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トップ記事2024年6月4日

なかのアセット、スタート1カ月 クオリティグロースの本格アクティブ投信 インデックスの時代は終焉

「積立王子」の愛称で知られる中野晴啓氏(写真)が創設した、なかのアセットマネジメントが「なかの日本成長ファンド」「なかの世界成長ファンド」を4月25日にスタートして1カ月。純資産は計35億円と順調な立ち上がりとなった。中野氏に思いを聞いた。

――運用開始から1カ月たった感想は。

顧客の動きは想定の範囲内で、普通の生活者のお金が入っている手応えはある。まだ知られていないので、認知度を高めていく。(前職のセゾン投信退任の)報道で関心を持ってくれた人も新しい顧客になっている。徹底的に長期投資で、普通の生活者の将来の人生づくりのサポートをしていくのが目的。なかのアセットという会社の新たな価値を理解してもらい、共感投資家をゼロからつくり上げる仕事が始まった。

――運用方針は。

当社の理念は本格的なブティック型のアクティブハウス。成長投資で、クオリティグロースにのっとった運用をする。クオリティとは長期に安定して事業の成長が見込める企業を厳選して投資する。事業価値の評価軸は10年。通常のアクティブファンドは1年なので、全部が正しいといえないが、高い確率で良い企業をはじき出せば将来すごいことになる。猫の目のように変わっていく運用は絶対やらない。日本株ファンドは現状20銘柄ぐらい、多くても30銘柄以内で入れ替えはできるだけ少なくする。ポートフォリオは全銘柄開示して、ガラス張りにしようと思う。

運用チームは私も入れて8人。リソースがまだ少ないのでまずは日本株で銘柄選択しており、世界株ファンドは(複数のファンドに投資する)ファンド・オブ・ファンズ形式をとっている。クオリティグロースの運用に考えの近いファンドを選んでおり、一つ一つの企業選択についてこだわりをもって対話していく。さらに私募ファンドを立ち上げ、なかのアセットが自ら選択した銘柄も入れていき、5年ぐらいかけて半分を占めるようにしたい。

――販売会社は楽天証券のみだ。(5月31日にマネックス証券でも販売開始)

楽天証券は楠雄治社長が、当社の理念に共感、応援の思いを持ってくれるので徹底的にお世話になる。時間とともに共感軸ができれば、他社にも広げる。直販は当面やらずに、NISA(小額投資非課税制度)の複数口座化が実現したら検討する。

――新NISAスタート、日銀のゼロ金利解除など大きく変わる市場環境をどう見るか。

日本を含めた先進国は高値圏にある。米国経済も少しずつ減速している。日本株は短期で上げ過ぎた。どのタイミングか分からないが一定の大きな調整を想定すべきだ。そういうこともあるので、長期で積み立て投資をやってほしい。タイミングは当てられない。NISAの無期限化はすごいことなので「長期投資はエンドレス」という概念を一般に進めていきたい。株式投資でしっかり値動きを乗り越えながら時間軸の制約をもたないのが一番成果につながる。

インフレ下で金利が上がると体力の弱い会社や財務面でレバレッジをかけ過ぎた会社はダメになるところもある。市場の過剰流動性も時間をかけて解消される。今はインデックスファンド全盛だが、インデックスの最も心地よい環境は終焉(しゅうえん)を迎え、アクティブ運用がようやく報われる時代が来るだろう。そのなかでも全部のアクティブがよいのではなく、銘柄選択力、運用力が問われる。以前から本格的なアクティブ運用は夢とロマンの世界で、ぜひ提供したいと思っていた。自分たちの投資が企業や日本の産業界をよくする経験を感じてもらい、一緒に楽しめる会社にしたい。(HS)