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IPO2024年6月24日

IPO社長会見 タウンズ 感染症抗原検査のリーディングカンパニー

タウンズ(197A)が6月20日、スタンダードに新規上場した。感染症迅速診断キットを販売している。初値は公開価格を6.5%下回る430円。上場当日の記者会見で、野中雅貴代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

新型コロナやインフルを簡単に検査……主力製品は新型コロナやインフルエンザなど感染症の抗原検査キット。非常に簡単にできる検査で、鼻やのどからとったサンプルをプレートに滴下する。もし検体中にウイルスが存在していれば判定ラインが出てきて、目視でウイルスがいる陽性か陰性か判定できる。クリニックのみならず一部のものは家庭でも利用できる簡単で迅速な検査。抗原は自社で開発した独自のものをもっており、抗原に目印を付ける標識物も独自開発の白金-金コロイド粒子を使っており、視認性や検出感度がより高い。弊社は1987年に創業。感染症の抗原検査については日本におけるパイオニアで、現在もリーディングカンパニーとして国内で高いシェアをとっている。

シェアを伸ばす余地は十分……特に今伸びているのは新型コロナとインフルエンザの同時検査キット、1回の検査で両方分かる「コンボキット」と呼んでいるが、市場シェアをまだまだ伸ばす余地があるとみている。新型コロナの抗原検査は、昨年に5類に変更になってからもむしろ需要は増えている。市場がきちんと伸びていることで、われわれの売り上げも伸びている。今後もある程度ステーブル(安定的)な需要が見込めるのではないか。市場規模に関しては、感染症なので一定の変動はあり得るが、シェアの部分は伸ばせる余地があるので、粛々と取り組んでいきたい。日本のPOCT(臨床現場即時検査)市場で圧倒的ナンバーワンになり、POCTと言えばタウンズというまでいきたい。

慢性疾患領域にも……一方、中期的に見た場合には新しい事業領域にも出ていきたい。感染症の中では性感染症、HIVや最近問題になっている梅毒といった最近問題になっている部分に出ていきたいし、感染症以外でも慢性疾患、がんのコンパニオン診断や、慢性腎臓病の早期検査、歯周病の検査など新しい、感染症の流行の波に左右されないような新しいステーブルな事業基盤も今後つくっていきたいと取り組んでいる。既存の感染症領域に関しては新しい感染症も、抗体開発技術や標識物などこれまでのわれわれのコア技術をそのまま生かせる。慢性疾患は、新しい取り組みになる。われわれの技術をベースとしながらも、例えば資本提携などを含めた様々な提携先といった外部の技術もうまく導入しながら新しい部分に出ていきたい。

新技術D-IAで成長……(新技術として)抗原検査と同じようなレベルの非常にシンプルな操作、早い判定時間で簡単に使えるD-IA(デジタルイムノアッセイ)をまず目指す。簡単に使えながら検査ラボでやっているような非常に高精度な検査が一般のクリニックでも簡単にできるようにすることを目指した製品だ。様々な用途を想定している。例えば新型コロナのまん延中にはPCR検査という、抗原検査よりも手間も時間も掛かるが精度が非常に高いというものがあった。そういったレベルの検査をその場でぱっとできてしまい、複数の感染症を同時に測れることができれば、何らかの異常があったらすぐに原因を特定できる。将来的には、心筋梗塞や認知症などの血中のごく微量なマーカーも測ることもできるので、非常に早期の慢性疾患の診断にも使われていく可能性は十分ある。出てくるのがおそらく数年先になる。業績に大きく貢献してくるのは一定時間が掛かるが、普及しだすと非常に大きなインパクトがあるのではないかと期待している。

今後は海外でも十分な需要……現在既に20カ国以上に代理店を持っており、インフルエンザなどの抗原検査製品を展開している。現状、海外売り上げは10%未満にとどまっており、今のところ大きくない。これは日本と海外の市場特性があり、風邪症状を非常に熱心に検査する国はかなり限られている。今後考えている新製品、性感染症や結核、がん、慢性腎臓病に関しては、海外でも十分なニーズがあり得ると考えている。結核ならばアジアやアフリカが主戦場になり、慢性腎臓病やがんは米国や欧州が大きなマーケットになるとみているので、プロダクトによって適切なターゲットマーケットが変わってくる。(HS)

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