半導体洗浄装置の製造・販売と保守サービスなどを行うジェイ・イー・ティ(6228)が9月25日、スタンダード市場に上場する。既上場のTOKYO PRO Marketは上場廃止となる。
同社の前身は2008年9月のリーマン・ショック後の半導体不況を受けて経営破綻したエス・イー・エス。韓国企業向けの納品済み装置の保守や装置購入の対応のため、同国のエージェントであったZEUSの全額出資により09年4月に、岡山県で設立された。
同社の半導体洗浄装置は、多数(25~50枚)のウエハを同時にするバッチ式洗浄装置では、標準的な装置前面に搬入搬出機器を配置したタイプがあるほか、独自の装置前面に搬入機器、装置後面に搬出機器を配置したタイプの2種がある。独自タイプでは、洗浄槽の設置数を変更することにより時間当たりのウエハ処理枚数を最適化するなど、顧客ニーズに沿ったカスタマイズが可能。ウエハを1枚ずつチャンバー(処理槽)内で処理する枚葉式洗浄装置は、赤外線ランプでウエハ上の薬液を高温にするといった特殊な機能を搭載し、処理性能・能力の向上、使用薬液の削減などを図っている。
ユーザーは主に韓国、中国、台湾の半導体メーカー。メモリー向けでは高容量化、DRAMでの規格の世代交代、NANDフラッシュでは3D構造の高層化など最先端技術に対応するほか、車載向けパワー半導体などでの既存プロセスでも高まる増産要求に対応していく。
このほか、電池素子や電解液漏れ向け検査装置、リチウムイオン電池に関連する検査・製造装の開発・製造や、関連会社ではミニトマトの栽培なアグリ事業も手掛ける。
23年12月期の売上高は前期比14.8%増の265億3,600万円、営業利益は同32.8%増の27億5,900万円を見込む。半導体洗浄装置は81台(韓国向け27台、中国向け47台、台湾向け7台)の販売を計画している。(M)
概要
●事業内容=半導体洗浄装置の開発・設計、製造、販売およびこれらに付帯する保守・サービスなど
●本社=岡山県浅口郡里庄町大字新庄字金山6078番
●代表者=房野正幸代表取締役社長
●設立=2009年4月
●上場前資本金=5億7,100万円
●発行済み株式数=449万株(上場時)
●筆頭株主=ZEUS(上場前98.14%)
●公募株式数=60万株
●売出株式数=80万株(ほかにオーバーアロットメントで21万株)
●仮条件=9月5日に決定
●ブックビル期間=9月7日から13 日まで
●引受証券=SBI(主幹事)、大和、ひろぎん、みずほ、SMBC日興、岩井コスモ、松井、むさし
業績推移(連結)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2021.12 | 19,102 | 1,703 | 308.59 | 62 |
2022.12 | 23,114 | 1,896 | 317.62 | 63.5 |
2023.12(予) | 26,536 | 2,581 | 444.46 | 76 |
※単位100万円、1株利益・配当は円 |