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銘柄・相場情報2024年6月20日

企業研究 BeeX クラウド専業のインテグレーター

SAPシステムを運用支援

企業の基幹システムの基盤環境をオンプレミスからクラウドに移行するサービスや、移行後の保守、運用を主軸としたクラウドソリューション事業を展開するBeeX(4270・G)が、順調に業績を伸ばしている。2016年に創業し、テラスカイ(3915・P)を親会社に持つ新興のIT企業。5月16日に行われた会社説明会では広木太社長が登壇し、エンジニアの積極採用方針などさらなる成長に意欲を示した。

クラウド専業が特徴
BeeXは16年3月に創業し、従業員数は昨年度末で166人。クラウド関連の導入、保守、管理やソフトウエア開発を行っている。クラウドを専業にしているのが大きな特徴。クラウドに特化することで他社よりも高いスキルやノウハウを持っていることが強みだ。

企業は従来、受発注などに必要なシステムは自社でコンピューターを設置してつくっていく、オンプレミスという形態をとっていた。クラウドとはシステムを自前でつくるのではなく、既にあるものを基盤に使う。早く導入でき、よけいなお金がかからない。

クラウドを大きく分類すると、利用形態で「SaaS」(サーズ=Software as a Service)、「PaaS」(パース=Platform as a Service)、「IaaS」(イアース=Infrastructure as a Service)に分かれる。CМでよくやっている経理や名刺管理などのためのソフトウエアが「サーズ」。ソフトを作り上げて顧客に提供する。「イアース」はソフトウエアの稼働に必要なネットワークやサーバーなどのIТインフラをクラウドで利用できるサービス。「パース」はデータベースやアプリケーションを動かすミドルウエアを提供するサービスだ。BeeXはイアースやパースを使って企業のシステムの構築や運用に取り組んでいる。

マルチクラウドで展開
イアース、パースのプラットフォームはアマゾンの「AWS(Amazon Web Services=アマゾンウェブサービス)」、マイクロソフトが提供する「Azure(アジュール)」、グーグルの「Google Cloud(グーグルクラウド)」が市場の65%を支配しており、成長、シェアとも圧倒している。BeeXはマルチクラウドとしてこれら全てを取り扱い、顧客企業のニーズに応じて導入や運用支援にあたっている。

BeeXはSAP(エスエーピー)社の認定パートナーでもある。SAPはドイツのERPパッケージベンダーで、会計、受発注、出荷、人材管理などのシステムをパッケージで提供しており、日本でも大手企業の基幹システムとして導入されている。

BeeXが展開している事業の内容は三つに大別できる。一つは顧客企業がクラウドを利用するにあたってのコンサルティング、環境構築やアプリケーション開発などを行う「クラウドインテグレーション」。二つ目は顧客企業にクラウドライセンスを提供し、利用状況に応じて料金が積み上がる「クラウドライセンスリセール」、三つ目がクラウドの運用、監視サービスを24時間365日行い、最新機能のアップデートなどもする「マネージドサービスプロバイダー」だ。

クラウドインテグレーションは顧客のリクエストを受け、システムを構築するフロー型のビジネスで、クラウドライセンスリセールとマネージドサービスプロバイダーは毎月課金収入があるストック型となる。フロー型とストック型のビジネスを組み合わせることで、安定的な売り上げと収益につなげている。

DX推進も成長戦略に
成長戦略でまず挙げられるのが「基幹システムのクラウド化、モダナイズ化」。大企業で多く使われている基幹システムのSAPは、安定性を重視しオンプレミスだった。このSAPシステムをクラウド化していく。SAPのメインバージョンである「ERP6・0」の標準サポートが27年に、延長サポートが30年に終了するため、「S/4HANA」という新しいバージョンにアップグレードする。それをモダナイズ化というが市場は非常に大きく、このビジネスに断続的に取り組んでいく。

デジタルトランスフォーメーション(DX)推進も成長戦略の一つ。勘に頼らずデータに基づいて考え、新しいインサイトを得る企業文化の変革への支援に力を入れる。SAPシステムはクラウドに上げるだけでなく、企業の重要な情報がたまっているSAPのデータをより積極的に活用していく。生成AIを活用したアプリケーションの開発にも力を入れていく方針だ。

業績は右肩上がり
業績は右肩上がりで成長している。創業時は従業員が10数名、売上高も3億円くらいだったのが、24年2月期(23年3月~24年2月)には売上高が77億円、営業利益が5億9,900万円となった。前年比で売上高は33.7%増、営業利益は48.6%増。今期は売上高が23%増の94億7,000万円、営業利益は8.5%増の6億5,000万円を予定する。マーケティング戦略に対する投資や、優秀なエンジニアの採用、育成など、今後の成長を見据えた投資を考えて、業績予想は控えめな数字となっている。

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