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コラム2023年5月11日

たけぞう氏が語る「プロ投資家の勘どころ」

日本株“変化の兆し捉えよ!

3月期決算企業の本決算発表がラッシュを迎えた今、投資家が銘柄選別において留意するべきポイントをあらためておさらいしてみたい。ここでは4月8日に福岡で行われた個人投資家向けセミナーにおける、たけぞう氏の講演内容の一部を紹介する。

注目ポイント① PBR1倍割れ
東証は3月、PBR1倍割れの企業に対して改善策の開示・実行を要請した。いわゆる“解散価値”を下回る企業が、市場再編を行ったにもかかわらずプライム市場では50%程度を占め、スタンダード市場については60%を超えている。ちなみに米国のS&P500指数においては5%程度、STOXX欧州 600指数においては24%程度といわれる。

結果、足元では3月上旬のシリコンバレーバンク破綻で停滞したものの、日本企業の変化を期待した外国人投資家による日本株買いが年初から進んだ。

「期待」とは、具体的にはROE(自己資本利益率)の引き上げやIR(投資家向け広報)強化など。今後は中期経営計画と合わせて増配あるいは配当性向の引き上げ、自社株買いといった施策を発表する企業が増加することが見込まれる。自社株消却、親会社によるTOB(株式公開買い付け)などもあるだろう。そしてこれらは“モノ言う株主”アクティビストが求め続けてきたものでもある。

注目ポイント② アクティビスト動向
近年はアクティビストそのものが増加している。日本に参入しているアクティビストは2014年の8社から、22年には68社に膨れ上がった。彼らが企業に対して行う株主提案件数も14年の4件から21年は28件に、さらに22年は58件と過去最多を大きく更新してきた。

彼らはガバナンス改善のための臨時総会の招集、経営陣によるMBO(経営陣の参加する企業買収)あるいはM&Aへの介入、さらには敵対的TOBなど、企業価値向上のための施策を企業に提案している。

<アクティビスト最近の動向>
■香港オアシスによるフジテック(6406・P)への臨時株主総会の開催要求、目的は社外取締役の刷新など。22年5月~
■米バリューアクト・キャピタルがセブン&アイホールディングス(3382・P)にレター送付。コングロマリット経営などへの疑問など9つの質問を行い、決算発表日での回答を求めた。23年4月~
■旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスがコスモエネルギーホールディングス(5021・P)へ大規模な株主還元などを要求。23年1月~
■シンガポールの3Dインベストメント・パートナーズがサッポロホールディングス(2501・P)に経営改善などを要求。22年11月~
■米エリオット・マネジメントが大日本印刷(7912・P)の大株主に。23年3月~
■任天堂創業家の資産運用会社Yamauchi-No.10 Familly Officeが東洋建設(1890・P)へTOBなどを要求。23年1月~
■英ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンドがT&K TOKA(4636・P)へTOBを要求。23年1月~
■香港リム・アドバイザーズが象印マホービン(7965・P)へ買収防衛策の廃止を求めたが、会社側はこれに反対すると発表。22年12月~

オアシスとフジテックの件はオアシスの提案が通り、3月28日付で創業家出身の会長を解職。すると翌日の株価が急騰した。一方でセブン&アイホールディングスはバリューアクト・キャピタルへの回答がなかったということで大幅安となった。エリオット・マネジメントが大株主になった大日本印刷は中期経営計画の中で3000億円程度の自社株買いを実施すると発表して株価が大幅高となるなど、アクティビストの動向は市場に大きなインパクトを与えている。

――話は変わるが、このようなアクティビストの動き、取りまとめているのがアイ・アールジャパンホールディングス(6035・P)だ。2年前にインサイダー問題が発生して株価は10分の1ほどで低迷しているが、銘柄として注目できそうだ。

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注目するべきテーマや銘柄を語った、たけぞう氏の講演の全容は「日本証券新聞Digital版」などウェブサイトでご覧いただけます。詳細はこちらから。

たけぞう氏プロフィール
証券会社に30年勤務、うちディーラーとして24年で50億稼いだ“伝説のディーラー”。独立後は個人投資家として、日常の生活実感から銘柄を絞り込む「アリの視点」と、国策から未来の投資キーワードを予測する「タカの視点」の2本柱で着実に利益を積み重ねる。“誰にでも分かりやすい”投資手法をまとめた「たけぞうの50億稼いだ男のメルマガ」(パンローリング)が好評。会員には限定オンラインセミナーの参加、たけぞう氏への質問などの特典も。