5月19日(金)のマーケット
5月18日の米国株式市場は続伸となった。ダラス地区連銀のローガン総裁は、インフレ率が高すぎる水準にあり、6月に利上げを一時停止できるほど急速に鈍化していないことを懸念していると述べた。セントルイス地区連銀のブラード総裁は、インフレ制御に向け、幾分か金利を引き上げるという保険をかけておくことが正当化される可能性があると発言した。これらの発言を受け、FRBによる利上げ継続観測から、NYダウは中盤に208ドル安となったが、債務上限問題に対する懸念が後退しているため、終盤に持ち直した。ウォルマートは通期の利益予想を引き上げたことで買われた。NYダウは前日比115ドル(0.34%)高の33,535ドル。ナスダックではエヌビディアやAMDが買われた。動画配信サービスのネットフリックスは、広告付き低価格プランの月間アクティブユーザーが導入後6カ月で500万人に達したと発表し急騰した。NASDAQ総合指数は前日比188ポイント(1.51%)高の12,688。S&P500指数は前日比39ポイント(0.94%)高の4,198。
日経平均は7連騰となり、1990年8月以来、32年9カ月ぶりの高値。信越化学やリクルートが買われ、パナソニックはEV向け電池への重点投資が評価された。東芝テックはリコーとの事務機の統合でともに高い。アーレスティは今期業績予想と増配計画で急騰した。Jマテリアルは半導体工場新設がビジネスチャンスで大幅高。一方、アドバンテストには利食い売り。メガバンクは株主還元と日銀という2つの推進力を失ったため「持たざるリスク」が後退し下落。
スタンダード市場では、Abalanceが急反発しストップ高。ハーモニックは大幅続伸。パレモは「継続企業の前提に関する注記」が記載解消され買われた。コメ兵は7日ぶりに反落。高級レストランのうかいは原材料費や人件費、物流費の上昇が続くことで今期減益予想を発表し下落。
グロース市場では、EduLabがAI自動採点ソリューションの提供開始でストップ高。生活習慣病患者向け健康食宅配のファンデリーは送料改定でストップ高。イオレは「らくらく連絡網ママ・主婦ターゲティングプラットフォーム」開設で高い。AimingとCANBASは続落。
日足チャート上では3万円の大台を回復して、さらに上方向へ加速。ボリンジャーバンドのプラス3シグマ水準まで到達。さすがに過熱感を帯びてきたので、一旦は調整も考えられる水準。週足でもギャップアップで大陽線を示現。かなり強いトレンドが継続しているが、目先はスピード調整が必要なところ。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。株式市場ではGW明けから一貫した上昇が続いています。
米国では債務上限問題に関する民主・共和両党のトップ交渉が続いています。妥結に向けて前進しているようですが、まだ予断は許されません。
米国のインフレは根強く、金融引き締めが長引くとの見方がまたもや浮上しています。労働需給はひっ迫したままの状況です。金融システム不安からの貸し渋りも起こっています。それらはまだ解決したわけではありません。
それにもかかわらず日本株だけが上昇基調を強めています。TOPIXはいち早く1990年8月以来、33年ぶりの高値に進みました。遅れて日経平均もそのレベルに到達したわけです。
「33年ぶりの高値」ということは、この間の日本の経済的な沈滞、いわゆる「失われた30年」を克服することにつながる可能性があります。実社会ではまだそのような「失われた30年」超えの事実は見えにくいのですが、先行性のある金融市場では少なくともそれが実現しつつあるように見えます。
連騰感が強まっているため多少の値固めが必要なところですが、調整は軽微にとどまるでしょう。外部環境によって大きな押し目がもたらされるなら、そこであらためて投資のチャンスが生まれるはずです。
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注目記事 Pick up
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【売り方苦境 買い戻し加速へ】
日本証券新聞5月22日(月)紙面1面TOP記事掲載
日経平均バブル後高値 6日連続200円超高は1990年以降初
19日の日経平均は一時350.64円高。前日に、残り3円足らずのところで弾き返された2021年9月14日高値を一気に抜いて、1990年7月以来33年ぶりの高値圏に買い進まれた。「日はまた昇る」と題した英文レポートが話題を集めるなど、日本株を取り巻く環境はアベノミクス相場初期を思わせる激変ぶり。日経平均は6日連続高値更新(7日続伸)となったが、この6日間の上昇幅はいずれも200円を超えた。これは、80年代バブル弾けての33年余でも初めてのこと。「5日連続200円超高」でも、20年11月(月間で15.0%高した米大統領選挙月)に1度あるだけだ。
本当に久々に訪れた大相場のムード。そうなると、実際に大相場になるならないに関わらず、気が気でないのが売り方投資家だろう。
・・・続きは紙面・Digital版で!
今日の市況概況
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5月19日(金)☆[概況/大引け]
32年9か月ぶりの高値。インフレが続くと資産防衛で預金からの資金シフトが起きるという展望も
大引けの日経平均は234円高の3万808円、TOPIXは3ポイント高の2,161ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は812、下落銘柄数は945。出来高は12億7,383万株、売買代金は3兆4,097億円。
日経平均は1990年8月以来、32年9か月ぶりの高値を付けた。
原材料費高騰や人手不足による賃金上昇でインフレが続くと、現金は目減りするため、資産防衛のために預金から株式市場への資金シフトを起きるという展望も底流にはある模様。
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