ヒートシンク、精密ガラス製品など精密加工部品の製造販売を手掛けるテクニスコ(2962)が7月26日、スタンダードに上場した。初値は公開価格560円を63%上回る914円と好調なスタートを切った。関家圭三代表取締役社長=写真=は上場当日の会見で、今後の成長戦略などについて語った。
クロスエッジTechnology……当社は1970年2月に第一製砥所(現ディスコ)の研削切断加工技術を研究開発する目的でスタート、95年に通信向けヒートシンクの、2007年に高出力半導体向けのヒートシンクの製造販売を開始した。ディスコとの業務的なつながりが薄くなり、14年2月、MBO(経営陣による買収)により独立した。当社の製品は、顧客製品の中の構成部品として組み込まれるもので、基本的には顧客ごとの要求仕様を受託し、試作から量産までにおいて製品化していく受注生産。「切る」「削る」「磨く」「メタライズ(非金属の表面への金属膜化)」「接合」の加工技術を組み合わせる「クロスエッジTechnology」を、最先端の開発や生産に生かし、顧客の要望に応えられることが強みだ。
シルバーダイヤが成長のカギ……当社のヒートシンク製品は、半導体レーザー、パワー半導体、MPUなどの電子部品が機能する際に発生する熱を吸収し放熱して、性能低下や故障を防ぐもの。窒化アルミニウム(AlN)と銅(Cu)の複合した製品、銅タングステン(CuW)を主な材料とした、高い熱伝導を持つ製品を展開している。ガラス製品は、光透過性、電気的絶縁性などの特徴を持つ電子部品用で、ガラスに微細な形状加工や金属回路形成加工を行い、電子デバイスと組み合わせることで電子デバイスの機能性を上げる。各種センサー、モバイル機器、バイオ・医療向けなどに精密ガラス製品を提供している。高出力レーザーの高性能化に伴い、より高性能なヒートシンクが求められている。こうしたニーズに対応するため非常に高い熱伝導率を持つ銀とダイヤモンドの複合材料であるシルバーダイヤを素材とする高性能ヒートシンクの製造・開発を行っている。(16年に海外企業と特許使用契約を結び)シンガポールの子会社で製造している。市場はこれから開発して行くが、5年後に売上高30億円が目標だ。これ以上伸びる可能性もある。
5年後に売上高100億円……まだ計画ではなくイメージだが、売上高で年率14~15%の成長で5年後くらいのタイミングで売上高100億円を目指している(24年6月期予想の連結業績は売上高64億7,500万円、営業利益4億2,700万円)。売上高構成はシルバーダイヤ、ヒートシンク、ガラス製品でそれぞれ3割ずつ。営業利益は10~13億円で、シルバーダイヤで高い収益を上げることが出来れば17~18億円が可能と見ている。(M)