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IPO2023年4月25日

IPO社長会見 ココルポート 精神障がい者の就労をサポート

ココルポート(9346)が3月31日、グロースに新規上場した。障害者総合支援法に基づき精神障がいのある人を主な対象として就労支援、就労定着などのサポートを行っている。初値は公開価格を31%上回る4,135円。上場当日の記者会見で佐原敦矢代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

障害者自立支援法の施行が契機……障がい者支援事業は2005年まで株式会社の参入が認められておらず、行政や社会福祉法人が中心となって行っていた。06年に障害者自立支援法が施行されて株式会社の参入が認められ、6年後の12年に私たちの会社が設立された。翌13年には難病の人も対象に障害者総合支援法が施行され、今に至っている。

収益の大半は就労移行支援サービス……当社の事業は四つから成る。現在の収益の大半は就労移行支援サービスだ。障がいのある人、特に私たちの利用者は精神障がいの人が80%を占めているが、その人たちが就職するのに必要なトレーニングを行い、知識やスキルを習得するためのサポートをしている。二つ目は就労定着支援サービス。一般就労している障がいのある人が長く職場に定着できるよう、生活面の課題を把握するなど寄り添ってサポートし、企業や関係機関などとの連絡調整にあたる。三つめは指定計画相談支援サービス。障がいのある人が自分らしく生活していくために福祉サービスを利用する際の相談と、目標に合わせた計画を作成するもので、まだ売り上げは少ない。四つ目は自立訓練(生活訓練)サービス。障がいのある人が自立した日常生活や社会生活を送れるよう、生活能力の維持、向上のための訓練や助言などサポートを行う。社会課題でもある引きこもりの解消の一助になればと、20年に新規事業として始めた。

首都圏を中心に事業所を拡大……当社は首都圏の1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)を中心に事業を展開しており、就労移行支援に取り組む事業所は現在69拠点ある。21年から首都圏以外にも大阪、愛知など関西圏、東海圏や福岡にも事業所を拡大している状況だ。一方で、自立訓練サービスは引き合いが大変多く、20年の事業開始からあっという間に事業所が23拠点となっている。

「ザ・福祉」の会社……ココルポートという会社は株式会社ではあるが、「ザ・福祉」の会社だ。集団指導の方が効率的だが、われわれは個別を大切にする。非効率的だからやらないのではなく、どうしたらできるのかを大切にしている。個性やその時の状態は一人一人違う。掛け算をすれば無限大なわけで、指導ではなく支援をし、一人一人に対処すべきという考え方だ。「どうしたらいいんですか」「こうしなさい」ではなく、寄り添って一緒に考え、課題を解決していこうということ。結果的に質の高い個別支援を実現し、顧客ターゲットの拡大を実現している。これが競合他社との競争優位性につながっている。

大きな潜在ターゲット……私たちのメーンターゲットである精神障がいのある人は政府統計によれば全国で206万人いる。ただ、9万8,000人しか働いていなくて、95.2%が無職だ。これはとりもなおさず、潜在顧客が多い、将来の利用客がたくさんいるということになる。当社で自立訓練を受けた人はだいたい30%から35%くらいが就労支援に移行したいと、就労移行支援事業所に来てくれる。自立訓練から始めた人だと、この訓練に要する期間が原則2年間。続いての就労移行支援にかかる期間も原則2年間。そして就職がかなうと3年半、職場に定着するための就労定着支援を受ける。合わせて7年半にわたり、一気通貫で支援できる体制を整えている。

売上高の年平均成長率は35%……19年6月期から22年6月期まで直近4期の売上高のCAGR(年平均成長率)は35%を実現した。売上高経常利益率(売上高に対する経常利益の割合)も右肩上がりで、今期第2四半期が終了した時点で12.9%まで上がってきている。今6月期はまだ閉まっていないが、おそらく12%から13%の間で着地するのではないかとみている。こちらも計画通りだ。

調達資金は事業所拡大や採用費に……上場で調達した資金は、一つは事業所拡大のために使いたい。もう一つは個人情報に関するセキュリティー確保などのための情報システムに、このほか、もっと優秀な人材を採用したいので採用費に充てたい。株主への配当はここ2、3年くらいは成長性で還元したい。安定成長に入った時には配当性向を考えて進めたい。(YY)

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