6月23日(金)のマーケット
6月22日の米国株式市場でNYダウは下げ渋り、ナスダックは4日ぶりに反発。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も5日ぶりに反発した。NYダウは一時116ドル安となったが、医療保険のユナイッテッドヘルスや製薬企業のイーライリリーといった不況抵抗力のあるディフェンシブ株とソフトウェア企業のセールスフォースとスノーフレークといったハイテク株が買われたことで下げ渋った。ただ、パウエルFRB議長が上院銀行委員会での証言で、大手銀行は資本要件の約20%引き上げを課される可能性があると発言したため、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースは売られた。NYダウは前日比4ドル(0.01%)安の33,946ドル。ナスダックではアマゾンは生成人工知能(AI)について、クラウドサービスの顧客企業の導入を支援するため新たに1億ドルを投じると発表したことで買われた。アルファベットも高い。一方、エヌビディアは小幅安。NASDAQ総合指数は前日比128ポイント(0.95%)高の13,630。S&P500指数は前日比16ポイント(0.37%)高の4,381。
ポジション調整の売りで急落。株主総会で好材料出尽くしという見方や、四半期末の年金のリバランスと7月初旬のETFの分配金捻出の売りも警戒された。商事、物産、丸紅は12日ぶりに下落。ソシオネクストやトヨタ、ファーストリテ、重工も安い。一方、レーザーテックは反発。東電は7月にテロ対策の不備解消に向けた仕組みを作ることで上昇。アルツハイマー病の兆候を診断する試薬を発表したシスメックスは伸び悩んだが、エーザイは買われた。
スタンダード市場では、AI関連のPKSHAが反落し、トリチウム分離技術のイメージワンは利食い売りに押された。直近新規公開株のオービーシステムはストップ安。Abalanceは続伸となり、フェローテックは反発。クボテックはストップ高。リバーエレテックは自社株買い発表を好感。
グロース市場では、直近新規公開株の下げが目立ち、ABEJAやシーユーシー、Globeeが安い。経産省の転職目的の学び直し支援で買われた経緯のあるプログリットは3日続落。アイパートナーズはストップ高となり、セルシードと管理会社と入居者の負担軽減アプリのスマサポが上昇。
日足チャート上では5日移動平均線を中心に推移していたが、週末にかけて下抜け。大陰線を引いて3万3000円割れとなり、5日移動平均線も急角度で下向きに転じた。パラボリックも6月1日以来の陰転となり、目先の調整色が色濃くなった。週足では、先週の大陽線に包まれる抱き線。ここで踏み止まれるか、来週のローソク足の形状が注目される。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。今週は相場が転換点に差しかかったのかと思わせるような出来事が重なりました。
ひとつは中国の利下げです。6月20日(火)に中国人民銀行は最優遇貸出金利を▲0.1%、引き下げました。昨年8月以来、10か月ぶりのことです。
米国では先週、FOMCが開催され11会合ぶりに政策金利の引き下げが見送られました。しかし欧州ではECBが0.25%の利上げを発表し、さらに前の週はオーストラリアとカナダが予想外の利上げを実施しています。
今週も各国で政策金利が次々に引き上げられています。イングランド銀行は予想を上回る0.5%の利上げを実施しました。スイス、ノルウェーも利上げを発表しています。世界の中央銀行が利上げを繰り返す中にあって、中国だけが政策金利の引き下げに踏み切った事実はかなり異例に映ります。
パウエル議長は今週の議会証言で、年2回の利上げの可能性にあらためて言及しました。FOMC後に市場に広がっている楽観論を抑えこむ構えです。一本調子の上昇が続いた半導体関連株などグロース株はいったん調整局面に入る可能性があります。
その分、出遅れているバリュー株に出番が広がっています。PBRの低い銘柄にあらためて気を配ってゆきたいものです。
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注目記事 Pick up
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【水産庁、養殖への転換打ち出す】
日本証券新聞6月26日(月)紙面1面TOP記事掲載
サバ、サンマ、カツオ…魚が記録的な不漁 水産会社に異業種参入も
魚が記録的な不漁となっており、農林水産省は昨年の漁獲・養殖量が過去最低の385万トン(前年比7.5%減)と初めて400万トンを割り込んだと発表。中でも主力の海面漁業は289万トン(同9.4%減)と落ち込みが激しい。このため、水産庁の検討会は養殖への転換など漁業の抜本的な変革を提言した。輸出の振興も盛り込んでおり、野村哲郎農林水産相は会見で「具体的にどのように進めていくかは、予算や制度対応を含め検討していく」と述べた。今後、養殖関連銘柄に追い風となりそうだ。
本紙2月20日付紙面でサバの歴史的な不漁を報じたように、サバは2018年の54万トンが昨年は31万トンと激減。サンマに至っては1万8,000トンと、ピーク時の1958年の57万トンと比べると壊滅的な状態に陥っている。スルメイカ、タコ、カツオなども大きく減った。
水産庁の検討会では地球温暖化の影響により、日本近海の海面水温が上昇していることや赤潮の発生、さらにサンマ、マダラなどいくつかの品目は資源そのものが減っている。
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今日の市況概況
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6月23日(金)☆[概況/大引け]
ポジション調整の売りで急落。商社が反落し、ボーイング関連が安いがレーザーテックは反発。
大引けの日経平均は483円安の3万2,781円、TOPIXは31ポイント安の2,264ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は326、下落銘柄数は1,456。出来高は15億8,845万株、売買代金は4兆4,312億円。
ポジション調整の売りで急落し、日経平均は一時、689円安の3万2,575円となった。
株主総会で好材料出尽くしという見方や、四半期末の年金のリバランスと7月初旬のETF(上場投資信託)の分配金捻出の売りも警戒された。
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