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銘柄・相場情報2024年7月18日

企業研究 HENNGE クラウドセキュリティーを盤石に

「HENNGE One」でワンストップ支援

企業のクラウドサービス利用にあたり、アクセス時のID管理などセキュリティー対策を強化し、利便性を高めるクラウドセキュリティーサービス「HENNGE One」(ヘンゲワン)を主軸事業とするHENNGE(4475・G)が、契約企業数を順調に増やし、業績を伸ばしている。6月22日に大阪で行われた会社説明会では、小椋一宏代表取締役社長が事業の概況や今後の成長戦略について説明した。

変化し続ける会社に
創業は1996年。小椋社長が学生時代に起業し、2019年10月に東証マザーズ(現・グロース)市場に上場した。上場を前に同年2月、社名を「HDE」から「HENNGE」(ヘンゲ)に変更。「組織を進化させ、様々なチャレンジで変化し続ける」との思いを込めた。

東日本大震災のあった11年、主力事業となる「HENNGE One」の提供を開始した。

企業が従来の「オンプレミス(自社の情報資産を自社内で運用・管理する状態)」から、「クラウド(自社の情報資産をインターネット上で運用・管理する状態)」への移行を進める際、セキュリティー対策が大きな課題となる。「HENNGE One」はクラウド利用時の障害を取り除く機能群をワンストップで提供する。具体的には、特定の場所や端末以外からのログインを制限するアクセス制限機能や、単一のIDとパスワードでログインを可能とするID統合機能のほか、メールやファイル共有を通じた情報漏洩対策機能などを備えている。

例えば、社員1人が業務に応じて10個のIDとパスワードを持つ場合、社員・管理者の両者にとって各サービスの設定や管理は非常に煩雑である。その点、「HENNGE One」は誰がどのデバイスからアクセスするかを一元的に設定・管理できる機能を持ち、IDとパスワードを1つにまとめることができる。

低い解約率で安定成長
「HENNGE One」はサブスクリプション型のビジネスで、解約率が非常に低いことが特徴。24年3月末現在、平均月次解約率は0.34%にとどまり、一度導入すれば継続して使い続けていくタイプのサービスである。労働力不足や生産性向上が日本全体の課題となる中、クラウドサービスの導入を検討する企業は増加しており、マーケットの裾野拡大の動きを捉えて売り上げを伸ばしていくことが、HENNGE社のビジネス基盤となっている。

24年3月末現在の契約企業数は2,792社で、契約ユーザー数は247万人、契約企業当たりの平均ユーザー数は884人。導入先のメインターゲットは従業員数300人以上から5,000人未満の企業としている。

また、企業におけるクラウドの活用が加速することにより、クラウドサービスを使う企業から新しい機能追加要望が寄せられる。寄せられた要望を基に、「HENNGE One」に新機能追加や機能改善などがなされると、当該サービスを利用している契約企業は一律にその恩恵を受けられる。企業側は、煩雑な自社システムの導入、移行をせずとも、こういった最新の機能群を日々活用することができ、生産性向上が実現可能となる。HENNGE社にとっては新機能追加による契約金額向上が期待できる。

外国籍社員を積極採用
HENNGE社は東京に本社があり名古屋、大阪、福岡にもオフィスを持ち、海外では台湾に子会社がある。組織の多様性を重視し、特に開発者の獲得に関しては世界各国からインターンシップを募り、日本国内外から優秀な人員が集まっている。アルバイトも含めた従業員は25以上の国と地域で構成され、23年9月末日時点では約5人に1人が外国籍。社内は国際色豊かな人材が集まり、社内公用語を英語としている。

成長戦略はLTV最大化
成長戦略はLTVを最大化すること。顧客生涯価値(Life Time Value)の略称で、顧客が自社のサービスの利用開始から終了までの期間に購入するサービスの金額の総計を指す。「HENNGE One」の新機能や、新サービスを継続的に創出するとともに、人材獲得力の向上による体制強化を行い、今後のさらなる成長を目指している。会社およびサービスの認知度を高めるため「Japan IT Week 関西」への出展など、各種イベントや広告宣伝活動にも力を入れている。

24年9月期(23年10月~24年9月)第2四半期は、売上高が前年同期比21.9%増の38億9,500万円で、このうち「HENNGE One」の売上高は同22.5%増の35億9,300万円と、売上高全体の92%を占めた。営業利益は同2.4倍の6億4,800万円と伸長。24年9月期通期では売上高が前年比22.7%増の83億1,600万円、営業利益は同33.5%増の9億4,500万円を計画している。

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