カドス・コーポレーション(211A)が7月18日、スタンダードに新規上場した。山口市に本社があり、建設業と不動産業を手掛ける。初値は公開価格を10.6%上回る3,210円。上場当日の記者会見で、工藤博丈代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
事業エリアは山陽と福岡……事業内容は社名に由来しているが、カドスは英語の建設業のコントラストアーキテクチャー(Contrast Architecture)の「カ」、デザイン(design)の「ド」、サーベイ(Survey)の「ス」とそれぞれの頭文字をとっている。弊社自ら自前でプロデュースする総合建設業という意味を込めた。山口市で創業し、事業エリアは東は岡山から西は福岡県北部までを軸として展開している。長期ビジョンとして100年存続企業を目指している。そのために社員100人体制、売上高100億円については早いうちに実現し、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えたい。
独自の「カドスLANシステム」が強み……土地の有効活用を希望するその地域に出店したいテナント企業のニーズを結び付け、賃貸借契約から設計施工、店舗開店までワンストップでトータルプロデュースをしている。一番重要視しているのが「カドスLANシステム」という営業手法。土地オーナーとテナント企業の間に弊社の建設事業と不動産事業が入っているイメージ。オーナーとテナント企業の様々なニーズに対して、建設請負と不動産事業の両面から柔軟に様々なスキームを織り交ぜ、マッチングできることが弊社の強み。土地の情報量や建設ノウハウが積み上がり、生産性も上がっている。
顧客はナショナルチェーンが8割……他社の多くはテナント企業の出店が決定した案件の施工を請け負うことに集中している。弊社は土地オーナーと交渉を行い、その土地に見合う、地域が活性化するようなテナント企業を弊社が選択してマッチングする。土地オーナーとは交渉済みの土地なので、マッチング期間が短縮され、特命受注が獲得できる。創業から2023年4月期までに511件の新築工事の実績がある。全国展開しているナショナルチェーンの施工物件が8割。ナショナルチェーンのシェアを増やしていくことは、新たな事業エリアを広げることに寄与する。実績で言えば、コンビニが一番多い。エリア拡大に関してはテナント企業のほとんどは全国展開しているナショナルチェーンなので、全国どこでもできると思っている。ただ、今の情勢、人手不足、建設業の2024年問題などを踏まえると、いきなり飛んでやるよりも岡山から福岡北部のエリアから少しずつ広げていくのが良いと思っている。土地オーナーとテナント企業のニーズがマッチングしない、意向が合わない場合、弊社の不動産事業を間に入れる。例えば土地オーナーは土地だけを貸したい、テナント企業は土地だけでなく建物を建ててもらった上で建物を賃借したい場合は弊社が土地オーナーから土地を賃借した上、弊社所有の建物を建築し、テナント企業に賃貸することで双方のニーズをマッチングさせる。
カドスタウンで成長加速……注力したい成長戦略は3つある。まず、営業力の強化。まだ、土地のニーズをしっかり掘り起こしていないエリアがたくさんある。情報収集のきっかけとして地元の不動産業者と連携し、拡大のスピードを上げていきたい。2つ目は設計施工戦略の拡充。そのためには工事部門の積極的な採用と、教育、育成を行う。生産性向上のために、工程の平準化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した現場監督機能の補完も行う。こういった取り組みで、生産性を上げたい。3つ目の成長ドライバーの拡充として、現在積極的に進めているのが5,000坪前後の大型物件「カドスタウン」計画。5,000坪の土地を、複数の土地オーナーから弊社が一括で賃借し、付加価値を付けた上テナント企業に転貸することを想定している。初期投資を抑えられ、カドスタウン1件当たり、建設事業と不動産事業を合わせて10億円程度の売り上げインパクトがある。また、複数の店舗をまとめて誘致するので、生産性向上も見込める。カドスタウンを年間1件取り組むだけでも成長スピードは格段に加速すると考えている。
利益も上昇トレンドへ……コロナ禍で売り上げがへこんだときもあるが、平均成長率は約4%。今期は過去最高で着地する見通し。経常利益はでこぼこしているが、これは、上場に向けた管理体制の強化や建設資材の急激な高騰、将来を見据えた人的資本の投下などが理由。今の利益率をボトムと考え、今後については上昇トレンドを維持できると考えている。(HS)