STG(5858)が3月21日、グロースに上場した。マグネシウムなど軽金属製の部品を製造・加工している。初値は公開価格を67.4%上回る3,215円。上場当日の記者会見で佐藤輝明代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
ブルーオーシャン……マグネシウムは実用金属で最も軽く、かつ、最も精密に成型できる。この特性から自動車軽量化ニーズで需要拡大が予想されている一方、発火しやすい、腐食しやすいという特徴があり、新規参入は難しい。このブルーオーシャン市場で当社は高い技術力を持ち、グローバル生産体制を構築している点が強み。マグネシウム部品を製造している企業は中国に多く、BYDやフォックスコンに至っては世界一だが彼らは中国国内で製造販売している。われわれがターゲットとするお客さまは地政学リスク、経済安全保障の観点から中国産を避けたいという顧客が多く、今のところ競合していないものの、将来を見据えわれわれも早く成長して資金調達してさらなる設備投資をしていかないといけないと考えている。
自動車関連売り上げ比率50%……現在の主力製品は自動車メーターパネル、LEDヘッドライト部品、監視カメラ、ミラーレスカメラの外装シャーシ。メーターパネルは三菱電機を介して欧州高級車メーカーに採用され、タイ工場で本格量産を開始、タイだけでは生産が追い付かず静岡工場でも1月から本格的に量産が始まった。LEDヘッドライト部品は大手プライム企業が手掛けていたものの歩留まりが悪く当社に転注となり、スタンレーを介してマツダ、トヨタ、ホンダに採用された。自動車関連の売り上げ比率は現在50%程度、今後はもう少し上がってこよう。ただ、定期的なコストダウンを求められたことはなく、価格決定権も6対4でわれわれの方にある。アルミ・亜鉛・プラスチック部品などを製造する普通のティア1、ティア2と全く異なることを強調しておきたい。
売り上げ2ケタ成長は必須……今後の成長に向けてはマグネシウム部品を中心に電動車関連、ドローン関連(モーターカバーなど)などの需要を取り込んでいく。旺盛な需要を対応していくため、現在アルミ部品を手掛けるマレーシア工場でもマグネシウム部品の生産を始め、M&Aも活用して成長を加速させたい。グロース市場にいる限り、売上高は2ケタ成長は必須と考えている。投資状況によるが、マグネシウム部品は自然体で売上高経常利益率10%をラクに超えるビジネスモデル。
自部品マグネシウム化の余地大……「自動車部品のマグネシウム化」は日本の自動車メーカーは今のところそれほどでもないが、欧米企業や中国企業ではびっくりするくらい採用を進めている。中国ではハンドルやシートフレームに採用しているほか、バッテリーカバーでも採用する動き。錆びやすいためボディーなど雨にあたるようなところでは採用されにくいだろうが、それ以外の部分は日本でも今後採用が進むのではないか。原材料確保については、マグネシウムの原料となるドロマイトの鉱山は少し前までほとんどが中国だったが、マグネシウムの需要拡大によりカナダ、イスラエル、ノルウェーなども作りだしている。われわれも中国以外の原料調達先を確保していきたい。(Q)