前引けの日経平均は93円安の3万8,117円、TOPIXは3ポイント安の2,667ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は681、下落銘柄数は909。出来高は6億3,740万株、売買代金は1兆6,580億円。
植田日銀総裁が衆議院の財務金融委員会の閉会中審査で、「物価見通し実現なら、見通し期間後半に政策は中立水準に」と述べ、「利上げの影響を見極めながら、中立金利の見方を狭めていく」と語ったが、「中立金利は自信持ってこの程度と示せる状況ではない」と発言した。
中立金利は、景気や物価に中立的な実質金利水準である自然利子率に目標とする物価上昇率を加えて算出する。
高い中立金利が前提なら、利上げペースを速めるか利上げ幅を拡大する必要がある。
植田総裁が「中立金利」の水準を示せる状況ではないと発言したため、今後の利上げ幅や利上げペースが見通しにくくなり、日経平均は下落した。
中国による半導体製造装置の輸入が1~7月に過去最高に達した。
米国やオランダ、日本による輸出規制が強化される前に駆け込み的な動きがあったことが理由だが、この結果を受けて、米国がさらに輸出規制を強め、オランダと日本にも要求してくるという警戒感から、レーザーテックや東京エレクトロン、アドバンテストは売られた。
一方、シャープはソフトバンクが1千億円規模の出資を行う案が浮上していると報じられたことで買われた。ソフトバンクはAI向けデータセンターの構築を目指してシャープ堺工場の一部を取得する交渉をしており、その過程で出資案が持ち上がった。
大成建設(1801)などの建設株が高い。野村証券では建設セクターについて、建設粗利益が改善し、株主還元期待が高まると解説している。
業種別下落率上位は電機、保険、卸売、非鉄、ガラス土石で、上昇率上位は建設、精密、ノンバンク、石油、倉庫運輸。(W)