12月8日(金)のマーケット
12月7日の米国株式市場でNYダウは4日ぶりに反発、ナスダックも反発。週間の新規失業保険申請件数は1千件増の22万件だった。市場予想は22万2千件。長期金利は上昇したが、ハイテク株に買いが入った。人工知能(AI)向け半導体の新製品を発表したAMDが大幅高となり、アルファベットは傘下のグーグルが新たな人工知能(AI)モデル「Gemini(ジェミニ)」を発表したことで買われた。NYダウは前日比62ドル(0.17%)高の36,117ドル。NASDAQ総合指数は前日比193ポイント(1.37%)高の14,340。S&P500指数は前日比36ポイント(0.80%)高の4,585。
植田日銀総裁が7日に「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言したため、マイナス金利政策解除の思惑から海外市場で1ドル=141円台に円高加速。8日の日経平均は600円を超える下げ幅。円高で自動車や鉄鋼、非鉄が売られ、金利上昇で不動産が安い。円高メリットのニトリやニチレイに加え、海外旅行増加期待でオープンドアやエアトリが物色された。ベネワンは急騰したが、買収価格が割高という懸念で第一生命は下落。
スタンダード市場では、名村造船が大幅続落となり、不動産関連のレーサムが売られた。YU-WA CHDは大幅安。一方、住石HDは4日続伸となり、オリジナル設計は株主優待制度の導入を発表しストップ高となった。中央経済社も株主優待制度を決議したと発表し一時ストップ高。
グロース市場では、海帆は続落となり、ペルセウスが反落した。アライドアーキは大幅安となり、ハウテレビジョンは3日続落。直近新規公開株のQPS研は反落。ビジョナルは東証プライム市場への昇格が決まり買われた。海外旅行関連のアドベンチャーやベルトラが高い。GNIが反発。
日足チャート上では、週末のSQを控えて週初からボラティリティの高い値動きで上下に大きく振られる展開。急速な円高の動きを受けて、25日移動平均線を下放れる格好となった。週足では上下に短いヒゲを伴う大陰線。13週移動平均線(3万2370円)も割り込んで調整色が強くなった。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。日経平均が「33年ぶりの高値」に到達した今年、その最後を飾る月として力強い相場を期待したいところですが、出だしとなった今週のマーケットは週初からかなり強烈な波乱に見舞われました。
株式相場に乱高下は付き物です。平穏な時間帯の方が珍しいのが常という宿命ですが、今週のマーケットに不気味さは、上昇にしても下落にしても、その時々の変化の理由がすべてよくわからない、という点にあります。
今年は金利に関する議論で埋め尽くされた1年でした。朝から夜まで金利水準を巡るニュースや話題でマーケットはもちきりでした。すべてはインフレ抑制のためのFRBの金融政策に帰着します。
今週末の11月・雇用統計の行方を市場参加者は息をひそめて待っています。このところ発表される経済データはいずれも米国経済のスローダウンを示すものばかりになっています。
これほどの不安材料が渦巻いていれば、株価が多少乱高下するのは当然なのかもしれません。円高・ドル安が進んでおり、週末は143円台まで円が買い進まれました。このような情勢でキャッシュリッチの安定した内需銘柄に資金が逃げ込む動きが続きそうです。
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注目記事 Pick up
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【“チャレンジング・ショック” 背景を探る】
日本証券新聞12月11日(月)紙面1面TOP記事掲載
円高急進展を受け日経平均一時652円安
7日夕から8日にかけての為替、および日本株市場は“チャレンジング・ショック”とも言うべき様相を呈した。日銀・植田和男総裁発言を起点に急激な円高・ドル安に見舞われ、米国株高(7日のNASDAQは7月19日の年初来高値まで0.12%に迫る)にも関わらず、8日の日経平均は一時652.93円安。11月8日以来の安値となった。
植田総裁は7日午前の参議院財政金融委員会において、今後の政策運営への抱負として「チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけ一段とチャレンジングになるというようにも思っている」と発言。さらに午後2時46分から岸田文雄首相と会談したことで、これまで無風と見なされてきた12月18~19日、および来年1月22~23日の金融政策決定会合が、がぜん注目を集めることとなった。
とはいえ、2013年以降の日銀総裁・首相会談は過去28回中17回(60.7%)が四半期末月に開催されているとされ、今回も「定例」の感が強い。そもそも、1ドル=147円前後で推移していたドル円が明確な円高に振れたのは午後4時以降であり、ニューヨーク時間に入って動きが加速。日本時間午前3時過ぎには同141円台を付けるなどフラッシュクラッシュ的な展開も見られた。
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今日の市況概況
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12月8日(金)☆[概況/大引け]
日銀総裁の発言でマイナス金利政策解除の思惑から円高が加速し、日経平均は大幅安
大引けの日経平均は550円安の3万2,307円、TOPIXは35ポイント安の2,324ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は230、下落銘柄数は1,408。出来高は20億4,933万株、売買代金は4兆8,397億円。
植田日銀総裁が7日に「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言したため、マイナス金利政策解除の思惑から海外市場で1ドル=141円台に円高が加速した。
8日の日経平均は一時600円を超える下げ幅となった。
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