6月16日(金)のマーケット
6月15日の米国株式市場でNYダウは反発。週間の新規失業保険申請件数は前週の修正値と同じ26万2千件となり、市場予想の24万9千件よりも多かった。5月の輸入物価指数は前年同月比5.9%低下した。これらを受けて、利上げ長期化観測が後退したため、金利が低下し株式は買われた。オラクルやシースリー・エーアイ、スノーフレークなどのハイテク株が上昇し、前日売られた医療保険のユナイテッドヘルスも反発。米国の5月の小売売上高が前月比0.3%増と、市場予想の0.1%減に反して増加したため、ビザやターゲットなどの消費関連も買われた。NYダウは前日比428ドル(1.26%)高の34,408ドル。ナスダックは6日続伸。マイクロソフトとメタプラットフォームズは買われたが、AMDとエヌビディアは反落した。NASDAQ総合指数は前日比156ポイント(1.15%)高の13,782。S&P500指数は前日比53ポイント(1.22%)高の4,425。
首相が衆院解散を否定したため、選挙期間中の株高期待が剥落し前場は売られた。だが、日銀が金融緩和の継続を決めたため後場は上昇に転じた。三菱商事をはじめとした商社株が好調を継続。キヤノンは自社株買いの発表で高い。日銀の金融緩和継続で円安に振れたため訪日客増大期待からJALや資生堂が買われた。経産省のスパコン増強支援でさくらインターネットがストップ高。一方、ソシオネクストやANYCOLORは下落し、海運が安い。
スタンダード市場では、ヘリオステクノがパワー半導体向け研磨装置やテスターで参入を狙いストップ高。ヤマトインダストリーはEV事業への期待でストップ高。BBタワーが一時大幅高となった。enishは大幅続落となり、選挙関連のムサシが大幅安。日本山村硝子が反落した。
グロース指数の上昇率は大きかった。来週から新規公開株が相次ぐため、出遅れ感のある新興市場への物色の広がりが期待された。Vチューバー関連のカバーの他、M&A総研、ビジョナルとMacbeePが高い。直近新規公開株のABEJAは2日連続ストップ高。
日足チャート上では、上値追いの展開となり3万3000円台の値固め。5日移動平均線をサポートとして、ボリンジャーバンドのプラス2シグマのバンドウォークが継続。FOMC、ECB、日銀会合など各中央銀行の重要イベントを通過して堅調度合いが増した格好となった。週足では、上下に短いヒゲを伴う大陽線。10週連続で上昇となり、記録的な相場展開が続いている。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。株式市場が驚くべき上昇を続けています。今週は米国でFOMCが開催され、日本では終盤国会で衆院解散があるか否か、という点でもピリピリしたムードでした。それでも連日のように上値を追い続けています。
スピード違反、高所恐怖症、さまざまな表現がなされますが、そんな神経質なムードはどこ吹く風で、現在の株式市場は強い基調のまま推移しています。
物色の対象となる銘柄、セクターも次々に広がりを見せています。今週は景気敏感株に買いが広がっています。米国のFOMCでは11会合ぶりに政策金利の引き上げが止まりましたが、同時に政策金利の年内の到達点の見通しも5.6%まで引き上げられました。
これで年内は0.25%ずつあと2回、利上げがあり得るとの認識が市場に広がりましたが、同時に米国は経済見通しそのものも上方修正されたと見られます。NY株式市場ではキャタピラー、ハネウェル、ビザ、スリーエムなどの景気動向に連動する銘柄が堅調です。テクノロジーや金融セクターも堅調で、全方位的な株価上昇につながっています。
日本でも今週は自動車セクターの動きに合わせて、化学、鉄鋼、非鉄セクターなど景気敏感株の動きがよくなってきました。
日経平均をはじめ株価指数は多少の過熱感が感じられますが、個々の企業の動きはまだ動き始めたばかりととらえることができます。ここからの決算発表をにらみながら押し目の局面では下値を丹念に拾ってゆくことが肝要かと思います。
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注目記事 Pick up
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【シン 日経平均4万円シナリオ】
日本証券新聞6月19日(月)紙面1面TOP記事掲載
三井住友DS 白木久史チーフグローバルストラテジスト 低PBR企業覚醒に好業績
日経平均株価が年初来で30%も上昇し、絶好調の日本市場。市場関係者からはバブル期の1989年に付けた史上最高値の3万8,915円の更新や4万円といった威勢の良い声が聞こえてきた。一方で過熱感を警戒する見方も。一体どうなれば4万円に到達するのか。三井住友DSアセットマネジメントは「シン 日経平均4万円シナリオ」を発表。短期的な値動きにひるまないよう投資家に忠告している。
実は同社は昨年12月14日、「2023年は日本株の年 脱デフレで見えてくる日経平均4万円という新しい景色」とのレポートを発表。23年度に3万5,827円、24年度に4万726円もあり得るとの強気予想を披露していたのだ。
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今日の市況概況
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6月16日(金)☆[概況/大引け]
2時過ぎから上値追い。大和証券では日銀のYCC解除は1ドル=150円くらいになるまではないと予想
大引けの日経平均は220円高の3万3,706円、TOPIXは6ポイント高の2,300ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は1,119、下落銘柄数は668。出来高は20億1,592万株、売買代金は5兆5,600億円。
岸田首相が今国会での解散は考えていないと述べたため、選挙期間中の株高期待が剥落し、前場の日経平均は一時、298円安の3万3,186円となった。
だが、日銀が金融緩和策の現状維持を決めたため、日米金利差拡大で円安が進み、日経平均は上げ幅を拡大した。
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