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コラム2023年7月21日

【本日のマーケット】7月21日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

7月21日(金)のマーケット                                                                   

7月20日の米国株式市場でNYダウは9日続伸。ジョンソン&ジョンソンは通期の1株利益予想を上方修正したことで買われ、IBMは4~6月期の利益がアナリスト予想を上回ったことで上昇した。ゴールドマン・サックスの4~6月期は58%減益だったが、株価は上昇した。一方、カーバナは利食い売りで反落。NYダウは前日比163ドル(0.47%)高の35,225ドル。ナスダックは反落。電気自動車のテスラは値下げで販売は好調だったが、利益率は3四半期連続で縮小したため売られた。動画配信サービスのネットフリックスは7~9月期の売上高見通しがアナリスト予想に届かなかったことで下落した。台湾のTSMCが通期予想を「1~5%減収」→「約10%の減収」に下方修正したため、AMDやエヌビディアが売られた。NASDAQ総合指数は前日比294ポイント(2.05%)安の14,063。S&P500指数は前日比30ポイント(0.68%)安の4,534。

台湾のTSMCが通期減収幅の拡大予想と米アリゾナ新工場の稼働を25年に延期することを発表したため、アドバンテストや東京エレクトロン、イビデン、SUMCO、東京応化などの半導体関連が売られた。一方、ニデックは第1四半期が好決算だったことで大幅高となり、そーせいはスイスの製薬企業の日本・アジア太平洋地域の事業を買収することを発表し急騰した。パナソニックはSMBC日興が格上げし、JIAは業績上方修正が好感された。

スタンダード市場では、ネオマーケティングが利食い売りで大幅反落となり、東映アニメとエイトレッドは続落。19日に業績予想と配当予想を上方修正したクロスプラスは2日連続ストップ高。18日に業績予想を上方修正したエスエルディーが再び買われストップ高。ジーデップが大幅続伸。

グロース市場では、心筋細胞シートのクオリプスが反落し、Enjinは利食い売りに押された。サンクゼールとココルポートは安値更新。スマサポは大幅続伸となり、CINCはデジタルマーケティングツールに「AI見出し案自動生成機能」実装でストップ高。BeeXは4日続伸。

日足チャート上では、19日の上昇で25日移動平均線に迫る場面も見られたが、再び5日移動平均線を割り込んで上値の重さを感じさせた。週足では先週に続き、長めの上ヒゲを伴う十字足に近い陰線。下値は切り上げているが、気迷い商状が顕著に表れている。来週の「中銀ウィーク」で上下どちらかに方向性が出るか注目される。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。暑い日が続いています。NASAは7月の世界の平均気温が数千年ぶりの暑さに達した可能性があると報告しました。米国では1億人を越える人が猛暑を警戒する体制に入っているそうです。

猛暑は干ばつを引き起こしやすいため小麦やトウモロコシなどの穀物価格も上昇しやすくなります。年齢や職業、所得に関係なく猛暑は襲いかかってきますが、こうなると所得の低い人たちの生活はますます厳しくなる一方です。世界中がかつて経験したこともないほどの変化の時代に入ったことに、疑いの余地はなくなっています。

気がかりな点がもうひとつ、半導体関連企業の動向です。EUV(極端)露光装置では世界でも唯一無二の存在となったASML(オランダ)が4-6月期の決算を発表しました。売上高は69億ユーロとなり、市場予想の65億ユーロを上回ったのですが、それでも当日の株価は▲5%値下がりしました。

高収益が続いていた半導体関連企業は、好調が何年でも続くとの見通しから、少しくらいの増益では市場は満足せず、見切り売りの対象となりやすいものです。ASMLのケースはまさにそのような例となりました。

NYダウは9日続伸し記録的な連騰となっていますが、必ずしもそれが日本の株式市場の上昇につながらない状況が起こりつつあります。マーケットに対しては少し警戒的に臨む時期が迫っているように思います。

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注目記事 Pick up
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【ニデック10%高 「成長神話復活」か 
日本証券新聞7月24日(月)紙面1面TOP記事掲載 

 “敵対的”買収へ 永守会長大いに語る

ニデック(6594・P)が10.3%高と大きく上放れ、昨年12月5日以来の高値水準となった。売買代金2位の大商い。20日の第1四半期(4~6月期)決算発表を受けたものだ。

野村証券が「事前推定を大幅に上回る好決算」として目標株価を1万円から1万700円(20日終値比37.4%高の水準)に引き上げたほか、「1Q営業利益はV字型回復を実現」(SMBC日興証券)、「車載、ACIM(家電産業)中心に会社計画を大きく上回るスタート」(クレディ・スイス証券)などアナリストも絶賛する内容だ。

後継問題に揺れた近年は四半期決算発表ごとに売られる展開が目立ったが(表参照)、「かつての成長神話を復活させる」(永守重信会長=写真)との言葉通り、往時の輝きを取り戻しつつあると言えようか。とはいえ、2021年最高値1万5,175円からの押し幅に対する戻り率はなお3割にも届いていないのが現状だ。

・・・続きは紙面・Digital版で!

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今日の市況概況
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7月21日(金)☆[概況/大引け] 

TSMCの下方修正で半導体関連は下落。ニデックとそーせいは大幅高

大引けの日経平均は186円安の3万2,304円、TOPIXは1ポイント高の2,262ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は756、下落銘柄数は988。出来高は11億9,119万株、売買代金は3兆1,288億円。
世界半導体大手の台湾のTSMCが通期減収幅の拡大予想と米アリゾナ新工場の稼働を2025年に延期することを発表したため、アドバンテストや東京エレクトロン、イビデン、SUMCO、東京応化などの半導体関連が売られた。

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