで審査している。テクノロジーに強い銀行で社員の約5割がテクノロジー人材。そういう意味でわれわれはテックカンパニーだ。テクノロジーに積極的に投資した結果、優れた商品、サービス、使い勝手のいいアプリで、過去10年以上も多くの顧客満足指標でナンバーワンとなっている。顧客に対して高い評価を得られる銀行であることを常に意識している。

住宅ローンで圧倒的シェアを……デジタルバンク事業はウェブやアプリを通じて法人、個人全てのお客さまに対して、融資、預金、決済というフルバンクのサービスを提供。預金口座数600万口座、住宅ローンの累計取扱高9兆円以上と順調に事業を拡大してきている。当社の強みの一つであるモーゲージは今後も20%近い年平均成長を続け、25年3月期に年間の住宅ローン実行額2兆円以上を目指している。昨年度のマーケットシェアは5%程度だが2年後は10%程度となり、圧倒的なマーケットシェアをとっていきたい。優れたAI、テクノロジーによる商品競争力だけでなく販売チャネルもユニーク。銀行代理業が成長を牽引している。フランチャイズ型の代理店型ショップを多数展開する銀行代理業が成長を牽引している。また、われわれは住宅ローンのシェアを伸ばすだけでなく質も優れている。ほとんどが変動金利で金利が上昇すればわれわれのアセットの収益も拡大する。期待損失率(デフォルト率)も0.02%と他の大手銀行の10分の1以下。当社の優れたAIの審査モデルが効果を発揮している。特徴的な販売チャネルもあり、質も担保しながら拡大している。

世界でもユニークなビジネスモデル……BaaS事業はわれわれの優れたバンキングシステムを様々な大企業、経済圏にインフラとして提供するサービス。日本航空、高島屋、ヤマダ電機といった巨大な経済圏の企業グループに提供している。これで相手企業は決済コスト削減やキャッシュフロー改善、金融収益獲得、顧客のリレーション効果、ロイヤリティ向上と様々なメリットがある。多くの企業から引き合いをいただき、あらゆる業界に広がっている。現在10社が導入。準備中を含めれば15社が確定し、25年3月期には20社以上のサービスが開始されると考えている。日本で初めて、世界でもユニークなビジネスモデルと投資家からも高く評価されている。ようやく収益が始まり、将来的にはデジタルバンクと同等以上のボリュームになると確信している。

ビッグデータで新たな事業……さらにデジタルバンクとBaaS事業で膨大なビッグデータが蓄積されつつある。これを次の戦略に生かす。銀行業の次にデータビジネスを考えており、第一弾としてIT広告プラットフォーム事業を1月から開始した。本格展開は来年以降と考えているが、今後大きなビジネスの柱になるだろうと考えている。それ以外も優れたテクノロジーを活用し、ブロックチェーンに様々な投資をしているので、今後サプライチェーンDX(デジタルトランスフォーメーション)事業に進出を決めている。第一弾として林業、農業といった第1次産業に進出したい。これにより地球環境問題に対応するカーボンクレジットビジネスにも参入したい。近いうちに発表したいと思うが、銀行のインフラを使いながら新たなマーケットへの進出を今後目指し、銀行業を超えたビジネスに進化していきたい。

新生銀とは切磋琢磨……(同じグループの)SBI新生銀行(8303・S)とは従来からも同じ銀行同士という意味では競合関係にあった。あえてすみ分けはないと思ってるし、独立した会社として成長を目指すためにも上場が必要だった。結果として切磋琢磨してそれぞれの銀行が成長し、両方で銀行業界の中でシェアが大きくなれば良いのではないか。銀行同士の連携というのはあまりない。もちろん是々非々で判断することはある。現在では地方銀行とは、住宅ローンの代理店契約なども行っているので、同じようなこともあるかもしれないので、全く否定するつもりはないが、そこは是々非々だ。(HS)

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