6月21日(金)のマーケット
6月20日のNYダウは3日続伸。ナスダックは8日ぶりに反落。週間の新規失業保険申請件数は市場予想を上回り、5月の住宅着工件数と6月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数は市場予想を下回った。これらの景気減速の指標を受けて、利下げ期待からNYダウは買われた。ただし、米国債利回りはいったん低下したものすぐに上昇に転じた。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、金融当局はインフレ率を目標の2%へと引き下げるとしつつ、それには1、2年かかる可能性が高いとの見解を示した。コンサルティング大手アクセンチュアは3~5月期(第3四半期)決算で、生成AI(人工知能)関連の受注が9億ドル(約1,400億円)を超えたことで買われた。NYダウは前日比299ドル(0.77%)高の39,134ドル。ナスダックではエヌビディアが反落し、クアルコムとアームも反落となり、ブロードコムは続落となった。ギリアド・サイエンシズは日本で「CAR-T細胞療法」の認定施設を増やすため日本政府と対話を進めていることを明らかにしたことで買われた。NASDAQ総合指数は前日比140ポイント(0.79%)安の17,721。S&P500指数は前日比13ポイント(0.25%)安の5,473。
週末の手控えでもみ合い。ソフトバンクGはASI(人工超知能)への将来展望が語られたが、当面の投資戦略や自社株買いは「小さな話」とされたため下落した。円相場が一時1ドル=159円台となり、日銀による追加利上げ観測が意識されたため不動産株は下落した。コンテナ運賃高騰が報じられ海運株が高い。IHIは20日に航空・宇宙・防衛事業のスモールミーティングを開催し買われた。サイボウズは業績予想の上方修正で急騰。富士急はモルガンが格上げ。
スタンダード市場では、ジャパンフーズは公開買付価格が引き上げられたためストップ高。PKSHAが続伸。enishが大幅続伸。光部品の湖北工業は東海東京インテリジェンス・ラボが新規「強気」判断。伊勢化学は5日続落。TOPIX改革案で前日に買われたフェローテックは反落した。
グロース市場では、TOPIX採用期待のカバーとウェルスナビが続伸。直近新規公開株のインテグループが上昇を継続。高校生の就職関連のジンジブが大幅高。福祉分野で業務提携によりAIを活用するAHCは4日連続ストップ高。サンバイオは2日連続ストップ安。アストロスケールが軟調。
日足チャート上では、週初の急落で25日移動平均線を割り込み、一目均衡表の雲の下限も下抜けた。徐々に回復を見せて25日移動平均線に絡んで推移するも、上抜けまでには至らず。一目均衡表でも雲の中を進行中。上値は重く膠着状態が続いた。早晩に25日移動平均線の回復が望まれる。週足では、長い下ヒゲを伴う実体線の短い陽線。下向きになった13週移動平均線(3万8643円)に頭を抑えられる展開が今週も続いたが、下ヒゲ部分は26週移動平均線(3万7936円)がサポートとなった。
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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。祝日明けの6月20日、米国株式市場ではナスダックが8日ぶりに反落しました。
その前日までナスダックは7日連続して上昇し、7日連続で史上最高値を更新していました。株価の上昇は喜ばしいことですが、しかし空前の活況は次の下げへの恐怖も伴います。
そのナスダックの上昇の原動力となっているのが、言うまでもなくエヌビディアです。今週はエヌビディアが時価総額トップのマイクロソフトを抜いて、史上初めて首位に立ちました。世界の投資家、企業家の関心が集まっている眼前で、テクノロジー業界を巡る猛烈な地殻変動が起こっています。
折しも東証からはTOPIX改革案が公表されました。主な変更点は、プライム市場だけではなくスタンダード、グロース市場からもTOPIXに採用される銘柄が出ることです。
この動きがすぐに日本の株式市場の活性化につながるとは考えにくいのも事実ですが、それでもこれまで見落とされていた部分に注目が集まるきっかけにはなるでしょう。
スタンダード市場にはユニークな上場企業が多数埋もれています。どこかで変化のきっかけさえつかめば、次なる上昇の波が始まるとも考えられます。スタンダード市場の動きは要注目です。
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注目記事 Pick up
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【孫氏、人類の1万倍のAI実現に全力】
日本証券新聞6月24日(月)紙面1面TOP記事掲載
「このために生まれてきた」 SBG株主総会
ソフトバンクグループ(SBG、9984・P)の株主総会が21日午前、開かれた。孫正義代表取締役会長兼社長執行役員は、SBGの使命は「人類の進化である」と決意表明。そのために、今後10年以内に人類の知能の1万倍の性能がある「ASI」を登場させるよう全力を尽くすと述べた。世界的なAIブームでSBGの株価は年初来高値圏にあるなか、決算説明会への登場をやめた孫氏が自分のビジョンを語る貴重な機会とあり、内容が注目されていた。この日の株価は続落。
孫氏はSBGのNAV(時価純資産)が前年の14兆円から足元では34兆円に増えたことを報告。株主価値を大きく増やすには「進化と増大」が重要であり、創業以来ずっと実現してきたと述べた。そのうえで、今後のビジョンについてASIについて熱く語った。昨年来、人類の知能の最大10倍となるAGIについて語っていたが、一気に1万倍に拡張した。この1年、常にそのことを考え、この日の朝にようやく実現のための難題が解けたという。孫氏は「ASIを実現するためにSBGや僕自身が生まれてきたと本気で思っている」と強い決意を述べた。実現の中核は傘下の英半導体設計会社アームだが、単独では困難だとして、他社との提携も行っていく。米エヌビディアやオープンAIのトップとも親密な関係にあるという。
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今日の市況概況
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6月21日(金)☆[概況/大引け]
ソフトバンクGや不動産が下落。ディスコはAI関連への期待で売買代金首位
大引けの日経平均は36円安の3万8,596円、TOPIXは0.8ポイント安の2,724ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は673、下落銘柄数は919。出来高は20億4,499万株、売買代金は5兆2,859億円。
米国でミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、インフレ率を目標の2%へと引き下げるには1、2年かかる可能性が高いとの見解を示したため、米金利が上昇しドルが買われ、1ドル=159円台の円安となった。
BNPパリバ証券では、日本ではゼロ近傍の政策金利が継続されると、家計は預金の実質価値の目減りを避けるために、今後も外貨建て資産に資金をシフトし、それがさらなる円安圧力を生む可能性があり、結果的に個人消費が抑制されている可能性があると指摘。
日銀が利上げや国債購入の減額を行っても、長期金利の上昇は限られるから、こうした状況から中々抜け出せず、異次元緩和の真の副作用の一つを認識することになると述べ、既に緩やかなスタグフレーションは始まっていると見ている。
円安を防ぐために日銀は7月末の金融政策決定会合で追加利上げを実施するという警戒感から不動産株が売られた。
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