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IPO2024年4月30日

IPO社長会見 レジル マンション一括受電、解約はわずか1棟

レジル(176A)が4月24日、グロースに新規上場した。マンション一括受電サービスや再生可能エネルギーなどの電力小売りサービスを展開している。初値は公開価格を0.4%上回る1,205円。上場当日の記者会見で、丹治保積代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

販売ではなく調達代行……分散型エネルギープラットフォームの構築を目指している会社。20年ほど前から行っている一括受電は、マンション2,200棟17万8,000世帯に提供している。需要者側をグループとして集めて、大手電力から割安な電気を調達している会社。売っているのではなく調達、料金検査、保安の代行といった形で業務委託の集合体。その代金を電気代として回収している。サービス開始後、解約は1棟のみというのが強み。

電力需給安定化と電気代削減……このビジネスをもとに、日本全体のエネルギー需給の安定化、脱炭素化に貢献するべく舵を切ったのが2021年。再生可能エネルギーが増えているが、送電網が弱いのでせっかく発電しても電力会社が引き取れない事態が起きている。余った電気を需要家側でためて、昼余るので夜使う、電力取引所に売って収益を客に還元するといった日本全体の電力の需給の安定化と、客の電気代低減に貢献できないかというのが基本的考え。自分たちの培ってきたマンションでまず形にして、その仕組みを他の電力会社や自治体に提供することで、日本全体に分散型エネルギー社会を広げていきたい。

防災サービスも開始……具体的な事業は3つ。グリーンエネルギー事業は再生可能エネルギーを調達し、企業、自治体向けに提供している。契約件数は7,500件。分散型エネルギー事業はマンションの一括受電のほか、昨年4月にマンション防災サービスを始めた。マンションに初期費用無料で蓄電池を置き、停電があったら自動的に切り替わり、マンションのレジリエンス(強靭性)を高める。東京都は蓄電池に補助金を出しており、活用している。3つ目はエネルギーDX(デジタルトランスフォーメーション)事業で、分散型エネルギーとグリーンエネルギー事業のシステム、ノウハウを他の電力会社などに提供する。現在9社に提供しており、契約エンドユーザー数は40万件を超える。このように分散型プラットフォームに必要な調達力、制御力、仕組みを提供するものをそれぞれ事業に分割し、各事業がしっかり収益化している。

収益の9割がリカーリング……今24年6月期は減収にみえるかもしれないが、燃料費調整額を除けばしっかり増収になっている。経常利益は25億円で、前期比20%としっかり伸びている。収益の9割がリカーリング、積み上げ型なのが強み。過去3年の継続率は100%。きちんと収益が積み上がるので、配当性向30%を基準に積極的な株主還元を検討している。2つ目の強みは実績、経験を有した経営陣。エネルギー会社の出身者がおらず、リクルート、楽天、マイクロソフトなどデジタルプラットフォームを作ってきた世界からエネルギー業界に乗り込んできた。デジタルの力でエネルギーを確信して社会を変えようという気概を持っている。

サービスの企画、スピードが強み……3つ目はサービスの創出力。当社は再生エネルギーの調達、需要予測、サービス企画、システム開発、運用、保守まで電気に関わる全てのパイプを持っている。だからこそ防災サービスなど非常に複雑なサービスができる。4つ目は開発スピード。足りないものはいろいろな力を借りる。上場したこともあり、これからエネルギーのテックベンチャーと連携を深めたい。昨年10月に蓄電池開発の「CONNEXX SYSTEMS」と業務提携。同月には電池制御最適化AIの技術がある「Sassor」に出資した。実績あるベンチャーとのアライアンスは強み。

エネルギーDXを急成長……今後の成長は、グリーンエネルギー事業が基盤と考えている。マンションは昼電力をあまり使わず夜使う。オフィスは逆。2つを合わせると、どの時間帯も同じくらいの需要となるベース電源を作れ、安価、安定的に電気調達ができる。分散型エネルギー事業は、マンション一括受電に加え、防災サービスで安定成長を目指す。さらに、エネルギーDX事業は昨対比50%成長しており、今後もこのペースを維持できれば。

市場の伸びしろは大きく……販売は既築のマンションへのアプローチが今のところ主力。最近はリプレイスが多くなっている。もう一つ最近は新築からの需要もある。蓄電池などの部材は当社が持ち、デベロッパーからすると資金と手間を掛けずにマンション全体が脱炭素できるため、いろいろ問い合わせが来ている。この両面のアプローチを広げたい。また、マンションは全国に690万世帯あるが、一括受電は70万世帯ほど。まだまだ市場の伸びしろは大きい。そして、まずマンションでしっかり仕組みを作り、オフィス、工場と進めたい。オフィスについては実証実験を始めている。当社で(業務を)独占できなくても、制御だけ、運用だけなど他社と一緒にやって分散型エネルギープラットフォームの社会を広げる。皆さんがパートナーになると考えている。(HS)

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